août 15, 2006

フランス人の伝える広島

日本が好きなフランス人は今では珍しくは無いかも知れない。日本に住んでいるフランス人の中には第2の故郷だなんて言う人は結構多いし、ヨーロッパ人の中でもフランス人が日本の文化について一番良く理解している、またはしようとしていると感じる日本人も多いようだ。

原爆被災地の広島をテーマにした作品として有名なのはヌーヴェルヴァーグ真最中の1959年フランス映画(日仏合作)アラン・レネの長編デビュー作の「二十四時間の情事(Hiroshima,monamour/ヒロシマ、我が愛)」だろう。この作品は初の日仏合作映画で、広島が舞台となっている。

さて、フランスでそこそこ話題となった元Cafedefloreの御曹司、クリストフ・ブバルが書いた広島の原爆を題材にした小説が昨年出版され、この日本語版が日本でも発売された。処女作は「カフェ・ド・フロールの黄金時代」という彼は熱烈な東洋文化の愛好家だ。

本作は広島に落とされた原爆の犠牲になった女性の霊が、たまたま被災地の撮影に訪れた若い映画作家に取り憑き、周辺の人の命を奪いつつ2人の宿命的な愛の結びつきのままパリに移住し、、、と言う内容だ。作者としては日本の若者に対しての書かれていて、彼自身も広島と長崎に行き、史実に正確であるように務めたという。

もちろん小説ではあるが、興味深いのは西洋の名言や聖書からの引用などが散りばめられており、ヨーロッパ人がどういう認知をしているのか、またその感性などが垣間見られるとおもう。例を挙げれば、第1章に先立ち黙示録からの引用が記載されているのだが、キリスト教圏からはこういう風にとらえられるのか、こういうバックグラウンドに繋がるのかと知ることが可能だ。

登場人物も日本人であり、日本の感性や心情に大きく触れている。これは逆にフランス人が日本の感性を理解するのに役立つかも知れないが、ちょっとごちゃごちゃになっている様な気がする。作者が読者に分かりやすくするために注釈をつけているようだが、この注釈が正直言って正しくない。「阿弥陀仏」には、仏陀の日本語名とされているし、「鳥居」は寺の入り口にある門とされている。この辺の所からか極一部良く分からない表現がある。

細かいところを除けば、日本人が書いた小説の様にも感じるし、いわゆる単なる原爆反対の思想の本では無く、パリへ行った後の描写も楽しめるのではないかと思う。

 白い影の女―癒える日遠くヒロシマ-パリ
 http://ttu.cc/1535

 カフェ・ド・フロールの黄金時代―よみがえるパリの一世紀
 http://ttu.cc/1536

 二十四時間の情事(DVD)
 http://ttu.cc/1537

投稿者 paris : 01:00 PM

août 05, 2006

デジタル社会の著作権新法案

DADVSI(droitd'auteuretdroitsvoisinsdanslasocietedel'information/情報化社会における著作権および著作隣接権)

日本ではインターネットを中心としたネットワーク、コンピュータ社会に対する新しい法案があまり議論されていないように感じるが、この手の分野に遅れていると思われるフランスは新しい枠組みを模索し法案を制定しようとしている。

フランスは過去の著作物を始め音楽、映画、美術、なども含めたソフトウェアを強力な産業と位置づけているために、日本やアメリカなどにもこれら商品を売り込むための団体を作り専門家向けの商談会を行っている。アンテンヌフランスでも何回か記事で紹介しているが、やはり問題があるのか、修正に次ぐ修正となっている。

今話題になっているのはDADVSI(droitd'auteuretdroitsvoisinsdanslasocietedel'information/情報化社会における著作権および著作隣接権)法で、非常に簡単に言うとAppleのiTuneMusicStore(iTMS)で販売される音楽ファイルをAppleのiPod以外の携帯音楽端末でも聞けるようにすると言う内容だ。

iTMSに関わらず多くのインターネット上の音楽販売サイトでは何らかのデジタル著作権管理技術(DRM)によって簡単にコピーできないようになっていて、例えば、ダウンロードしたマシンでしか再生できない様になっている。携帯用の着メロなども、ダウンロードした音楽やメロディーが携帯を新しくしたときに移行できないと言うような事と同様だ。

マイクロソフトのDRM技術は、技術そのものを販売しているために、マイクロソフトにお金を払えば、自社の携帯端末にマイクロソフトのDRMを再生できる機能を搭載することが出来る。逆にAppleのDRM技術は、技術そのものは非公開であり、現在利用できるのはiPodのみであるために、非常にシェアの高いiTMSで購入した音楽を他社の携帯音楽端末で再生できない。このフランスの法律は、DRM技術を公開をさせて、他社がこの再生方式を望めば搭載できる様にするという。

しかし、この法案は幾つかの条文で違憲性が指摘されており、修正を余儀なくされている。また、定義があいまいであったりするために一部の条項が削除されている。

たとえば2つのDRMを両方利用できるようにするためにDRMを迂回することが許されていたが、この相互運用性の定義があいまいであるとして削除、しかしDRMのライセンス管理機関を設立してDRMを利用している企業を監督し必要に応じて情報公開させる権限を与える。また、DRM技術を勝手に解析して利用することは禁止され、DRM技術を提供した企業には著作権保証金を与えられる。

DADVSI法ではファイル共有ソフトでファイル共有することを刑事責任を問わない代わりに、インターネットアクセス料金に比例して課税しアーティストに配分するとしていたために、支持が高く全体で70%、特に若年層では90%近くが賛成していた。しかしこの部分の条項も、憲法に違反するとして削除された。しかし違法なアップロードは罰金刑(アップロードに150ユーロ、ダウンロードに38ユーロ)だったのに対し、修正案では著作権侵害行為として刑法上の罪に問われて懲役刑、罰金も50万ユーロ(最高)となっている。

今回の修正によって本当の問題であるファイル共有ソフトによる著作権侵害は骨抜きにされており、前途多難といえそうだ。

投稿者 paris : 01:02 PM