juin 29, 2004
AntenneFrance N.271 7月のイベント情報
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S O M M A I R E
□7月のイベント情報
□エマニュエル・ベアールが新たな挑戦(フランス映画祭)
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◆◆7月のイベント情報
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初夏はイベントが目白押しです。芸術の秋というにはまだ早すぎるこの季節で
すが、芸術の心を刺激してこの夏を迎えたいものです。
「巨匠が描いたオリンピック・ポスター展」はアテネ・オリンピックにちなんだ
今年ならではのイベントです。ピカソ、アンディ・ウォホールなど20世紀を代
表する芸術家を一度に味わえてしまうまたとないチャンスです。
【巨匠が描いたオリンピック・ポスター展】
6月30日(水)~7月18日(日)
午前10時~午後8時(最終日は5時まで)
ポーラ・ミュージアム アネックス(ポーラ銀座ビル)
入場料無料
選手への期待と応援のメッセージを込め芸術家やグラフィック・デザイナーが
描いた原画をもとに参加各国のオリンピック委員会が公式オリンピック委員会
が作成。今回のイベントではその中から芸術家25名の作品をあわせ計35点が
集合。
【クラブパーティ「地中海ヴァカンス」】
8月21日(土)夜11時30分~朝5時00
南青山「マンダラ」
入場料:3000円(1D付)/2500円with flyer (1D付)
地中海の国々音楽(南仏・北アフリカ・トルコ・ギリシャ・スペイン・ポルト
ガルなど)&ヴァカンス気分音楽(ラテン・ブラジリアンなど)
「アテネ・オリンピック」で日本の選手の活躍とともに「地中海」の文化
(音楽・お酒)を楽しんでは!?
アンテンヌフランスでもフランスのポップスのミュージックビデオの鑑賞会を計
画しています。興味のある方はひっそりとメール下さいね。
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◆◆フランス映画祭
◆◆エマニュエル・ベアールが新たな挑戦
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「この映画祭が終われば夏が来る」と語られ、すっかり横浜の風物詩となった
フランス映画祭。今年は12回目を迎え、2004年6月16日(水)から20日(日)
までの5日間、パシフィコ横浜にて開催されました。
17日(木)のオープニングセレモニーでは、フランスの俳優・監督ら約100人
が参加し、ドレスアップして登場しました。会場を沸かせたのは、特別ゲスト
として現われ、カンヌ映画祭で男優賞を受賞した柳楽(やぎら)優弥さんの存
在。「カンヌ受賞は審査員のおかげです」とコメントすると、審査員も務めた
エマニュエル・ベアールは「カンヌでは審査員の誰もがヤギラにひとめぼれし
て、心奪われた。女性として母として、彼を抱きしめたい」と称え、祝福のキ
スを贈りました。
20日(日)のクロージングセレモニーでは、エマニュエル・ベアールが「映画
が好きな私たち、映画の中で生きている私たちにとって、この横浜、そして日
本は避けて通ることの出来ないところ、登竜門といってもいい。5日間、全て
を忘れて楽しく過ごさせてもらった。皆さん方の本当に好奇心に満ち満ちた熱
い視線を受けることは、私たちにとって感激する一瞬でもありました。心から
観客の皆さん、横浜市にお礼を申し上げたい」と感謝の言葉を述べました。
今年新たに誕生した、観客の投票によって決まる観客賞では、プレゼンターと
して別所哲也が登場。ショートショートフィルムフェスティバル実行委員長も
務める別所さんは、映画祭同士が兄弟のように成長できる関係に喜びを述べな
がら、「べアールさんの隣にいれて光栄です。今夜夢に出てくると思います。」
と会場をひと沸かせした後、発表しました。
受賞したのは、個性派俳優リシャール・ベリの監督作『ぼくセザール 10歳半
1m39cm』。ベリ監督は「この映画のテーマは子供のころだが、人間の中で一番
すばらしいのは子供のころ、幼年期時代だと思う。人間はすぐ子供のころのこ
とを忘れてしまうが、子供の世界は普遍的で、すべての人の心に響くもの。大
人が全員子供のときの心を持っていれば、世界がより平和になっていくことを
確信している」と挨拶し、「観客賞は賞の中で最も重要」とさらに喜びの表情
を見せました。
全体を通して見ると、今回の映画祭では19作品が上映されましたが、「新し
い何か」を予感させる作品が多く見られました。初監督作品でありながらカン
ヌ映画祭国際批評家週間部門で見事グランプリを受賞した『クレールの刺繍』、
「ゲイフィルム」というカテゴリーを超えて評価を受けた『ワイルド・サイト』、
大作映画が有名な監督ブノワ・ジャコが異色の白黒デジタルで撮影を試みた
『いつか会える』と作品全体にも見られますし、人間にフォーカスを当てても
『ナタリー…』で女優エマニュエル・ベアールが新たな挑戦と思わせる演技を
見せています。
そして、もう一つ特筆すべきはコメディの作品が多く見られたこと。カリスマ
的人気を誇るコメディアン、ブノワ・ボールヴールドが出演した『スターは俺
だ!』、フランスで大ヒットした『マリアージュ!』、くすりとした温かい笑
いに満ちた『お先にどうぞ』『父と息子たち』など、昔からフランスではコメ
ディ映画の人気が高かったことを再確認させました。
フランスという国自体、新しい文化を積極的に認め、創造的変化を受け入れる
という意識と、昔からの伝統・文化を守りつづける意識、相反するものを融合
させた国です。そのフランスらしさが、映画の作品選びにも反映されたのでは
ないか、と思わせるセレクションでした。
もうすぐ夏がくれば、観客賞を受賞した『ぼくセザール 10歳半 1m39cm』も公
開され、その後も続々と配給作品が決まるでしょう。今回の映画祭が、どう日
本の映画市場に影響を与えたのか、また来年までじっくり観察するのも楽しい
ですね。
Kazuyo YOSHIZAKI
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juin 17, 2004
AntenneFrance N.270 団長エマニュエル・ベアール 記者会見レポート
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【速報 フランス映画祭】
□団長エマニュエル・ベアール 記者会見レポート
□スターは俺だ!
□ワイルド・サイド
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◆◆団長エマニュエル・ベアール 記者会見レポート
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フランス映画祭横浜2004の開催にあたり、開催初日の6月16日(水)にフラン
ス大使公邸にて記者会見が行われた。迎えられたのは、横浜市芸術文化振興財
団斎藤龍氏、ユニフランス会長マルガネート・ネレゴーズ、駐日フランス大使
ベルナール・ド・モンフェラン、フランス代表団団長エマニュエル・ベアール
だ。
まず駐日大使が「映画を観ると、その独自の国柄を知ることができる。この映
画祭は、日本とフランスの双方の文化を知るかけはしとなるでしょう」と挨拶。
関係者に対する感謝と敬意を示し、今年初めての観客賞が誕生することについ
て述べた。鑑賞後にアンケート用紙が配られ、ゲストに別所哲也さんを招きな
がら、最終日のクロージングセレモニーで発表される。観客の意見がそのまま
反映されることで、より交流が密になることをアピールした。
そして、注目すべきは世界的大スターでもある団長のエマニュエル・ベアール。
「私は女優なのに、少しあがってしまうのです。」と親しみを感じさせながら、
「いろんな国に訪れますが、日本のように温かく迎えてくれる国はありません。
記者の方も知的好奇心に溢れていて素晴らしい。」と来日の喜びを語った。映
画祭の団長を引き受けた経緯に関しては、「映画の配給がまだ決まっていない
作品もあります。これらの作品が映画祭後、配給につながる可能性があり、少
しでも日本の市場への突破口になればと思いました。」と、映画そのものに対
しての深い愛情を伝えた。
今年のカンヌ映画祭で柳楽優弥さんが最優秀男優賞を受賞して話題になった、
是枝裕和監督『誰も知らない』についても「大都市にいるのに誰も知らないと
いう家族の存在、その中で長男が家族を支えていくというテーマ自体に惹かれ、
素晴らしかった」と熱っぽく語られた。
他でも「東京では早起きをして、築地でお寿司を食べたことがあります。もっ
と他の都市に関して知る機会がほしいから、どうか皆さん、取材を少し減らし
て俳優達にフリーな時間を作ってあげて」と悪戯っぽく微笑んだり。「日本に
対するフランスの一般的な見方は?」という質問に対して「それは私にはわか
らないことだけど…」と前置きを置いて、自分の意見を述べたり…と自分の言
葉で真摯に、的確に、答えようとする姿勢がうかがえた。フランスの政治的な
活動に参加したり、ユニセフの親善大使なども務める彼女ならではの理知的な
側面がキラリと輝いていた。
既に12年も続いたフランス映画祭。これからも日本とフランスがよりよいパー
トナーシップを保って素晴らしい交流をしたいという意志を全ての参加者が持
ち、益々の発展を期待させる会見だった。
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◆◆スターは俺だ!
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2002年/90分/カラー
監督:ヤン・モワクス
脚本:オリヴィエ・ダザ、ヤン・モワクス
アルチュール=エマニュエル・ピエール
出演:ブノワ・ポールヴールド、ジャン=ポール・ルーヴ
ジュリー・ドバルデュー
6月19日(土)18:45
名前、ベルナール・フレデリック。職業、クロード・フランソワ。70年代屈指
の人気歌手。そう、彼の職業はスターに成り代わることなのだ。ベルナールの
野心、それはゴールデンタイムに全国放送されるそっくりさんコンテストで優
勝することだった。しかし、妻のヴェロは迷惑そうだ。栄光への渇望と妻への
愛との間で板ばさみになり、身動きの取れなくなったベルナールは、ひとつの
選択に迫られていた…。
クロード・フロンソワとは…。62年から「Belles,Belles,Belles」「Marche t
out droit」「Pauvre petite fille riche」などのヒットを連発。日本ではフ
ランス・ギャルの「夢見るシャンソン人形」とカップリングされた「ドナ・ド
ナ」が大ヒット。しかし70年代から坂道を下り始め、コンサート中に発作に襲
われ、ついで自動車事故を起こす。さらに脱税容疑。78年、浴槽の中で感電死
する。死後、彼の楽曲は多数のリミックス音源として使われている。
「スターへの夢を追うのに年齢は関係あるか?」と聞かれたら、希望も含めて
「関係ない」とたいていの人々は答える。しかし、中年になったおじさんがモ
ノマネを復活させたら、たいていの妻は嫌がるだろう。ベルナールもご多分に
もれず、妻の猛反対を受けながら、そっくりさんコンテストに挑んだ。このそ
っくりさん・・・クロード・フロンソワへの熱意は相当のもので、自宅(といっ
ても、マンションのオープンルームで住んでいる)の地下一階に専用の衣裳部
屋もあり、ダンスの練習には余念がない。その打ち込む情熱を見ていると可笑
しくもあり、そこまでスターな自分を渇望する姿は、呆れるのも通り越して感
動してしまうのだった。展開自体には多少無理も見えるが、内側からエネルギー
が勢いよく噴火するように進んでいくので、観ていると元気になる。最近ちょ
っと疲れたな、現状に流されてるな、という方はベルナールのエネルギーを頂
いてもいいかもしれない。
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◆◆
◆◆ワイルド・サイド
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2004年/107分/カラー
監督:セバスチャン・リフシッツ
脚本:ステファン・ブーケ、セバスチャン・リフシッツ
出演:ステファニー・ミシュリニ、ヤスミン・ベルマディ
エドゥワール・ニキティヌ
6月19日(土)21:15
社会から疎外された3人の若者がパリで出逢う。一人はロシアからの不法移民。
一人はトランスセクシャルの街娼。もう一人はマグレブ人(旧フランス植民地
からの移民の総称)。孤独な感情を抱えた3人は自然に惹かれあい、やがてそ
れぞれの腕の中に慰めを見出していく。アンダーグラウンドな生活と、身近な
人の死という出来事を経て、3人の絆は一層深まっていく…。
本作は2004年のベルリン映画祭のパノラマ部門に出品され、最も素晴らしいゲ
イフィルムに贈られるテディベア賞を受賞した。ゲイフィルムというカテゴリー
を越え、人間の魂を繊細に描写して、マスコミにも絶賛され「新しい才能の誕
生」と大きな注目を浴びた作品だ。
くびれた腰、赤いマニュキュア、白くて細い体、大きな胸…最後に男性の陰部、
というトランスセクシャルの街娼の裸体を、冒頭から見せて観客を驚かせた。
その後も街娼が買われているシーン、少年がトイレで体を売るシーンと続き、
世間で隠されているような暗部が次々と現れてくる。そして、「死んだお父さ
んは今のあなたに逢わなくて良かった」という母親の台詞、「愛してるならど
うして「やめろ」と言ってくれないの」という自身の台詞など、登場人物たち
がそう生きるしかなかった哀しみが端々から伝わってくる。負の感情を持つ者
同士は共鳴する。同じように疎外されざるを得なかった3人が惹かれあってい
くのも、たった一つ拠り所が欲しいから。
彼ら3人は双方共に愛し合っており、三角関係というわけではない。一人対二
人の関係ではなく、3人が一組になってまるで共同体のようだ。壊れそうな者
たちがやっと身を寄せ合う関係は、普段目にする恋愛関係とは違っており、少
し奇妙な印象も与えるかもしれない。けれど、そのような感情や世界がこの世
に存在しているという事実を観客に知らせること。観客側も、受け入れられる
かどうかは別にして、そのような存在も認められること。このフィルムがそん
なキッカケになり、今までと違った関係を打ち出すのかもしれない。
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juin 15, 2004
AntenneFrance N.269 フランス映画祭情報 その2
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【フランス映画祭情報 その2】
□ワーク・ハード、プレイ・ハード
□お先にどうぞ
□マリアージュ!
□刺繍する女
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◆◆
◆◆ワーク・ハード、プレイ・ハード
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2003年/99分/カラー
監督:ジャン=マルク・ムトゥ
脚本:オリヴィエ・ゴルス、ジスレン・ジェグ=エルゾグ
ジャン=マルク・ムトゥ
出演:ジェレミー・レニエ、ローラン・リュカ、シリア・マルキ
6月17日(木)13:30
フィリップは育ちの良い25歳の青年。都会でチャンスを掴み、大企業コンサル
タント会社に入社した。その出社初日、彼は若きシングルマザーエヴァに出会
い、恋に落ちる。2人が愛を育む中、彼の初仕事は工場買収のための、解雇リ
ストの作成だった。自身に階級差別意識などないと感じていた青年が、仕事を
通じてヨーロッパ社会に根強く残る階級差に葛藤するようになる。そして、人
情や良識を大切にする価値観を持ったエヴァと、効率と利益を求められる価値
観の企業という狭間で悩み始める。リアルでオリジナルな描写が絶賛された、
新人監督の挑戦作だ。
はじめて社会に出た日。希望と理想に心をふくらませる青年。エリートばかり
の職場の一員になり、自分も大きなチャンスを掴もうと思っている。しかし現
実は違った。初めての仕事は工場の解雇リスト80名分の作成。社員を面接して
みるものの、対象となるのは弱い立場の人ばかり。その上、仕事内容を恋人エ
ヴァに否定される。仕事を辞めようか悩むが、苦労して手に入れた今のポジシ
ョンをたった3ヶ月で降りることもできない。そして心を鬼にして、仕事を着
手することにした。工場員の批判は絶えないが、自身の保身を覚えていく青年
…。そして良識ある青年は、徐々に会社の「ワークハード・プレイハード」と
いう精神を受け入れるようになる…。
会社を存続するためにリストラを決断する人、リストラ要員を選ぶ人、リスト
ラされる人……それぞれの立場に正当な思いがあり、誰が正しいわけでも間違
っているわけでもない。この作品では、その事実に対して肯定も否定もせず、
葛藤しながら変化していく青年像を描いている。筆者の普段の人間関係でも、
大きな組織に入って、組織と個人の見識の違いに悩む人を多く見てきただけに、
この青年像がとてもリアルに見える。そして、作品では、この変わっていく青
年への判断を観るものにゆだね、解答は自分自身で出してください、と語りか
けているようだった。観た後にどんな感情が残るかで、自分自身の価値観もみ
えてくる、奥の深い作品だ。
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◆◆
◆◆お先にどうぞ
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2003年/110分/カラー
監督:ピエール・サルヴァドーリ
脚本:ブノワ・グラファン、ピエール・サルヴァドーリ
ダニエル・デュブロー
6月17日(木)16:00
アントワーヌはパリのブラッスリーの給仕長。仕事からの帰り道、彼は今まさ
に自殺しようとしている見知らぬ男の命を救う。男の自殺の動機を知り、もと
もとお人よしの彼は、何とか男を助け生活を立て直そうと努力する。自分の住
まいに彼の寝床を作り、仕事を紹介し…そして、彼が命を賭けたブランシュと
いう美しい女性にも逢いに行く。この男は彼女のことで頭がいっぱいで、彼女
に捨てられて死のうとしたのだ…。アントワーヌはルイとブランシュを復縁さ
せようと考えていた。だが、彼女が美しすぎたがために、思いもよらない方向
に進んでいく…。
人に頼まれたら断れず、余計な分まで人の心配をして世話焼きをする、果ては
自分が迷惑をこうむってしまう…そんなキャラクターが可愛くてたまらないア
ントワーヌ。助けたルイが金魚のフンのようにつきまとい、いわれのない文句
をつけられても、やっぱり助けてしまう。アントワーヌの一挙一動が優しくて、
観ている人の心を溶かしてしまう。それは助けられたルイも同様だったようで、
自殺未遂直後の情けない男像が脱皮するかのように、自信と勇気を取り戻して
いく。その様子は、励ましていたアントワーヌを超えてしまうほどで、そんな
ルイも徐々に可愛らしく思えて、クスクスと笑ってしまう。本作ではフランス
映画でよくあるようなエゴのぶつかりや、皮肉、疑惑、といった要素がないの
で、観ているうちにとってもリラックスしてしまうのだ。
コメディーの名手サルヴァドーリのおまちかね最新作とあって、散りばめられ
たユーモアはセンスに溢れていて楽しい。小道具がのちに意外な部分で生かし
て驚かせたり、脚本もとても上質だ。加えて主演のダニエル・オートゥイユも、
キュートな中年を好演している。総合的にバランスが取れていて、老若男女、
どんな気分の時でも楽しめそうな作品だ。
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◆◆
◆◆マリアージュ!
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2004年/101分/カラー
監督・脚本:ヴァレリー・ギニャボデ
出演:マチルド・セニエ、ジャン・デュジャルダン、ミウミウ・リオ
アレクシス・ロレ
「愛することは素晴らしい」と神父が熱意を込めて語っても、フランスでは3
組に一組の夫婦が離婚するご時世だ。そんな中、25歳の2人が結婚する。しか
し、参加した結婚10年目の35歳の夫婦はお互いにいがみあっている。45歳の
夫婦は既に離婚した。他の夫婦を見ても、結婚の理想像が崩れていくばかり。
それぞれの夫婦が疑惑に揺れ、気持ちの変化に戸惑い、式を混乱させていく…。
「結婚に希望はあるのか?」と溜息をつきたくなってしまう。今まさしく希望
に溢れたカップルが結婚しようとしているのに、周りの夫婦たちは結婚にまつ
わるトラブルのオンパレード。結婚10年目で、奥さんに興味がなくなり、努
力をしなくなった夫。無関心な夫に腹立ち、他の男と不倫をする妻。別れた奥
さんの目の前で新しい恋人といちゃつく男。
自分の夫の浮気を25年も黙認してきた妻。セックスをしたのは既に15年前の夫
婦…。これぞ、フランス流、結婚問題のフルコースである。こんな彼らが織り
成すエピソードの数々は、観ていて飽きる事はなく、お笑い人生劇場のように
楽しめてしまう。
けれど、ふと我に返って、「明日はわが身」という皮肉さも感じてしまう。こ
れから結婚する人には踏絵のようなフィルムであり、既に結婚した人には、あ
まりのリアルさに身につまされるかもしれない。結婚する意味はどこにあるん
だろう、という疑問を投げかける本作だが、最後にちゃんと温かいヒントが隠
されている。結婚というものに悩んだことのある者同士、観終わった後に、語
り合いたくなる映画だ。
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◆◆刺繍する女
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2004年/88分/カラー
監督:エレオノール・フォーシェ
脚本:エレオノール・フォーシェ、ガエル・マーセ
出演:ローラ・エマルク、アリアンヌ・アスカリッド
マリー・フェリックス
6月18日(金)14:30
まだ17歳の若さで子どもを宿していることを知ったクレアは、生みの親が子ど
もの出生を届け出ず親権を放棄する「匿名出産」で子どもを産むことにした。
周囲の人間から妊娠を隠すためにクレアが身を寄せたのはオートクチュールの
刺繍職人メリキアン夫人の家だった。日を追うごと、刺繍の一針ごとに、クレ
アのお腹が大きくなるにつれ、2人の間が変わっていく。メリキアン夫人から、
刺繍の技巧だけでなく、親・子・母・娘といった人間関係の愛情というものが
伝授されていく…。
子どもを授かるが育てない決断をしたクレアと、事故で息子を亡くしたメリキ
アン夫人。二人がやり取りをする様は、刺繍を一針一針、ゆっくり細やかに進
めていくかのように、静かで美しい。窓から射す柔らかな光、刺繍の美しさ、
少女の白い肌と赤い髪、など映像の美しさは、まるでフェルメールの絵画のよ
う。台詞も少なく、淡々とした印象だが、それが逆に高尚な雰囲気となり、ま
るで上質な文学作品を眺めているようだった。
倒れたメリキアン夫人をクレアが毎日見舞いにいき、お腹が大きいクレアをメ
リキアン夫人が気遣うさまは、確かな愛情が流れていて本物の家族よりも、家
族らしかった。「匿名出産」という制度も日本では存在しないため、フランス
独自のテーマとなっている。妊娠して子どもが生まれた後の選択の多さ、擬似
家族のような関係など、多様な家族のあり方を容認するフランス文化がふんだ
んに現れた作品である。
ギニャボデ監督による鮮やかな脚本と世代の違う魅力的な俳優たちのアンサ
ンブルが見ものの本作。フランスの結婚式の実情が見られるのも面白い。4
月のフランス公開では、公開1ヶ月を待たずに百万人以上の動員を記録する
大ヒットとなっている。
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juin 12, 2004
AntenneFrance N.268 フランス映画祭横浜2004 特集
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【フランス映画祭横浜2004 特集】
□父と息子たち
□ぼくセザール 10歳半 1m39cm
□いつか会える
□あなたを待つ人生
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◆◆父と息子たち
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2002年/97分/カラー
監督:ミシェル・ブージュナ
脚本:エドモン・バンシモン、ミシェル・ブージュナ
出演:フィリップ・ノワレ、パスカル・エルベ、シャルル・ベルリング
ブリュノ・プズル
6月16日(水)20:00
レオは一家の年老いた父。彼は今や気持ちがバラバラになってしまった息子3
人の愛情を取り戻すためなら、何でもしたい気になっている。ある日彼はちょ
っとした病で倒れた。それをいいことに、心配する息子たちに重大な手術が必
要なんだと嘘をつき、その前に皆で旅行に行きたいと願う。さすがの息子たち
も同行を断れなかった。かくして父と息子たちはカナダに旅に出るが…。
『赤ちゃんに乾杯!』などで知られるベテラン俳優ミシェル・ブージュナの初
監督作品。彼はこの不協和音を奏でるカルテット(4人の家族)の見事な指揮
者となっている。はじめはバラバラでどうなる事かと思った家族が、ぴりりと
効いたユーモアと、温かい眼差しという魔法の指揮を持ってして、見事なハー
モニーに変えられていく。家族は時にすれ違うことがあっても、お互いが向か
い合って時間を過ごすことで、いつだってまた愛し合うことができるのだと気
がつかせてくれる作品である。
父親レオの、垂れた目、丸い鼻という外見もさながら、息子達への奮闘ぶりが
あまりにも可愛い。「クジラを見にカナダに行く?シーズンオフだよ。」とい
う言葉には、「絶対いるのー!」と無理に押し通す。薬をこっそりチョコレー
トに変えて、息子達の前でいかにもなフリをして飲む。療法士の所に連れて行
かれたら、大樹に巻きついたり、気を受けたり、怪しい治療もなんのその。時
に子供のように駄々をこねたり、時に仙人のように悟ってみたり、レオの魅力
だけで惹きつけられるものは充分。
その上、個性の違う息子3人の織り成す兄弟喧嘩や助け合いは、身近に感じら
れて頷けるものばかり。「おまえはいっつもスープを音を立てる。こうだ、こ
う。」「えっ、こう?」「そう、いいね。」なんて、彼らが確実に家族だと認
識させ、言葉に出さない温かさが伝わってくるのだ。フランスで100万人も
動員させたというのも頷ける、必見のヒューマンコメディだ。
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◆◆ぼくセザール 10歳半 1m39cm
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2003年/99分/カラー
監督:リシャール・ベリ
脚本:エリック・アスス、リシャール・ベリ
出演: ジュール・シトリュク、マリア・ド・メデイルシュ
ジャン=フィリップ・エコフェ、ジョゼフィーヌ・ベリ
6月19日(土)11:00
ぼくの名はセザール・プチ。ちょっと太めだけど、そのことはあまり言われ
なくない。ぼくの親友はモルガン。成績優秀、スポーツ万能、その上大人っぽ
い。でも彼にも一つだけ悩みがある。父親を知らないこと。そして、学校一の
美女、サラ!彼女のためなら命も惜しくない。でも10歳の女の子に“男は中
身”だってことをわからせるのは簡単じゃない。ちょっと小太りなことの“羞
恥心”、甘い物への“執着心”、モルガンへの“友情”とサラへの“愛情”…
…そんな様々な葛藤に悩み、行動し、変わろうとするセザールの日常の大冒険
を描いた爽やかな物語。
『ぼくセザール 10歳半 1m39cm』というタイトル通り、全ての映像が
10歳半の気持ち、1m39cmの背丈から語られる。こどものまなざしに変
わると、世界は一変するのだ。「どうしてこどもには敬語を使わないの?」
「危険なヤツだと言ってた人のお葬式なのに、何故泣いてるの?」「大人はこ
どもに説明しないで、命令する」「色とりどりのケーキを眺めるのは最高!」
「田舎に行くのは追放された気分だ…」こども同士では口には出してもいても、
普通なら絶対に聞けない本音が聞けてしまう。そして、大人になった私たちが
忘れていた、懐かしくも甘酸っぱい感情がよみがえってくる。こどもの頃は毎
日まるで世の中の大発見をしているかのようだった。今一度、こどもの感性を
通して、生きるということがどういうことなのか探っていくのだ。
大人から見ると過小評価しがちなこどもの悩み…例えば初恋や、初めての旅行
のドキドキ、外見のコンプレックス…等、を本作では真っ向から撮影している。
そうすることで、ささいな出来事さえも、こどもは妥協しない真っ直ぐな姿勢
で向かい合っている、という事実に気がつかされる。小さな体を思い切り弾ま
せて、目を見開いて、体当たりで目の前の出来事をクリアして成長していくの
だ!
彼らの一人前になろうとする姿が愛らしく、時には大人よりも一生懸命にみえ
て、私たちは、そっと隠しておいた宝物を発見した気分になるでしょう。また
俳優のかわいらしさ、映像の美しさは、大ヒットした『アメリ』にも匹敵する、
という噂も立つほど。何度も、何度も繰り返し観たくなる映画です。
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◆◆いつか会える
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2004年/95分/モノクロ
監督・脚本:ブノワ・ジャコ
出演:イジルド・ル・ベスコ、ウアシーニ・アンバレク
ロランス・コルディエ、ニコラ・デュヴォシェル
6月19日(土)13:30
19歳の少女が恋に落ちた相手は、とんでもないならず者。ある日彼は銀行強盗
を働き、殺人まで犯してしまう。行く当てのない彼をかくまった彼女は、翌日
ある選択をする。彼と共に逃亡する、と!それは、堅苦しい父親とのアパルト
マン生活、淡々とした毎日…という今までの自分の人生からの逃亡でもあった。
かくして彼女は、自分が望んでいた人生へと突き進み始めるが…。
平凡で決まりきった毎日から抜け出したい、という逃避願望はあれど、実行に
移せる者はそういない。しかし主人公は銀行強盗をした彼との逃亡というキッ
カケで、飛び出してしまった。愛する人と朝から晩まで共にし、盗んだお金で
豪遊する生活は、まるで最高のバカンス。お金をストッキングの中に隠したり、
税関を何気なく通り過ぎることさえも、美味しいスパイスになる。
嬉しそうに「不良少女だから」と自ら語ってしまうあたり、状況に酔っていて、
事の重大さどわかっていない。その姿は奔放すぎて、少し浅はかなようにも見
える。けれども、19歳の頃、誰とも違う特別な生き方を望んでしまう気持ちは、
誰しも思い当たるフシがあり、それがある意味、不器用な純粋さでもあった気
がする。
しかし、彼女は行き過ぎた。果てしなく続くバカンスは存在しなかった。お金
も尽きた頃、苛立ちが広がり、それが彼女を現実と向き合わすことになる。
そして、最後には彼らとはぐれてしまう。愛する彼を失った喪失の表情からは
「浅はか、だけれど純粋な想い」を真っ直ぐに捧げていた事実を知らせ、観て
いる者をせつなくさせる。
モノクロの映像が、彼女が時折描くデッサンの線を美しく際立たせ、感情の光
と影をきめ細かく表現する。その繊細で触れると壊れそうなシーンの美しさは、
若さという一瞬のきらめきにも似ているものがある。
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◆◆あなたを待つ人生
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2003年/110分/カラー
監督:ティエリー・クリファ
脚本:クリストファー・トンプソン、ティエリー・クリファ
出演:ナタリー・バイ、パトリック・ブリュエル、ダニエル・ダリュー
ジェラルディン・ペラス、アヌーク・グランベール
6月20日 (日)13:00
親友とパリでレストランを開いているアレックスは、近々恋人との結婚を考え
始めていた。そんな時、彼は初恋の相手に12年ぶりに偶然再会する。いけない
と思いながらも、忘れられなかった女に再燃してしまう。しかし、同時に恋人
の妊娠も発覚する。初恋の相手との熱情に身をゆだねるのか、子供のいる人生
を選んで恋人に戻るのか、選択に迫られる男の物語。
「かりそめの恋は蜜の味 人生の重さをわかっていても」という作中の唄に、
映画の内容が凝縮されている。ジャンヌとの恋に溺れ、崇めるかのような眼差
しでみつめるアレックス。人妻であるが故に無責任さを批判され、それでも恋
の甘さに酔うジャンヌ。浮気にショックを受けるが、妊娠発覚で結婚を望む恋
人のクレール。アレックスが二人の間を右往左往する様は、まさしく蜜の味に
浸る瞬間と、人生の重さを振り返る瞬間が交互するかのよう。滑稽でもあり、
少しはかなくもある。けれども、そもそも恋とは現実を忘れさせてしまうほど、
その一瞬に生きるものだった、という事実を思い出させてくれる。
フランスの大スター、パトリック・ブリュエルの人気でフランス公開時に女性
客を中心に大ヒットしたこの作品。大女優ナタリー・バイが初恋の相手ジャン
ヌを、『見えない嘘』でも注目されたジェラルディン・ペラスが恋人役クレー
ルを演じ、それぞれ違った女性の魅力を競わせているのも見所だ。
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投稿者 paris : 08:07 PM
juin 10, 2004
AntenneFrance N.267 いつになく「政治的」だった、今年のカンヌ映画祭
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□いつになく「政治的」だった、今年のカンヌ映画祭
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◆◆いつになく「政治的」だった、今年のカンヌ映画祭
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去る4月22日、タランティーノ審査委員長のもと、第57回カンヌ映画祭の授賞
式が賑々しく行われました。もう結果についてご存じの方も多いと思いますが、
フランスで話題になったスキャンダルなどを含めて、今年のカンヌ映画祭を簡
単にご紹介したいと思います。
今年のカンヌを一言で表すと、「政治的」。その心は? といいますと、ます
はじめに、マイケル・ムーア監督の『華氏9・11 (Fahrenheit 9/11)』が、
最高の賞であるパルム・ドールを受賞したことが挙げられます。この作品は、
ブッシュ政権を批判するバリバリの政治的ドキュメンタリー映画。もちろん、
時勢や、監督独特のユーモアたっぷりの作風は優れていますが、ドキュメンタ
リー作品の同賞受賞は1956年のジャック・イブ・クストー監督の『沈黙の世界』
以来だそうで、いかにこの選択が異例であるかわかっていただけると思います。
また、招待作品の中に戦争や政治を題材にしたフィクション映画が多かったこ
ともあげられます(エミール・クストリッツァ監督の『la vie est un miracl
e』や、ジャン=リュック・ゴダール監督の『Notre Musique』など)。そして、
審査員をつとめた仏女優エマニュアル・ベアールは、社会的な活動に率先して
参加するという一面でもよく知られています。そしてさらに、このメルマガで
も何度かご紹介した、intermittent du spectacleの抗議活動が映画祭の会期
を通して、常に行われていました。彼らの行動は、残念ながらあまりメディア
に登場することはありませんでしたが、毎日どこかしらで、マニフ(manifest
ation デモ)をゲリラ的に行っていたそうです。
日本勢も健闘しました。是枝裕和監督の『誰も知らない』で、柳楽優弥くんが
史上最年少の主演男優賞を受賞。また、惜しくも賞は逃しましたが、押切監督
の『イノセンス』も、大変詩的で映像が美しいと下馬評が高かったそうです。
今年の審査員長が、アジア映画マニアのタランティーノ監督だったこともあり、
カンヌ初のアニメ作品の受賞なるか?と騒がれていただけに、受賞にならなか
ったのはとても残念。
しかし、韓国のパク・チャヌク監督の『Old Boy』がグランプリを、新鋭のア
ピチャポン・ウイーラーセタクン監督(タイ)の『TropicalMalady』が審査員
賞をそれぞれ獲得しまして、今まであまりフランスに紹介されていなかったア
ジア勢の活躍も注目されました。
アジアといえばもう一人、忘れてはいけない方がいます。オリヴィエ・アサイ
ヤス監督の『クリーン』で見事、主演女優賞に輝きましたマギー・チャンです。
この役は、いままでのフランス人が抱いている「憂いのある美しいアジア女性」
というマギー像をぶちこわすような役回りだったそうで、満場一致の受賞とな
ったようです。彼女の受賞がアサイヤス監督の悲しそうな顔(たぶん涙をこら
えていたのだと思われます)が印象的でした。
この監督は、『イルマ・ヴァップ』でのマギーとの仕事がきかっけになり、一
緒に暮らしていたこともある仲です。この『クリーン』は、監督がマギーのた
めに書いた作品で、きっとそういう日常の彼女を知る者だからこそ引き出せた、
素の部分をたっぷり使った役どころだったのではないでしょうか? ちなみに
彼女の役は、パリに住む中国からの移民。自身の不手際から実の子供を育てる
ことのできなくなった母が、子供を取り返すために奮闘するというストーリー
だそうです。
マギー・チャンといえば、もうひとつ、ウォン・カーウァイ監督の新作『2046』
にも出演しておりました。ウォン監督はカンヌの問題児と誉れ?も高い方です
が、今年はなんと、フィルムが届いたのが上映当日という有様で、早朝のプレ
ス上映も中止されたそうです。が、それでも悪びれずに、赤絨毯を闊歩。4年
間を費やした大作、と期待されていた割に、作品自体は良くも悪くも全作の
『花様年華』に良く似たものだったそうです。
しかも、上映後にもスキャンダルが。なんとマギー・チャンの名がしっかりク
レジットされているにもかかわらず、彼女の登場シーンがひとつもなかったの
です。多くの配給会社が「マギー」印をもとに買い付けていたこともあります
し、彼女だって、その事務所だって、彼女のシーンが全てカットされたとなれ
ば、おもしろくない、ということもあります。
しかし、実際にフィルムを観たジャーナリストたちは、上映された作品がファ
イナルカットではないと考えているようです。監督自身も、上映後のインタビ
ューで「あと2週間、いやあと2ヶ月あれば…」などど漏らしたそうですので、
案外この意見は正しいかも? 監督はこの後も撮影、編集を続け、何年後にな
るかわかりませんが、きっとまたカンヌに持ってくる、というか、カンヌ映画
祭が招待せざるを得ないのではないかと。ま、そんなわがままも許されちゃう
ところも、監督の魅力のひとつなのでしょうか?
カンヌ映画祭が終わっても、まだまだイベントは続きます。6月はじめのフラ
ンスは、テニス四大トーナメントのひとつ「ローラン・ギャロス」と、1944年
6月6日に決行されたノルマンディー上陸作戦の60周年記念式典の話題で持ちき
りです。その後は、一気にヴァカンスシーズンへ突入。今年も暑い夏になるそ
うです。
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◆◆フランスDVDマガジン『LA FRANCE.TV』 最新号のご案内
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今年度のフランス映画祭横浜も近づいて参りましたね。
『LA FRANCE.TV』で一足お先にフランスの空気を堪能してみてはいかがでしょうか?
【収録インタビュー】
1『フランス創作家具振興会/VIA』*
バスティーユ広場の新オペラ座裏手、Avenue Daumesnil(ドムニル大通り)。この
並びにショールームを構えるVIA(フランス創作家具振興会)。新しい展覧会のオー
プニング・パーティーの模様と世界からも羨望されるこの機関のディレクターか
らお話を伺います。
2『アイディーリーブル/iDLivre』*
自身の海外滞在時の経験から、海外でもフランスの本を読めるようにとビデオ
ゲーム業界から転身し始めた新しい出版社。フランス語圏の作品や絵本も扱いま
す。
3『TV France International』**
フランスのプロダクション、TV局などが東京で開く業界向け映像見本市。元在日
フランス大使館文化部映像放送担当で現在代表を務めるマチューベジョさんやパ
リに先進的な映画館をオープンさせたMK2の海外セールス担当者のマチルドさんな
ど日本市場に関してお話を伺います。
4『ヴァンサン・ペレーズ/VincentPEREZ』**
2003年の横浜フランス映画祭で団長を務めた人気俳優のヴァンサン・ペレー
ズ。初監督に挑んだ「天使の肌」に関して伺います。
5『Paris Branche』
毎回おなじみのメールマガジンで紹介のパリのスライドショーです。
*仏文トランスクリプト+日本語解説 **通訳
▼お求めはこちらから__________________________
インターネット、もしくはフランス関連書店でご購入いただけます。
◎AntenneFranceお申し込みページ(詳細もこちらからご覧いただけます)
→ http://www.lafrance.tv/dvd/
◎販売店舗
欧明社(飯田橋、お茶の水)、フランス図書(新宿)、紀伊國屋書店(福岡天神店)
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