juin 28, 2002

AntenneFrance N.214 第10回フランス映画祭横浜2002 記念セレモニー

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  S O M M A I R E
  □第10回フランス映画祭横浜2002
    記念セレモニー 6/20(木)
    アーメン
    セックス・イズ・コメディ
    見えない嘘
    海のほとり

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◆◆
◆◆記念セレモニー 6/20(木)
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 映画祭が第10回を迎えた記念として下記のようなセレモニーが開催された。

 場所/パシフィコ横浜・会議センターメインホール
 式次第
 1. ダニエル・トスカン・デュ・プランティエ氏(ユニフランス会長) 
   横浜文化賞受賞式(中田宏・横浜市長より授与)
     
 2. 横浜前市長・高秀秀信氏レジオン・ドヌールメダル授与式
   モーリス・グルドー=モンターニュ・駐日フランス大使より授与
    
 3. 第1回フランス映画トロフィー授与式  
   登壇予定者/岸恵子、他日本人審査員
   2001年3月から2002年2月までに日本で公開されたフランス映画のなかで、
   もっとも印象的だった作品に、トロフィーが授与されます。
    
 4. コメディアン・ジェローム・デシャン演出スペシャルプレゼンテーション
   ジェローム・デシャンとは、ジャック・タチの甥で、フランスで大人気6/20
   の演出家、コメディアン。

1. 中田市長の挨拶
 節目の映画祭に当たり、今年は高円宮同妃両殿下ご臨席を賜る事が出来た。また
 この映画祭はアジアからもバイヤーが多数来日しており、マーケットの場として
 も機能してきた。フランスも日本も美に対する繊細さが共通しているようだが、
 古くは溝口から北野監督まで日本のフィルムメーカーもフランスで紹介されてき
 ている。こうした日仏の文化交流に多大な尽力をしたのがダニエル・トスカン・
 デュ・プランティエ氏(ユニフランス会長)であり、その功績に感謝してここに
 横浜文化賞を贈呈する。

 この賞は横浜市の文化向上、発展に寄与する事を目的に横浜市の教育、社会福
 祉、医療、産業、スポーツ振興等の文化発展に尽力し、その功績が顕著な方々に
 贈られるものである。氏はプロデューサーとして様々な活躍をしてきた後、ユ
 ニ・フランスの会長に就任。その後フランス映画祭横浜においては1993年の第1回
 以来企画、運営に尽力してきたものである。

 受賞に対しダニエル・トスカン・デュ・プランティエ氏(ユニフランス会長)は
 好奇心旺盛な市民と共に経済的イベントとしても継続性のある映画祭にしていき
 たい。昨日のオープニング以来観客の反応の早さには吃驚する程だ。フランスか
 らもフランス映画界に長らく貢献してきたジャンヌ・モロー氏始め多くのアー
 ティスト達が、こうした観客の方々への愛証明している。今後も我々は更に強く
 多数になって訪日するつもりだ。これからもこうした出会いを続けていきたいと
 思う。

2. モーリス・グルドー=モンターニュ・駐日フランス大使の挨拶
 映画という普遍的な芸術に対して日仏の友好を温めてきたこの企画は、日仏関係
 の映画における発展を助成してきた。ばかりか近年は映画祭が横浜のショーウイ
 ンドウとなって、全国に、更には世界に向けて発信を始めている。これも1993年
 来映画祭開催に尽力してくれた高秀秀信前市長のお陰。そこで今日はその感謝と
 してナポレオン以来創設されたレジオン・ドヌール勲章を贈呈する。

 レジオン・ドヌール勲章とは文化、科学、産業、商業、クリエーション等の分野
 における民間人の「卓越した功績」を表彰するものである。

 受賞に当たり高秀秀信前市長は
 日仏交流の成果を認められて嬉しい。高野悦子氏はじめ多数のサポートを得て開
 催に漕ぎ着けた第1回や開催中止の声を上がる中もこうした方々に支えられて乗り
 切る事が出来た。

3.第1回フランス映画トロフィー授与式    
 観客動員数の多いものを5作品選び決定した。トロフィーはバカラパシフィック
 社長、小川氏の尽力で大きいのもが受賞作品の監督に、小さい方はその作品を配
 給した会社に贈られることになった。

 『アメリ』ジャン・ピエール・ジュネ監督不在の為、代理受賞はジャンヌ・モ
 ロー氏。配給はニューセレクトの大杉社長が受け取った。

4.コメディアン・ジェローム・デシャン演出スペシャルプレゼンテーション

5.作品づつ位に、来日ゲストが登壇し、合間にショートコント。
 どこまでも高音の女性やのんびりとアリアを歌う男性、そしてMR.Bean風のパント
 マイムが入って観客からは大喝采。特に横浜での決勝戦をネタに捻りのあるサッ
 カーコメディを披露してくれた。

 プレゼンテーションのお陰で、とかく形式ばかりで終始しそうなメダル授受式が
 和やかな雰囲気になった。特にステージ端で来日ゲストのプレゼンターを勤める
 ジャンヌ・モローの屈託のない笑いが印象的だった。

                               鳥野 韻子
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◆◆アーメン
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    Amen
    ★★★★★
    2002年/フランス
    監督:コスタ・ガヴラス
    出演:マチュー・カソヴィッツ、ウルリッヒ・トゥクール
    2002年ベルリン国際映画祭正式出品作品

 ナチスの親衛隊となったゲルシュタイン(トゥクール)、はその化学薬品に対す
 る知識を買われ水道浄化の仕事を与えられるが、実はそれらの知識がユダヤ人虐
 殺に使われていることを知り、なんとか止めようとカソリック教会に働きかける
 が皆見てみぬ振りをする。唯一彼の言葉に動かされた若き神父リカルド(カソ
 ヴィッツ)はなんとかしようとローマ法王に働きかけるのだが・・・。

 上映終了と同時に割れんばかりの拍手とブラボーの声が飛び交った本作。
 『ミュージック・ボックス』『マッド・シティ』などハリウッドにおいても常に
 社会問題や歴史にメスを入れるかのごとく、重厚な作品に取り組んできたコス
 タ・ガヴラスらしい見ごたえある作品。

 ホロコーストをテーマにしながら、殺人の現場や死体などは殆ど画面に登場せ
 ず、覗き穴から虐殺を見る人々の表情、そして収容所に向う、あるいは戻ってく
 る空っぽの貨物列車を繰り返し映すことだけで、恐怖を煽る演出が見事。観客の
 想像力までを考慮した演出が見事。

 主演の二人の演技も見事。『アメリ』ではコミカルで飄々とした青年を、『クリ
 ムゾン・リバー』ではアクションに挑戦し、『憎しみ』などでは監督としての腕
 前も証明したカソビッツが寡黙で敬虔な神父を清潔感一杯に演じまたも新境地を
 開いている。

 ゲルシュタイン役のトゥクールは舞台やオーケストラメンバーとしても活躍する
 オーストリア人だが、次回作はソダーバーク作品でジョージ・クルーニーとも共
 演するというからこれまた楽しみである。

 ストーリー的にハリウッドで作れなかったというこの作品。それでも真実を伝え
 ることを選び金儲け仕事に走らない監督の真摯な姿に感激。オリジナルは英語で
 撮影されたというから、それでも世界中でヒットすること間違いなしだろう。

                                MS.QT.MAI
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◆◆セックス・イズ・コメディ
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    Sex is comedy
    ★★★★☆
    監督:カトリーヌ・ブレイヤ
    出演:アンヌ・パリロー、ロクサンヌ・メスキダ

 『本当に若い娘』『ロマンスX』など、常に衝撃的な性描写で話題を呼ぶブレイ
 ヤ監督が、映画撮影の内幕を描くいわゆるメイキングものに挑んだ野心作。

 女流映画監督のジャンヌ(パリロー)は映画のメインとなる若い二人の初体験
 シーンを撮影しようとするものの主演の女優(メスキダ)と、男優(グレゴワー
 ル・コラン)はギクシャクしたムードでわがままばかりで撮影は難航し・・・。

 休憩のときのリラックスした表情から監督の表情になるパリローの変化も素晴ら
 しいが、ヘタクソと罵られながら最後には迫真の演技をみせる女優役のメスキダ
 の映画の中での成長振りが見事。ブレイヤ監督の次回作『ファット・ガール』で
 も主演を務めるというから楽しみである。

 官能的なシーンを入れれば入れるほど話題になるのが映画業界の常だが、キス
 シーン一つにせよあれだけ苦労してるんだなあ・・。と神妙な気持ちになった。
 男優がレプリカペニスを振りまわすシーンはこの映画のタイトルをそのまま体現
 しているような滑稽さを感じる。

 今までちょっぴり邪まな気持ちで見ていた映画の官能シーンだが、これからは神
 妙な気持ちで見てしまうかも。『プワゾン』のアンジェリーナ・ジョリーとバン
 デラスも相当苦労したに違いない?!

 ちなみに来日した女性3人はともにセンス抜群。とくにパリローのGパンからソ
 ワレまで着こなすスタイルの良さには感激!監督が着ていたこの作品のロゴTは
 SEXのXがスパンコールになっていてキュート。劇場販売するなら是非手にいれ
 たい!

                                MS.QT.MAI
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◆◆見えない嘘
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    ★★★☆☆
    2002年カンヌ映画祭コンペティション部門正式出品作品
    カラー/120分
    監督:ニコール・ガルシア
    脚本:ジャック・フィエスチ、フレデリック・ベリエ=ガルシア、
     ニコール・ガルシア
    出演:ダニエル・オートゥイユ、ジェラルディン・ペラス、
      エマニュエル・ドゥヴォス

 「ファーゴ」や「シンプル・プラン」を思い出させる作品。上記作品も今回の作
 品同様、小さなキッカケから坂を転がり落ちるように人生が壊れていくものであ
 る。本作品はそれらに比べて何が新しく何が面白いのか?

 本作品の主人公ジャン=クロード(ダニエル・オートゥイユ)は気の弱い、しかし
 プライドが高く周囲の人々に頼られたい男。このジャン=クロードがついた何の
 実質的な見返りをもとめない小さな嘘が重なって、彼の人生は破綻してゆく。大
 金持ちになりたいとか権力が欲しいとか、そんな大きな目標のためでなく、頼り
 になる男を演じたいがためだけに人生を棒に振るのである。それも巧妙な嘘では
 なく、子供じみた嘘で。そんな嘘が18年も周囲の人々にバレず、彼は18年もの間
 彼の望む「頼りになる男」を演じきる。更にはこれが実話だという。これら全て
 が滑稽で悲しく興味深い。

 この情けない主人公を演じるのは名優ダニエル・オートゥイユ。彼の知的な顔な
 らば、WHOに勤めている研究員といわれても、銀行員と知り合いで良い利率の商品
 があるといわれても何の疑いもなくハナから信じてしまいそう。

 こんなに気の小さな男。結局加害者は誰で被害者は誰なのか?もちろん普通に考
 えれば、あるいは法的にはジャン=クロードが加害者で周囲の人々が被害者とい
 うことになる。しかし実力のない気の小さい男に過度な期待を掛けたのは両親で
 あり妻であり周囲の人々だったのではないか?別に弁護する気は毛頭ないが、そ
 んなことまで考えたくなるほど結果は最悪でかつ、動機は幼稚なのである。この
 ギャップが大きければ大きいほど第三者が見るには滑稽で興味深いのである。

 誰もが嘘をついたことがある筈である。それだけに自分を振り返り、自分の人生
 の歯車が小さな嘘の積み重ねによって崩れてきていないか思い返してみたくなる
 衝動に駆られた。

                                多田 直
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◆◆海のほとり
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    ★★★☆☆
    2002年カンヌ映画祭カメラドール賞受賞
    カラー/88分/
    監督/ジュリー=ロペス・キュルヴァル
    脚本/ジュリー=ロペス・キュルヴァル、フランソワ・ファヴラ
    出演/ビュル・オジェ、ジョナサン・ザッカイ、エレーヌ・フィリエール

 なんとなくエリック・ロメール作品をイメージさせる作品。合間に入る「夏」
 「冬」などのテロップも、ロメールお得意の日記調に似ていて、ロメールファン
 の私としては好感が持てる。また脚本も淡々と日常を描く中に夢や欲望そして現
 実が交錯し、非常に現実的で共感しやすい。そんな描き方もロメールに似ている
 気がする。特筆すべきはキャラクタの精神描写が非常に巧みであること。故に
 キャラクタひとりひとりが活き活きしていて、観客は感情移入しやすく共感でき
 るのである。

 本作品で監督・脚本のジュリー=ロペス・キュルヴァルは今回のフランス映画際
 の1ヶ月前に行われたカンヌ映画祭でカメラドール賞を受賞した。一見すると若手
 女優の如く若くかわいらしい印象を受ける彼女だが、いわゆる最近のフランス映
 画界に多い「女優→監督」という流れではなく、最初から監督を目指してキャリ
 アを積んできた人物らしい。

 またローズ役にはヌーヴェルヴァーグの代名詞的女優のビュル・オジェ。なんと
 も愛らしいおばあちゃんを演じ、作品全体に安定感を与えている。

 また夢と現実のギャップに悩む若き美貌のマリー役には、「エステサロン 
 ヴィーナス・ビューティ」「キッド・ナッパー」で赤丸急上昇中のエレーヌ・
 フィリエールが扮し、ちょっとピリピリしたスパイスを画面に与えている。

 描かれたのは海辺の小さな町に住む人々の人間模様。そこに住む素朴な人々ひと
 りひとりに個性と今までの人生が感じられ、なんとなく昔から知ってた人なので
 はないか?と錯覚してしまうほど自然。物語の中にはヒーローもヒロインもいな
 い。特別な境遇の者もいない。本当に普通の人たちばかりが存在し、ひとりひと
 りが小さな欲望や夢、そして悩みを抱えているあまりにも自然な生活感をさわや
 かに感じさせてくれる作品である。こんな作品を見たかった。

                                多田 直
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◆◆フランス国営国際放送・音楽専門ラジオ局のrfi musique
◆◆ストリーミング配信を開始
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 2002年4月1日、AntenneFranceはRadioFranceInternationaleの音楽専門ラジオ放
 送rfi musiqueライブ放送をブロードバンドで開始いたしました。rfi musiqueは
 24時間フランスのポップミュージックを発信する音楽専門のラジオ局です。この
 サービスにより、これまで国内では特殊な受信設備がなければ聴取できなかった
 フランスのラジオ放送をライブで気軽にお聴きいただき、フランス文化をより身
 近に体験していただくことが可能となります。

http://www.AntenneFrance.com/rfi/
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投稿者 paris : 06:23 PM

juin 24, 2002

AntenneFrance N.213 第10回フランス映画祭横浜2002

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  S O M M A I R E
  □第10回フランス映画祭横浜2002
    ジャン・フランソワ・ステヴナン、クレール・ステブナン インタビュー
    ミシュカ
    ぼくのパパは、きみのパパ

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◆◆
◆◆ジャン・フランソワ・ステヴナン、クレール・ステブナン インタビュー
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    第10回フランス映画祭横浜2002
    『ミシュカ』
    監督・脚本・主演 ジャン・フランソワ・ステヴナン
    主演クレール・ステヴナン インタビュー

□ジャン・フランソワ・ステヴナン
 F・トリュフォーの助監督として活躍する一方で『アメリカの夜』(73)、『思
 春期』(76)などに出演、俳優としての作品には『つめたく冷えた月』(91)
 『オリヴィエ・オリヴィエ』(91)『ジェヴォーダンの獣』(01)などがある。
 78年の監督デビュー作『防寒帽』はベルリン映画祭国際批評家連盟賞なども受賞
 し、高い評価を得た。今回『ミシュカ』では、監督・脚本・出演を務めている。

□クレール・ステヴナン
 監督の妻であり、公私共のパートナー。本作には主人公ミシュカの義理の娘とし
 て出演している。ジャンヌ役のサロメ・ステヴナン、レオ役のピエール・ステヴ
 ナンの良き母でもあり、まさにキャリアと家庭の両立をこなす理想の女性といえ
 よう。

 インタビュー会場であるホテルの一室に現れたお2人、さりげなくよりそう姿が
 まさに良きパートナーという感じで何も言わずとも仲睦まじい様子が伝わってく
 るようであった。

 ダークカラーのシャツを着たジャン・ピエール・ステブナン(以下JS)は映画の
 なかでの険しい顔つきとはうって変わり、青い目が印象的な柔和な雰囲気の持主
 であった。

 エル役のクレール(以下CS)は夏らしい白いスーツに茶と白のコンビのロー
 ファーを素足に履き、とてもセンスの良い人という印象を受けた。

ScreenKiss(以下 SK):
 本作には奥様のクレールさん、娘さんのサロメさん等家族ぐるみで取り組んでい
 らっしゃいますね。このような暖かい家族に恵まれた監督が何故『擬似家族』を
 テーマにした家族と上手くやっていけない人達の作品を取ろうと思われたので
 しょうか。

JS:
 私はずっと幸せな家族とは何か、ということを考えてきました。そして例えば常
 に大人数で異動をするジプシー、大勢の人が集まって仕事をする映画の世界とい
 うような、グループの人々に興味をもっていました。こういった大勢の人が一緒
 に旅行などで行動を共にすることによって絆を深めていく様子を描きたかったの
 です。また、人生には色々な出来事がおこりますがそういった出来事に色彩を与
 えたかったのです。しかしこういった『家族』をテーマにいつも作品を作るとい
 うわけではなく、今回だけですが。

SK:
 普段一緒にいる家族と、仕事として映画を作っていくことに問題点や難しい点は
 なかったのでしょうか。

JS:
 問題は全くなく、むしろ簡単でした。映画を作ることが家族皆の目的になり、家
 族がいることで常にエネルギーを与えてくれました。この『ミシュカ』について
 は2、3年にわたって家族で話し合い、暖めてきましたので、この作品が完成し
 たときはその長年皆の心にあったものが解き放たれたという感じでした。

 また、私自身が一人っ子だったもので常に大家族というものに憧れてきたことも
 あり、映画が私の家族だと言ってきました。ですのでそこに家族がいることはご
 く自然なことなのです。

SK:
 お二人とも映画の世界で長年生きていらっしゃって、その間には様々な問題や壁
 にぶつかったこともあったと思いますが、若いお嬢様や息子さんが今後この世界
 で生きていくことには抵抗などはないのでしょうか。

JS:
 ないですね。逆に嬉しく思います。これは遺伝子がどうとかいうことではなく自
 然なことであり、彼らが私がやってきたことを見て、肌で感じてくれたことが喜
 ばしいですね。例えばF1の世界でもシューマッハの親子関係の例がありますが、
 そういった親子関係は映画界にもあり得るのです。

 問題に対しては恐れません。子供達が幼い頃、自分が仕事で遅くなったり留守に
 したりで心配になったことは逆にありますが。彼らは映画に関わり『仕事をす
 る』ということで自ら責任ということについて学んでいます。これは遊びではな
 く仕事なのだという責任感を持つことを。だから、今後彼らが学業の道に戻って
 もこれは良い方に働くと思っています。

JS:
 娘のサロメが幼い頃、仕事から帰って来た父親がいつも幸せそうな満ち足りた顔
 をしているのを見て、"彼はいったいどんな仕事をしているの?お父さんを幸せに
 している仕事がどんなものなのか見てみたい。#と言ったものです。そういうのを
 ずっと見てきているわけですので、子供達が映画の世界に入ることはごく自然な
 ことなのです。

SK:
 本作の主人公ミシュカについてお聞きしたいと思います。彼は大変無口ですが、
 実は自我の強い人物像に見うけられます。彼がナチスのユダヤ人虐殺を非難する
 とも取れる台詞を口にするシーンがありますが、こういった台詞を入れた理由
 は?

JS:
 ミシュカという人物はおっしゃる通りのキャラクターですが、息子に置いてきぼ
 りにされ、酒を飲んで愚痴をいったりと不幸で、上手に生きれない人です。

 その彼がドイツ人の友人に対し、ユダヤ人虐殺の話をして責める場面について
 は、彼はこの友人がその歴史上の悲劇に何の責任もなく、どうしようも出来ない
 のを知っていて、わざと言っているのです。

 つまりより不幸な人達の例を挙げ、人を責めたりすることにより自分の不幸を他
 人にも解ってもらいたい、和らげたいという気持ちの現れなのです。それを表現
 するためにこのシーンを入れました。

SK:
 作品を見ていく上で、余計な効果音や音楽が殆どなく、風の音や波の音、街の騒
 音といった自然の音が耳に飛び込んでくる印象がありました。これにはどういっ
 た意図があるのでしょうか。また、撮影監督のピエール・アイム(『憎しみ』)
 を起用したのは何故でしょうか。

JS:
 私は映画で言いたいことを台詞で説明していくのは好きではありません。子供の
 頃、父親がシネクラブに入っていたこともあり日本のミゾグチなどの作品を見
 て、その時に言葉は全く解らなくても感動できたことを覚えています。ですの
 で、台詞を使わずとも自然の音や、雲の流れといったイメージで感動を伝えるこ
 とは可能で、それをやりたかったのです。

 撮影監督のピエール・アイムもこういった点に賛同してくれたので一緒に仕事を
 するはこびとなりました。

SK:
 今日はお忙しい中、お時間を割いて頂きありがとうございました。

JS/CS:
 ありがとうございました。

□インタビューを終えて
 こちらが家族の話をするたびに、本当に嬉しそうに話してくれたお二人。監督が
 話している間も、奥様クレールさんの暖かい眼差しは常に監督に注がれ、まるで
 自分もその暖かい家族の輪のなかにいるかのような、始終寛いだ雰囲気のなかで
 インタビューすることが出来た。通訳を介してのインタビュー故、日本語で話し
 かける様子がおかしかったらしく、思わずお二人とも笑い出す場面もあり、お二
 人の優しい人柄が伝わってきた。次回来日する際は、是非家族全員で来て頂きた
 いなと思いました。

                                MS.QT.MAI
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◆◆ミシュカ
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    Mischka
    2002年/116min/カラー
    監督・脚本・出演:◎ジャン=フランソワ・ステヴナン
    出演:ジャン=ポール・ルション、ローナ・ハートナー
    6月23日(日)10:00上映

 家族と車でキャンプ場に向う途中、休憩場に置き去りにされた老人(ジャン・
 ポール・ルション)、彼をまんまと言いくるめた看護士ジェジェーヌ(ジャン・
 フランソワ・ステヴナン)は彼にミシュカというあだ名を付け、長年会っていな
 い娘に会うため旅にでる。その途中、幼い弟を連れて家出した15歳のジャンヌ
 (サロメ・ステヴナン)、ジプシーで歌手のジョリ・クール(ロナ・ハート
 ナー)などが加わり家族のような絆を深めて行くのだが・・・。

 主人公ミシュカは無口で一見何を考えているかわからない印象だが、最小限の台
 詞と、その表情だけで彼の性格を見事に表現している。特にラストに1人ぽつんと
 残された彼の表情が印象的。

 余計な音楽や効果音を避け、雑踏のなかの騒音や、風の音や鳥の声が耳に入って
 くることで、見ているほうもその場にいるような自然な感覚が生まれてくる。登
 場人物たちの微妙な心の動きが伝わってくるようだ。

 全くの他人である筈の登場人物たちが旅を通じて心を通わせ信頼を寄せ合うよう
 になる様はまったく雰囲気こそは違うがフジテレビの人気番組『あいのり』を思
 い出させた。全くの他人同士でも旅という一つの目的を通じて協力しあっていく
 上で心を通わせることが出来るといういい例ではないだろうか。

 ちなみに作中には監督の妻、娘、息子が総出演。そんな家族の絆がひしひしと伝
 わる暖かい作品であった。

                                MS.QT.MAI
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◆◆ぼくのパパは、きみのパパ
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  Les femmes... ou les enfants d'bord
  ★★★★☆
  2000年/仏
  監督:マニュエル・ポワリエ
  出演:セルジ・ロペス、マリリン・カント

 安定した仕事と3人の子供と良き妻を持つトム(ロペス)。そんな彼の前に8年
 前に別れた恋人(シルヴィー・テスチュ)が現れ、あなたの娘を認知してほしい
 と言われる。ただでさえ、仕事と子育てで修羅場の毎日に更なる出来事が振りか
 かり・・・。

 題名からして、突然の出来事に戸惑う男のドタバタ・コメディかと思いきや、意
 外や意外。マジメに子育てとは何ぞや?子供を持つとは何ぞや?を問うマジメで
 ほのぼのした作品でした。

 主人公が暮らすフランスの田舎町。隣近所に何か起これば皆で助けあったり、問
 題があれば口にだして注意するような・・・。まるで古き良き時代の日本を思わ
 せるような隣近所づきあいがあるのには驚いた。隣人が『俺はよその子だろうが
 自分の子だろうが分け隔てはしない。同じように叱る』と語るシーンがあるが、
 いまの日本に足りないのはまさにそういった感覚ではないだろうか。

 ベビーカーを運ぼうとしたら階段しかなかったり、レストランに行ったら子供用
 の椅子がなかったりと、幼い子供を持つ人ならだれでも一度は出くわす問題をさ
 らりと取り入れている。普段は子育てに追われ何もする時間のない奥さんが友達
 と一日だけ買い物に行き、『楽しかった。1人の時間っていいわね』という台
 詞・・・。こんな現実的だが共感できる台詞使いの上手さ!

 アメリカ映画で子育てものというと、とかく子役の演技力ばかりが目立つお涙頂
 戴ものになったり、現実には有り得ないような度が過ぎたドタバタになったりし
 がちでいまいち白けてしまうのだが、こちらは子供に素で振舞わせたという監督
 の演出が生き、あくまでリアリティがあるところがいい。

 主人公がバーで出会う男と語るシーンも印象的。バーの男が『愛って大切か?感
 情は?セックスは大切か?』と問いかけると『それは全部大事だけどそこに子供
 と友情も加えてくれ。』と主人公が切り返すのだが、とかく前の3つばかりに流
 されてしまう人が多いからこそ、恋愛がらみで友情が壊れたり、はたまた子供に
 虐待したり、平気で捨てたりする親が出てくるわけであり、流されずに地に足を
 つけて生きることや、周囲と協力しあって生きることの大切さを改めて考えさせ
 られました。

                                MS.QT.MAI
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投稿者 paris : 06:22 PM

juin 21, 2002

AntenneFrance N.212 第10回フランス映画祭横浜2002

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  S O M M A I R E
  □第10回フランス映画祭横浜2002
    記者会見
    記念レセプションパーティ

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◆◆
◆◆第10回フランス映画祭横浜2002記者会見
  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  6月19日(水)フランス大使館にて

 出席:
   ジャンヌ・モロー(第10回フランス映画祭横浜名誉団長)
   ベルトラン・タヴェルニエ監督(『レセ・パセ』)
   モーリス・グルドー・モンターニュ(駐日フランス大使)
   齋藤龍(フランス映画祭横浜受入委員会会長、
       財団法人横浜市芸術文化振興財団理事長)
   ダニエル・トスカン・デュ・プランティエ
      (ユニフランス・フィルム・インターナショナル会長)

■モーリス・グルドー・モンターニュ(駐日フランス大使)

 今年は第10回目の記念企画として幾つかの趣向があるが、何と言ってもフランス
 映画界の貴婦人、ジャンヌ・モロー氏が臨席してくれた事は素晴らしい。また、
 横浜市とリヨン市は姉妹都市だが、ここに出席しているベルトラン・タヴェルニ
 エ監督は市内のルミエール学院の院長をされている。

 フランスと映画祭の関わりは、勿論フランス映画の復旧が目的ではあるが、世界
 における文化の多様性を考える上でも大切だ。文化は一般的な商品と同等に扱っ
 てはいけないものだからだ。文化的な資源をより豊かにする事は映画の製作や世
 界への紹介も含まれる。その映画普及に貢献しているのがユニフランスである。
 また日本側を支え配給会社のお陰もあって、今ではアメリカ映画に次ぎフラン映
 画が多数上映されている。お陰で昨年フランス映画を見た日本人は実に420万人に
 もなった。

 今年は新企画として初の皇室(高円宮同妃両殿下)臨席の下、2001年3月から2002
 年2月までに日本で公開されたフランス映画のなかで、もっとも印象的だった作品
 に、フランス映画トロフィーが授与される。これには7人の審査員により選出され
 た(アンドレ・シガノス フランス大使館文化参事官)。

■ジャンヌ・モロー(第10回フランス映画祭横浜名誉団長)

 1965年に初来日して以来、定期的に日本に来ている。その都度過去の文化を大切
 にしながらも進歩している日本という国を目のあたりにしてきた。若さと現代
 性、それに伝統が程よくミックスしている。また、日本人の友人のお陰で美味し
 いビールや酒を味を知った。ダニエル・トスカン・デュ・プランティエ会長にし
 て貰った事にはことのほか感謝している。

■齋藤龍(フランス映画祭横浜受入委員会会長、
     財団法人横浜市芸術文化振興財団理事長)

 フランス映画祭受け入れの団長をしている。1993年に始まった映画祭と共にこの
 10年で横浜も激しく変化をしてきた。映画祭も横浜のみならず全国的に関心が寄
 せられてきた。文化交流の場としても映画祭は大いに機能しており、今年も市民
 上映会や、大学生などの若い世代との交流も企画されている。

 今回欠席となった中田宏市長からのメッセージを代読

 この映画祭を横浜市民代表としても歓迎します。カンヌはじめ海外の映画祭に出
 品した作品も数多く上映されます。映画祭を通して文化交流に長らく貢献してく
 ださったダニエル・トスカン・デュ・プランティエ会長には6月20日に横浜文化賞
 を差し上げます。折しもFIFAW杯開催中で、6月30日には決勝戦が横浜で行われる
 事もあり、この時期に映画祭を開催する事は世界にも知ってもらえる絶好の機会
 だと思います。

■ダニエル・トスカン・デュ・プランティエ
 (ユニフランス・フィルム・インターナショナル会長)

 ジャンヌ・モロー氏と同席出来た事は大変嬉しい。10年前はフランス映画を将来
 に伝えていきたいと思って始めた。当時もシネフィルがいたのだが、若い人をど
 のように惹き付けるかが課題だった。2001年までに合計156本の作品を上映してき
 たが、それらは全て日本で最初の上映となっていた。そしてそのうち100本以上が
 配給が決まって公開された。

 2001年の統計によれば10年前に比べ日本でフランス映画を見た人は4倍になった。
 来日したゲストも500人を超えて重要で効果的な映画祭として定着した。今年もフ
 ランスでもまだ公開前の作品の上映もあり、3本の作品はカンヌから直接届けら
 れた。10周年企画としては変わらぬ人気を誇る『ぼくの伯父さん』を甥の手で再
 編集し上映される。オペラ作品が登場するのも初めての事だ。

■ベルトラン・タヴェルニエ監督(『レセ・パセ』)

 この映画祭にやって来る人は皆好奇心旺盛で熱心。これが次の作品をつくる意欲
 をかきたててくれる。映画祭で上映し、その後公開の運びとなった『今日から始
 まる』はローカルな作品だったが教育の分野の人達にも感動して貰う事が出来
 た。日本には親近感を持っている。今は息子の『エトワール』が上映中でヒット
 していると聞いて嬉しい。

 自分自身日本の映画を見て育ち、日本の映画人とも交流が出来た事はとても喜ば
 しい。昔から溝口などは高く評価してきたのだが、とりわけ新藤兼人監督の『広
 島の子供達』は13歳の時に初めて見た日本映画として印象的だ。また日本の最近
 の若手監督が海外で高く評価されてきているのもいい事だ。私はリヨンで生まれ
 育ち、今はそこで映画学校に勤務している。リヨンでは以前の高秀前市長がプレ
 ゼントしてくれた桜の樹がすくすくと育っている。

■アンドレ・シガノス (フランス大使館文化参事官)

 本年度より新設された「フランス映画トロフィー」について本トロフィー審査員
 を代表して、岩崎良美氏・コシノ・ジュンコ氏・SILVA氏・別所哲也氏が記者会見
 に参加。

 2001年3月~2002年2月までに日本で公開されたフランス映画の中からもっとも印
 象的だった作品に贈られるトロフィー。このトロフィー発案者はモーリス・グル
 ドー・モンターニュ大使。トロフィー製作はバカラパシフィックのクリスタル
 製。ハンドメイドでとても重たい。

 候補になったいる作品は『ヴィドック』『WASABI』『アメリ』『ジェヴォーダン
 の獣』『夏至』。

 また同時にフランス映画に貢献した方々としてフランスから岸恵子氏に「芸術文
 化勲章」が、高秀前市長に「レジオン・ド・ヌール勲章」が授与される予定。

                                鳥野 韻子
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◆◆
◆◆第10回フランス映画祭横浜2002記念レセプションパーティ
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  第10回フランス映画祭横浜2002
  記念レセプションパーティ
  ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテルボウルルーム

 19:00より行われた記念セレモニーに続き、ボウル・ルームに場所を移して
 行われた今年のパーティ。主催は、カトゥーンシリーズや、トレイラーシリーズ
 など次々に新しいラインを生み出し、今や若手セレブ人気ナンバーワンブランド
 となったクリスチャン・ディオールのパフューム・ライン、パルファン・クリス
 チャン・ディオールである。

 故にディオールのドレスやバッグなどの新作を身につけたセレブが非常に多かっ
 た。来場者にはサンプルではない!ジャドール・オードゥ・パルファンがプレゼ
 ントされるという嬉しいハプニングもあった。パウダールームにもこちらが置い
 てあり、会場は甘い香りに包まれていた。

 フランス映画祭代表団はもとより、国内外の著名人、セレブ達が多く集うこのレ
 セプション、今年顔を見せた方々は、奥田瑛二・安藤和津夫妻、別所哲也、人気
 番組『王様のブランチ』の歌う映画解説でお馴染みのリリコ、トルシエ監督の通
 訳としてもお馴染み、プレミアマガジン記者のF・ダバティ、デザイナー、コシ
 ノ・ジュンコ等々(敬称略)。

 男性はブラック・タイ着用、ドレスコードありのフォーマルなパーティだが、カ
 イリー・ミノーグの大ヒット曲がかかればマリー%ジランら若手女優達はノリノリ
 で歌い出すし、ジェラール・ジュニョはアイスを食べながらご満悦、『タン
 ギー』の主演俳優エリック・ベルジェは日本語の『アリガトー』を連発してくれ
 るわで、このどことなくアットホームな雰囲気こそがフランス映画祭のいいとこ
 ろだろう。

 ただ大女優ジャンヌ・モローだけは動くたびに全てのマスコミも大移動といった
 感じでくつろげなかったのでは・・・と少し気の毒な思いがした。

 中央のステージに設けられた和太鼓の演奏が始まると、そこにディオール・ア
 ディクトの文字がライトで浮かび上がりなんともいえない無国籍ムードが漂って
 いた。フランス映画祭における日仏交流を象徴しているかのような素晴らしい演
 出だった。

                                MS.QT.MAI
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投稿者 paris : 06:21 PM

juin 20, 2002

AntenneFrance N.210 第10回フランス映画祭横浜2002

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  S O M M A I R E
  □第10回フランス映画祭横浜2002(6/19~23)

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◆◆
◆◆第10回フランス映画祭横浜2002(6/19~23)
  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◎来日確定(変更の可能性も有り)

 □アーメン
  Amen
  2002年/130min/カラー
  監督:◎コスタ・ガヴラス
  製作:◎ミシェル・レイ=ガヴラス
  出演:ウルリッヒ・トゥクール、マチュー・カソヴィッツ
  6月22日(土)18:00上映

 ドイツ人作家ロルフ・ホーホフトが1963年に実話を基に執筆した「LE VICAIRE
 (神の代理人)」の映画化。キリスト教徒でもあるナチスのエリート親衛隊員ゲ
 ルスタインはユダヤ人の大量虐殺を目撃し、ベルリン駐在教皇庁に在籍する修道
 士リカルドと共に、ローマ法皇に殺戮の阻止を訴える。だが、事実を知りつつ沈
 黙する法皇に、リカルドは自らダビデの星を胸にユダヤ人収容所に入り犠牲とな
 る。一方ゲルスタインは記録を全て提出したものの、罪人とされ刑務所で自殺を
 するが・・・。

 コスタ・ガヴラスらしい骨太で重厚な作品。登場人物の顔のアップと、場面繋ぎ
 にユダヤ人輸送貨物の往復を何度も挿入する事で、時間の流れと各人の思惑とを
 対照させていく手法が素晴らしい。また単純に善玉、悪玉を対比させるだけでな
 く悪玉の上を行く人間=ここではゲルスタインの同僚となる医者の配置もいい。
 ゲルスタインと知り合う以前に、既に彼の知的障害を持つ姪を殺している因縁の
 人物。

 良心の声に従って正しい事を貫こうとするゲルスタインとリカルドに対し、事実
 を正確に理解しながらナチスに心酔する訳でもなく、冷静に保身を第1に最後ま
 で生き残る。同様にローマ法皇もまた、異なる立場ながら結果は同じだ。一方が
 積極的な殺人協力に対して一方は消極的な殺人を犯しているのだ。

 「あるがままの人生と理想の人生。あるがままの人生を生きるしかない」という
 リカルドの父の言葉。そして沈黙を正当化する法皇に投げ掛けるリカルドの
 「Amen」の重さが哀しい。

 □クロエの棲む夢
  Les Diables
  2002年/105min/カラー
  監督:◎クリストフ・ルッジア
  製作:◎ベルトラン・フェヴル
  出演:◎ヴァンサン・ロティエ、◎アデル・ハネル
  6月23日(日)12:45上映

 親に捨てられた兄ジョゼフと妹クロエ。クロエは喋れず身体を触られるのが大嫌
 い。いつもガラス片を持ち歩き、それで必ず家の絵を描く。彼等は「本当の家」
 を見つければクロエの病気が治ると思って施設を脱走する。ある日「毋」が訪ね
 て来るが・・・。

 子供達は素人だというが、舌を巻く程の演技だ。まるで盲目のように瞳を動かさ
 ず笑顔も滅多に見せず、ひたすら直線に歩くクロエ。兄の助けで施設を出てから
 今度は人が変わったように、誰にでもベタベタとしがみつき、どことなく女のエ
 ロスを感じさせる様は「凄い」の一言だ。

 一方兄のジョゼフは「毋」にクロエが妹でないと聞くが、身体に同じバースマー
 クを発見して戸惑う。兄らしい優しさと、不条理な社会に反撥するかのような怒
 りが共存する表情。特に放火した家をバックにカメラを見据える顔は、タイトル
 の「悪魔」そのもの。子供の持つ天使と悪魔の2面性がよく出ている。そこに社
 会的な部分と、どこか幻想的な部分がミックスされた不思議な作品だ。

 □バティニョールおじさん
  Monsieur Batignole
  2002年/103min/カラー/シネスコ
  監督・脚本・出演:◎ジェラール・ジョニョ
  出演:ジュール・シトラック、ミシェル・ガルシア
  http://www.mrbatignole.com
  6月23日(日)17:45上映
  2003年正月テアトルタイムズスクエア新宿にて公開予定

 ドイツ占領下のパリ。肉屋のエドモンはソーセージ盗難が元で、出発寸前だった
 隣人のバースタイン一家と争っているうち、将来の娘婿がナチスに通報。呆気な
 くユダヤ人のバースタイン一家は逮捕されてしまう。通報の見返りにドイツ軍御
 用達の肉屋になるが、ある日逃亡して来たバーンスタイン家のシモンが戻ってき
 て仕方なく匿う。が、娘婿に発見されたエドモンは彼を殺して、シモンとその従
 姉妹の計3人の子供達のスイスへの脱出の旅に出る事になるが・・・。

 いつの時代にも体制派と反体制派が存在する。だが、同様にどーでもいい派が大
 半なのだ。その大半の人間が否応なく、先のどちらかに態度を決めなくてはなら
 なくなった時初めて人間の真価が問われる。ことさら彼を英雄として描いた訳で
 もなく、事ある毎に仕方なく選択をしていくうちに政治の、人間の真の姿が見え
 てきた普通の人間だからこそ、何だか実話の映画化のような気がするのだ。特に
 最後に疑われるフランスの警察で、開き直って自らをユダヤ人と名乗ってしまう
 所は圧巻。

 その辺のおっちゃん的ジョニョーの風貌と、ユダヤ人医師の家庭で教育をされた
 利発な少年のコントラストが利いている。シモンは確かに愛らしいが、ちょっと
 『グロリア』に出て来た小生意気な少年にも似た部分も持っている。ジャック・
 ドワイヨンの『小さな赤いビー玉』を思い出すガキ智恵。家族を思って涙にくれ
 るシーンがないのもこの手の作品には珍しい。

 が、それこそがジョニョー流。どんな名優も子供と動物には叶わないというが、
 彼は充分対抗している。彼らしいエスプリの利いた笑いと、軽快な音楽は作品全
 体のリズムを内容の重さから解放している。家族で見て欲しい映画だ。

                                鳥野 韻子
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投稿者 paris : 06:19 PM

juin 13, 2002

AntenneFrance N.209 第10回フランス映画祭横浜2002

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  S O M M A I R E
  □第10回フランス映画祭横浜2002(6/19~23)

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◆◆
◆◆第10回フランス映画祭横浜2002(6/19~23)
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 ◎来日確定(変更の可能性も有り)

 □アーメン
  Amen
  2002年/130min/カラー
  監督:◎コスタ・ガヴラス
  製作:◎ミシェル・レイ=ガヴラス
  出演:ウルリッヒ・トゥクール、マチュー・カソヴィッツ
  6月22日(土)18:00上映

 ドイツ人作家ロルフ・ホーホフトが1963年に実話を基に執筆した「LE VICAIRE
 (神の代理人)」の映画化。キリスト教徒でもあるナチスのエリート親衛隊員ゲ
 ルスタインはユダヤ人の大量虐殺を目撃し、ベルリン駐在教皇庁に在籍する修道
 士リカルドと共に、ローマ法皇に殺戮の阻止を訴える。だが、事実を知りつつ沈
 黙する法皇に、リカルドは自らダビデの星を胸にユダヤ人収容所に入り犠牲とな
 る。一方ゲルスタインは記録を全て提出したものの、罪人とされ刑務所で自殺を
 するが・・・。

 コスタ・ガヴラスらしい骨太で重厚な作品。登場人物の顔のアップと、場面繋ぎ
 にユダヤ人輸送貨物の往復を何度も挿入する事で、時間の流れと各人の思惑とを
 対照させていく手法が素晴らしい。また単純に善玉、悪玉を対比させるだけでな
 く悪玉の上を行く人間=ここではゲルスタインの同僚となる医者の配置もいい。
 ゲルスタインと知り合う以前に、既に彼の知的障害を持つ姪を殺している因縁の
 人物。

 良心の声に従って正しい事を貫こうとするゲルスタインとリカルドに対し、事実
 を正確に理解しながらナチスに心酔する訳でもなく、冷静に保身を第1に最後ま
 で生き残る。同様にローマ法皇もまた、異なる立場ながら結果は同じだ。一方が
 積極的な殺人協力に対して一方は消極的な殺人を犯しているのだ。

 「あるがままの人生と理想の人生。あるがままの人生を生きるしかない」という
 リカルドの父の言葉。そして沈黙を正当化する法皇に投げ掛けるリカルドの
 「Amen」の重さが哀しい。

 □クロエの棲む夢
  Les Diables
  2002年/105min/カラー
  監督:◎クリストフ・ルッジア
  製作:◎ベルトラン・フェヴル
  出演:◎ヴァンサン・ロティエ、◎アデル・ハネル
  6月23日(日)12:45上映

 親に捨てられた兄ジョゼフと妹クロエ。クロエは喋れず身体を触られるのが大嫌
 い。いつもガラス片を持ち歩き、それで必ず家の絵を描く。彼等は「本当の家」
 を見つければクロエの病気が治ると思って施設を脱走する。ある日「毋」が訪ね
 て来るが・・・。

 子供達は素人だというが、舌を巻く程の演技だ。まるで盲目のように瞳を動かさ
 ず笑顔も滅多に見せず、ひたすら直線に歩くクロエ。兄の助けで施設を出てから
 今度は人が変わったように、誰にでもベタベタとしがみつき、どことなく女のエ
 ロスを感じさせる様は「凄い」の一言だ。

 一方兄のジョゼフは「毋」にクロエが妹でないと聞くが、身体に同じバースマー
 クを発見して戸惑う。兄らしい優しさと、不条理な社会に反撥するかのような怒
 りが共存する表情。特に放火した家をバックにカメラを見据える顔は、タイトル
 の「悪魔」そのもの。子供の持つ天使と悪魔の2面性がよく出ている。そこに社
 会的な部分と、どこか幻想的な部分がミックスされた不思議な作品だ。

 □バティニョールおじさん
  Monsieur Batignole
  2002年/103min/カラー/シネスコ
  監督・脚本・出演:◎ジェラール・ジョニョ
  出演:ジュール・シトラック、ミシェル・ガルシア
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  6月23日(日)17:45上映
  2003年正月テアトルタイムズスクエア新宿にて公開予定

 ドイツ占領下のパリ。肉屋のエドモンはソーセージ盗難が元で、出発寸前だった
 隣人のバースタイン一家と争っているうち、将来の娘婿がナチスに通報。呆気な
 くユダヤ人のバースタイン一家は逮捕されてしまう。通報の見返りにドイツ軍御
 用達の肉屋になるが、ある日逃亡して来たバーンスタイン家のシモンが戻ってき
 て仕方なく匿う。が、娘婿に発見されたエドモンは彼を殺して、シモンとその従
 姉妹の計3人の子供達のスイスへの脱出の旅に出る事になるが・・・。

 いつの時代にも体制派と反体制派が存在する。だが、同様にどーでもいい派が大
 半なのだ。その大半の人間が否応なく、先のどちらかに態度を決めなくてはなら
 なくなった時初めて人間の真価が問われる。ことさら彼を英雄として描いた訳で
 もなく、事ある毎に仕方なく選択をしていくうちに政治の、人間の真の姿が見え
 てきた普通の人間だからこそ、何だか実話の映画化のような気がするのだ。特に
 最後に疑われるフランスの警察で、開き直って自らをユダヤ人と名乗ってしまう
 所は圧巻。

 その辺のおっちゃん的ジョニョーの風貌と、ユダヤ人医師の家庭で教育をされた
 利発な少年のコントラストが利いている。シモンは確かに愛らしいが、ちょっと
 『グロリア』に出て来た小生意気な少年にも似た部分も持っている。ジャック・
 ドワイヨンの『小さな赤いビー玉』を思い出すガキ智恵。家族を思って涙にくれ
 るシーンがないのもこの手の作品には珍しい。

 が、それこそがジョニョー流。どんな名優も子供と動物には叶わないというが、
 彼は充分対抗している。彼らしいエスプリの利いた笑いと、軽快な音楽は作品全
 体のリズムを内容の重さから解放している。家族で見て欲しい映画だ。

                                鳥野 韻子
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投稿者 paris : 06:17 PM

juin 11, 2002

AntenneFrance N.208 第10回フランス映画祭横浜2002

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◆◆第10回フランス映画祭横浜2002(6/19~23)
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 6月の恒例となった「フランス映画祭横浜」も今年で丁度10周年。横浜は今年
 ワールドカップの会場ともなり6月はイベントが重なりました。そこで今回は初
 代のジャンヌ・モロー始め歴代の団長も来日、サッカーに因んだ作品も上映され
 るなどお楽しみが一杯です。詳細はwww.unifrance.jp/yokohama/で。

 <作品紹介>
 ◎来日確定(変更の可能性も有り)

 □タンギー
 Tanguy
 2001年/108min/カラー
 監督:◎エティエンヌ・シャティリエーズ
 製作:◎シャルル・ガソ
 出演:サビーヌ・アゼマ、◎エリック・ベルジェ、アンドレ・デュソリエ
 6月22日(土)15:15上映

 タンギーは「古代中国の主観」についての論文に夢中な28歳。教鞭を取り女性に
 モテモテ、性格はいたって素直。でもシングルパラサイトな事が親の最大の悩
 み。何とか自立を促そうとする親の行動は徐々に過激になって行くが・・。

 過去のフランス映画祭でも『しあわせはどこに』が好評だったシャティリエーズ
 監督の新作。家族問題をとり上げたらピカ一の彼、今回は「個」の文化の西と
 「和」の文化の東といった面も取り入れて新しい展開を見せる。主人公は親の酷
 い仕打ちを全て中国の諺で表現して、ちっとも恨まず純真そのもの。だからこそ
 親の姑息な方法は歯が立たないのだ。両親も一人っ子という設定が現代らしい。
 新人エリック・ベルジェのあっけらかんとした演技と両親を演じるベテラン、サ
 ビーヌ・アゼマ、アンドレ・デュソリエの怪演が見物。

 □レディス&ジェントルメン!!
 And now...Ladies and gentlemen
 2002年/133min/カラー
 監督・製作:◎クロード・ルルーシュ
 出演:ジェレミー・アイアンズ、◎パトリシア・カーツ、
    ◎アレッサンドロ・マルティネス
 本年度カンヌ映画祭クロージング作品
 6月23日(日)20:15上映(クロージング上映)

 ブルガリばかり狙う変装の名人の大泥棒バレンタイン・バレンタインと、彼を囲
 む2人の女性。トランペッターとの恋に破れたジャズシンガーと、ブルガリの元
 店員。だが彼と歌手は時々記憶が欠除してしまう。2人が出会ったモロッコでは
 大金持ちの夫人の宝石盗難事件に巻き込まれて、バレンタインに容疑がかかる
 が・・・。

 「嘘」「男女」「海」「歌」を適当にミックスしてインテリジェントな味付けを
 すると、ルルーシュ作品の出来上がり!「人生は愛という夢を見るまどろみ」を
 テーマに記憶の欠落と彼等の彷徨うまどろみの世界がうまく溶け込んでお洒落な
 作品に仕上がった。今回の見物は多才な出演者(有閑マダムのクラウディア・カ
 ルディナーレ迫力ったら!)とカンヌでもしゃきっと白で決めてプレゼンテータ
 -をしていた姿が記憶に新しいジェレミー・アイアンズの変装ぶり。どー見ても
 化け損なっているんだけど、そこがまた御愛嬌。

 □記憶の森
 Se souvenir des belles choses
 2001年/110min/カラー
 監督・出演:◎ザブー・ブライトマン
 製作:◎ステファン・マルシ
 出演:ベルナール・カンパン、◎イザベル・カレ
 6月19日(水)16:00上映

 森で雷に打たれ記憶喪失になったクレール。姉に連れられて来た療養所で出会っ
 たフィリップもまた、交通事故で妻子を失い記憶がない。クレールはまたアルツ
 ハイマーの毋の血に怯えているが、フィリップと愛しあい共同生活を始める。
 フィリップは徐々に感受性が戻るがクレールの記憶は薄れる一方で・・。

 『女と男の危機』などのベテラン女優の初監督作品。ガラス戸越しの雨、クレー
 ルの視線で動くカメラ等彼女の感性が生きる清冽な映像が印象深い。療養所のユ
 ダヤ系の老人達が、悲惨な体験を経て残った記憶は収容所での淡い恋。「美しい
 ものを思い出す事」という原題通り、人間に最後に残されるのは言葉でなく、恐
 怖でなく人生で美しかった事。愛する人に言葉さえ失ったクレールを抱きながら
 「僕の人生だ」と言うフィリップが痛ましい。「本当の愛」を考えさせられる秀
 作。

 □トスカ
 Se souvenir des belles choses
 2001年/126min/カラー
 監督:◎ブノワ・ジャコ
 製作:◎ダニエル・トスカン・デュ・プランティエ
 出演:◎アンジェラ・ゲオルギュー、ロベルト・アラーニャ、
     ルッジェーロ・ライモンディ
 6月21日(水)20:15上映
 シブヤ・シネマ・ソサエティにて今秋公開予定

 1800年、ローマ。愛しあう画家カヴァラドッシと歌姫トスカ。ある日友人のアン
 ジェロッティが脱獄してカラヴァドッシを頼って来る。彼を匿ったとして警視総
 監スカルピアはカラヴァドッシに激しい拷問を行うが、トスカに心寄せる彼は恋
 人を救いに来た彼女にある条件を提示する。

 プッチーニの名作『トスカ』。だが、オペラの舞台をまんま映像化したのではな
 い。オーケストラのリハーサル風景を織りまぜながら、舞台とちょっとザラつい
 た実写フィルムが同時に進行していく「1度で3度美味しい」仕上がり。本来な
 ら客席からの視界の限度をカメラが難なくクリア。俯瞰を多く取り込み主人公達
 の視線を織り込む事にも成功している。また登場人物の詠唱をバックに台詞を流
 したり、ラスト近辺でヒロインの心境に合わせて場面がフラッシュバックするな
 どという小技も利いている。

 主人公の2人、ご存知のように実生活でもカップルなのだが9月には日本でのデュ
 オコンサートも決まっている。ナマで聞く前に是非映画で体験して欲しい。オペ
 ラファンならずともオススメの作品だ。

 □ル・ブレ
 Le Boulet
 2002年/108min/カラー/ビスタ
 監督:アラン・ベルベリアン、◎フレデリック・フォレスター
 製作:◎トマ・ラングマン
 出演:ジェラール・ランバン、◎ブノワ・ポールヴールド
 6月22日(土)21:00上映
 今秋公開予定 www.gaga.ne.jp

 警察の手下となった仲間の弟を射殺し服役中のモルテス。ある日看守レジオに依
 頼したロトが大当たり!レジオは妻に購入をしたものの、在り処を聞かないまま
 妻はアフリカでダカールの救護班入りしたから大変。ロトを探してレジオとモル
 テスの珍道中が始まった。彼等を追うギャング、砂漠の盗賊までが入り乱れての
 大混線!フランスでメガヒットしたアクションコメディ。

 昔のアクション映画を意識したオープニングタイトルに007シリーズの「ジョー
 ズ」のコピー等レトロな雰囲気を漂わせつつ、上映開始から30分以内にとてつも
 ないカーチェースを入れてしまうミスマッチな構成。更に変人、奇人のキャラク
 ターの中で一人正統派ワルをニコリともしないで演じるランバンと、切れ役の多
 かったポールヴールドのおとぼけぶりが、これまたミスマッチを増幅させてい
 る。

 つまるところ『キャノンボール』の向こうを張った何ともグチャグチャな映画。
 ただ折角手に入れた1500万ユーロの行方の落ちは世界中がラビンを追っている
 今、ちょっと笑えないところかも。

 □デュラス・愛の最終章
 Cet amour-la
 2002年/100min/カラー
 監督:ジョゼ・ダヤン
 出演:◎ジャンヌ・モロー、◎エーメリック・ドゥマリニー
 6月19日(土)19:00上映
 今秋ル・シネマ他にて公開予定 www.comstock.co.jp

 『ラ・マン』等の著作で知られるM・デュラスと最後の16年間を共にし、「最後の
 愛人」と言われる38歳年下のヤン・アンドレア。彼の視点で語られる、2人の年
 齢や背景を超えた絶対的な愛の日々。執筆活動をほとんど止めて、人に会う事も
 なくひっそり暮らしていたデュラスに5年間、1日に5通もの手紙を送り続けた末
 に遂に彼女に対面した彼は、その日からすぐパートナーとなった。M・デュラスを
 演じるのは、実際にも友人であったというジャンヌ・モロー。

 『ラ・マン』が日本でも好評だった頃、女性誌に2人の仲睦まじい写真が掲載さ
 れていた。優しそうな青年とちょっと甘えた表情の老婆なのに、普通の親子とは
 思えない何かが彼等には存在していた。その空気をそのままスクリーンに甦らせ
 たのが、今回の主役2人というのも凄い。子供程の年齢の青年を甘やかす事な
 く、対等に捉えたデュラスもさる事ながら、そのあまりに大きな彼女の存在を受
 け止め続けたヤンとはどんな青年だったのかと思う。

 『ラ・マン』も、それに触発されて書いたという『北の愛人』もヤンと出会った
 後の作品だ。もし私なら、ヤンのような青年に出会ったら疑惑と若さに対する恐
 怖からこれ程すぐに判りあえないだろう。恐らく彼等は出会うべき運命にセット
 されていたに違いない。J・モローの見せる、切れそうな程の鋭さと少女のような
 艶やかさがデュラスとダブって見えてしまった。

 □ミシュカ
 Mischka
 2002年/116min/カラー
 監督・脚本・出演:◎ジャン=フランソワ・ステヴナン
 出演:ジャン=ポール・ルション、ローナ・ハートナー
 6月23日(日)10:00上映

 バツ1通しの夫婦と夫の双子の連れ子と老父。サービスエリアではぐれた老父は
 老人ホームに収容されるが、クビになった看護士ジェジェヌと意気投合。ジェ
 ジェヌは音信不通の15歳の娘を探しに彼と旅に出る。そこに別れた父に会いたい
 一心で幼い弟と家出したジャンヌと、ジェジェヌの友人の近所で歌っていたジプ
 シーのジョリクールが加わって疑似家族のようになった一行。果たして彼等はそ
 れぞれの目的を果たせるのだろうか・・・。

 タイトルは置き去りにされた老父の体型が、クリスマスの話に出て来る小熊に似
 ている事から彼についたニックネーム。海辺に置き去りにされた老婆との交流を
 描いた『ガスパール』にも似ている。そこでは孤独に極端に弱い男達に焦点が当
 てられていたが、この作品ではバラバラな家族に対して、キャンプ地などで登場
 する様々な国の人々という「別々でありながら全体には『人間』」という広い括
 りを対比させた。本物の?!ジョニー・アリディの歌声も聞けるおまけ付き。

 □ギャラクシーにようこそ
 Les petites couleurs
 2001年/93min/カラー
 監督:◎パトリシア・プラトネール
 出演:アヌーク・グランベール、◎ベルナデット・ラフォン、◎フィリップ・バス
 6月22日(水)10:00上映

 暴力亭主と18年暮らし、とうとう家を出た美容師クリステル。辿り着いたモーテ
 ル「ギャラクシー」で同じメロドラマが好きな主のモナに気に入られ、折しも産
 休に入った従業員に代わって働く事に。彼女の復帰後は出張美容師として再出発
 するが・・。常連のポーランド人に言い寄られ、9歳年下のリシュアンにはコク
 られて、クリステルは・・・。

 原題にある通り、ここでは「色」がもう一人の主役だ。淡いトーンの美容室の
 床。ギャラクシーをリニューアルする際のビビッドな室内。そして出張美容院の
 移動に使うオンボロ車のラブリーなカラー。これらはクリステルの心の解放感と
 共に進行していく。コンピュータ制御のカラリング&カールマシーンのキッチュ
 さと、クリステルの心の動きとシンクロするように進むミュージカル仕立てのメ
 ロドラマの胡散臭さが女性監督らしい感性。

 往年のベテラン女優、ベルナデット・ラフォンが厚底サンダルに派手派手衣装な
 がら、その若々しさが清々しい。元気になれるお薦めの1本!

                                鳥野 韻子

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投稿者 paris : 06:16 PM