画家ボナール-ピエールとマルト

「横浜フランス映画祭 2024」で観客賞を受賞した「画家ボナール ピエールとマルト」が、いよいよ2024年9月20日に劇場公開されます!
シネスイッチ銀座・UPLINK 吉祥寺など全国のスクリーンで上映が始まります。

アンテンヌフランスでは、監督マルタン・プロヴォと主演のヴァンサン・マケーニュ(ピエール役)にインタビューいたしました!お楽しみに。

本年は印象派誕生150周年という事で、パリやノルマンディー地方では200を超えるイベントが行われています。オリンピック期間は中断されていましたが、後半がスタートしました。
2024年は印象派誕生150周年!フランスはイベント盛りだくさん

ボナールは印象派では無く、その後に生まれたナビ派に属する画家の一人です。ナビ派とは印象派からポスト印象派の間に位置するムーブメントで、もっともジャポニズム(日本芸術)に影響を受けたといわれています。

また、活躍した時代が近いため他の印象派画家との交流もあり、この映画の中でもモネと食事したり、お互いの家を行き来するシーンも見られます。モネの作品で読み見られるセーヌ河の風景が劇中にも見られます。セーヌ川というとパリの印象があると思いますが、モネが描いたセーヌ河の朝はジヴェルニー周辺の風景です。モネの家もボナールの家もこのあたりにあったようです。

日本の解説を見えると、どうしても日本との関わりや日本美術から受けた影響を中心に説明されることが多いのですが、フランス人の視点は同じなのでしょうか?印象派150周年の記者会見にしても本作品にしても、あまり日本美術とのつながりを感じることはありませんでした。

それもそのはずで、日本人から見ればなじみのある浮世絵などもフランス人から見れば遠い国も昔のアートです。敢えて難解にする必要は無いのでしょう。この作品でも日本との関わりを感じさせるシーンは見られませんでした。

この作品のテーマはむしろ奥さんのマルトです。彼女は長年悪女のイメージを持たれていたそうです。彼の作品のほとんどの登場する女性がマルトといわれています。神経症で病弱だったことで、療養のために引っ越しをしています。

マルタン・プロヴォ監督もこの作品で彼女の悪名を晴らしたいと思ったそうです。
というのも、マルトの姪の娘であるピエレット・ヴェルノンから連絡をもらい、マルトについての英語を作ってほしいと頼まれたそうです。彼女は、マルトが果たした役割が十分評価されていないと感じていました。

ボナールにとって、マルトは単なるパートナーでは無く、かといってミューズ(女神)なだけでもない、不思議な存在です。しかし、ボナールの作品には彼女の存在と密接に結びついています。ボナールは最後まで彼女を看病して看取りましたが、親戚の間ではマルトの囚われの身だと思われていました。しかし、ボナールの死後はマルトが犠牲者となっていたという主張も現れました。

この映画で目指したのは単なる伝記映画では無く、二人の深い愛情と創作と間に揺れ動く心情を描いたそうです。

Antenne France
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