
フランス、世界第3位のスーパーコンピューター導入
「アメリカ崩壊」なんて大きく書いてある雑誌を電車の中で見かけたが、何とも魅力的な見出しだ。しかし世界経済は各国深く結びついているのみならず、未だにアメリカの影響力は大きい。コンピューターに至っては、基幹部分のCPUからソフトの部分まで大半がアメリカ製だ。
フランス大使館によると、軍事目的を除く世界で第3位となるスーパーコンピューターを導入することを発表した。このリリースに写っている写真は、明らかにSX-8というNECのスーパーコンピューターであり、日本のスーパーコンピューターが採用されたのかと思ったが、文章ではIBMのBlue Gene採用されるらしい。
残念ながらヨーロッパはスーパーコンピューター自体の開発は手を引いていて、アプリケーションなどの開発などに注力している。ハードウェアでは、アメリカと日本の二極となり、2002年に600億円かけて当時圧倒的世界最高速の地球シミュレータ(NECのSX-5がベース)を開発したが、これが逆に眠れる獅子を起こしてしまったかのように更新を進め、現在では上位500台の半数はアメリカの物であり、大半がアメリカのベンダーによる物である。現在の世界最速のスーパーコンピューターはBlue Geneを採用した物であり、地球シミュレータの約10倍の能力がある。すでに地球シミュレータはトップ10にもランクしていない。
スーパーコンピューターは主に軍事利用される物として、共産圏の輸出なども規制されていて、当時高性能なゲーム機であるPlayStation2なんかも規制対象に上がった事がある。しかし現在は一般的なPCに使われるCPUを大量に利用して高性能を得ている物が主流となっている様である。
前出の地球シミュレーターは開発に600億円かかり、電気代だけで年間5億円、全体の維持に年50億円もかかると言うが、この様なシステムはよりコンパクトでより導入費用が安く維持費も安くなると言う。
スーパーコンピューターの利用も学術・軍事のみだけではなく産業界でも進んでいる。とくに自動車・航空産業などの設計などで利用されており、アメリカ、日本、ドイツが突出している。
自動車メーカーでは設計によるシミュレーションなどが行われたりしているが、部品メーカーなども導入されている。面白い例では、台湾の光るメダカの遺伝子改造の際もスーパーコンピューターで検証されて行われている。
この様にスーパーコンピューターが国の繁栄を大きく左右するとも言えるが、フランスはオルセーのコンピューター開発・資源研究所(IDRIS)に設置されるこの新しいスーパーコンピューターは所属にかかわらず利用でき、将来的にはヨーロッパのDEISA計画(Distributed European Infrastructure for Supercomputing Applications)に接続され、ヨーロッパ内の11のスーパーコンピューターと連携させさらなる高速化を狙うとのことだ。
投稿者 paris : 02:49 PM
Alizee / Psychedelices
以前紹介した今年は年女の女性ボーカルのアリゼの新作が昨年12月に発売された。結婚・出産をして活動を停止していたが、3年ぶりの新作を発売した。デビュー当時からミレーヌ・ファルメールのプロデュースで話題を集めていたが、今作はレーベルも変わりミレーヌ色は全くと言っていいほど消えている。
もうmademoiselleではないアリゼの復帰シングルとしてリリースされたMademoiselle Julietteはロック系で、今回のアルバムリリースで色々なインタビューがMSNフランス版などのインターネット上のサイトでも公開されているが、大体どこでも、「よりポップでロックでエレクトリック」な仕上がりと答えている。気になるミレーヌ・ファルメールにも聞かれ、やはりミュージシャンである旦那のジェレミー(Jeremy Chatelain)の影響が強いとか。
サウンドは少し前のアメリカのロック系ポップスって言う感じもするし、確かにエレクトロ系のサウンドもある。妙に低音が強調されていて、曲によっては音が割れているんじゃないかと思えるほどだ。
サイン会のシーンではスエーデンから来たとかニューヨークから来たというファンがいたりと、案外国際的な人気もあるようだ。今回のリリースは日本では発売されず、フランス以外ではアメリカでも発売されるようだ。
http://www.france.st/r/1
投稿者 paris : 02:05 PM
バカンスはエコロジーか?
7月から8月にかけてフランスはバカンスに入ってしまうため、フランスとのやりとりはほぼ完全にストップしてしまう。これは日本でもフランスと関わる企業なら経験したことがあるだろう。では、日本にあるフランス企業も休んでしまうのかと思うが、特に長い休みを取る事はないようだ。かと言っても、その企業に働くフランス人はバカンスで居なくなってしまうことが多い。働いているのは日本人だけだ。
そんなバカンス中、日本人の女子大生がモン・サン=ミシェルで地球環境保全を訴えるパフォーマンスを行った。371号でも採り上げたが、この島に道路を作ったことにより周囲が陸地化してしまった。この為、この道路は取り壊し新たに橋を架け、以前の景観を取り戻す計画がある。
さて、このパフォーマンス。ニュースだけを見たのでは何をしたかったのかよく分からないし、何を問題提起したのかもよく分からないが、単なるパフォーマンス・アートとしてなら、美しいモン・サン=ミシェルをバックに白い服を着た女性が一直線に並びきれいだと思う。
しかしやっぱり環境保護のアピールが目的だったようだ。既にモン・サン=ミシェルは「景観復旧」に動いているし、逆に橋を架けることが新たな環境破壊になる事も考えられる。少なくとも橋を架ける事によるエネルギー消費が発生するから「エコ」では無いはずだ。モン・サン=ミシェルを「文明の象徴」と位置づけたようだが、日本国内だけではなくエジプトやオーストラリアでも同様な事をしているらしい。
こういうパフォーマンスは昔は物珍しくて流行ったかも知れないが、環境問題は多岐にわたって予断を許さず、物事の本質を隠すもしくはごまかすだけじゃないかと思う。もしかしたら、クリーンなイメージで売っている自動車製造が最も環境破壊に寄与しているかも知れない。(製造過程ももちろんだが、家庭から排出する二酸化炭素量は2004年の統計では、家庭から出る二酸化炭素のうち約31%が自家用車による。分野別では最大で、次に照明や家電製品の30.6%、冷房は2.0%、暖房は13.2%、キッチンが3.3%、水道が2.1%、ゴミが5.5%)
実は移動にはエネルギーが結構かかる。以前TGVが飛行機よりもエコだと記事にしたが、エコであることが、売りとなっている。
話は変わって、以前業務用のプリンターを発注したことが有ったが、7月末だったが届いたのは8月末。これは、営業担当が休み、工場、流通が休みと少しずつずれて休むため、結局納品できるのは、1ヶ月先になってしまったのだ。
こういう状況をフランス人は自己弁護し、結局仕事をしていないのと同じだから、フランスのようにバカンスにしても問題ないと言う。しかも、一人しか働かなくても全体を動かすオフィスのエアコンなどを考えれば、その方がエコロジーだという。
本当にその方がエコロジーか分からないが、日本人にとっては、それだけ休むのも勇気がいることだろう。
投稿者 paris : 12:29 PM
フランスの旅行は、宇宙か欧州か?
今スペースシャトルが打ち上げられて、帰還しようとしている。昔なら衛生生中継なんて事もあったが、今では忘れられた存在なのか、もう新しいニュースではなくなってしまったのか、お約束の耐熱パネルの問題で帰還が延期もされたがニュースであまり採り上げられていない。
そんな中でスペースシャトル型の宇宙船は新たな話題を振りまこうとしている。エアバスの親会社にあたるEADS(European Aeronautic Defence and Space Company,欧州航空防衛宇宙社)は宇宙旅行事業を参入しようとしていて、2012年頃のサービス開始に向け宇宙旅行船を開発に着手する模様だ。
このプロジェクトはアストリウム(Astrium)と言い、4人乗りで高度100kmを約3分間の無重力状態を体験でき90分間の弾道飛行が体験できる。料金はおよそ15~20万ユーロ(約2500~3300万円)と比較的低予算で宇宙旅行が可能となる。(ロシアのソユーズは約30億円)どの滑走路からも離着陸可能で収益性の高いシステムを計画しているという。しかし既に競合もおり、アメリカのスペースシップ、ヴァージン・ギャラクティックなど話題も大きい。
そんな中でエアバス自体もルブルジェの航空ショーで339機を受注したという。(仮受注も含む)対するアメリカのボーイングは46機を受注と大幅に差が開いた感があるが、ボーイングによれば、年間を通して受注を受けておりこの航空ショーのみではないと言う。年間を通した確定受注件数では、エアバスは今回の受注を含めて420機、ボーイングは435機とボーイングの方が多い。エアバスは2年連続赤字を払拭したい考えだが、だが今年も大幅な赤字を計上する見込みだ。
今回の航空ショーでエアバスに受注したところでは、中東が目立つ。このところの原油高上昇を受けて、オイルマネーは活況のようで、飛行機だけではなく船も買ってしまう。豪華客船「クイーン・エリザベス2世」をアラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国政府の投資会社イスティスマルが1億ドル(約120億円)で購入した。先日バーニーズ・ニューヨークの購入で話題になったばかりだ。
さて、エアバスが好調だとしても、旅客業界は更に厳しくなっている様だ。6/10に新しいTGV路線(TGV東線TGV-Est)が開通した。今まで4時間かかっていたパリ-ストラスブール間が2時間20分に短縮される。飛行機では1時間程度だが、テレビ局による実際の時間測定によるとほんの数分飛行機が速かっただけで、料金や環境に与える影響を考えるとTGVに分があるとしていた。
ヨーロッパの高速鉄道網はどんどん拡大し、スペインのバルセロナからハンガリーのバルセロナまで拡張する計画で、ドイツのICEと相互乗り入れが同日開始された。ドイツ国境近くのストラスブールでは2つの路線が設置され、パリ-ミュンヘン-ウイーン-ブタペストを繋ぎ、もう一つはバルセロナ-リヨン-フランクフルト-ハンブルクを結ぶ事になっている。
投稿者 paris : 02:28 AM
バカロレア、スタート
フランスでは高校卒業資格、つまり大学入学資格であるバカロレアが始まった。日本にはない制度でアンテンヌフランスでは以前にも何回か記事にしたことがあったし、バカロレアの哲学の問題をミニコーナーで掲載したことがあったので、古くからの読者はよくご存知だろう。
バカロレアは国家資格のような物で、合格率は70~80%でこれを取得できなければ「スーパーのレジ打ち以上の仕事を取れない」とまで言われているそうで、受験者は結構神経質になる。先ほど大統領に就任したサルコジ氏も哲学の試験では20点満点中9点しか取れず追試を受けたそうだ。
フランスの超エリート層であるグランゼコール(大学校)を除いてバカロレアを取得すれば、基本的にどこの大学でも入学出来る。また、バカロレアには、一般、専門、実業の3種類があり、一般の中でも理系(S)、文系(L)、経済・社会系(ES)と別れている。ただし理系でも哲学の試験があり、むしろ理系でも必修教科は文系の教科の方が多く、受験科目も多岐にわたる。
一番受験者が多いのは理系で、その理由は理系のバカロレアを取得できればどの職業にも就くことが出来るし、フランスでは理系が有利であるため、多くの親は子供のころから理系を薦める。とはいえ、どのコースを受験するかは学校や教師によって決定されるために、個人の意思は通りにくいようだ。
試験もマークテストのような物ではなく、基本は記述で口頭での試験もある。数学のような解答に一意性のある教科でも採点官によって点数が変わることがあり、試験管の差別や偏見でかなり採点が異なる事もあるという。
その中でも良く話題に上るのが哲学の試験で、テレビのニュースでもやはり哲学が採り上げられた。もちろん模範解答はあるが「正解」というのもが無い。内容がどうであれ理論が通っていれば良いらしい。
F2によると今年の理系の哲学の問題では、ユングの文章解説や欲望や労働をテーマにした論文で、その中で一番選択された問題は「欲望は現実によって満足させられるか?(Le desir peut-il se satisfaire de la realite?)」この模範解答は「人間というのは根本的に欲望をする存在であり、現実には決して満足しないのが人間である」と答えれば良いそうだ。
文系ではより高度で、アリストテレスの文章、芸術を主題とする文章の論文の他、「認識は全ての意識の解放に繋がるのか?(Toute prise de conscience est-elle liberatrice?)」という設問が出された。(3問から1問選択して解答)
フランスでは、バカロレアを通して、記述力と考える力をつける教育らしい。フランス人が理屈ぽいのはこの教育の賜物といえる。
投稿者 paris : 02:26 AM
