AI・テクノロジー

Amazon Pollyの声がより自然に 番号の読み上げからニュースの音声化まで、更新の中身を読む

電話の自動案内が注文番号や住所を読み上げるとき、声の自然さだけでなく、数字を聞き間違えずに伝えられることが大切になる。AWSが発表したAmazon Pollyの生成音声エンジンの更新は、そんな実際の業務で使う読み上げを意識したものだ。表現力と正確さを改善し、ヒンディー語とフィンランド語を含む音声を追加した。既に生成音声を使っているアプリケーションでは、コードを変更せずに更新を受けられるという。

Amazon Pollyは、入力した文章を音声に変換するAWSのサービスだ。問い合わせ窓口の案内、教材のナレーション、記事の読み上げなど、同じ仕組みからさまざまな音声を作れる。今回の対象は、その中でも文章の内容に応じた自然な話し方を作るGenerativeエンジン。従来のStandardやNeuralの音声まで一斉に置き換わるわけではなく、どのエンジンを利用しているかによって更新の影響は異なる。

AWSが示した改善点の一つは、文章に合わせて抑揚や感情の表現を変えることだ。公式記事では、荷物の到着を伝える場面を使い、淡々とした説明、不確かな言い方、驚きを含む言い方を比べている。利用者が表現の種類を一つずつ手動設定しなくても、入力文の文脈を声に反映するという考え方だ。声を滑らかにするだけでなく、文章の意味がどう聞こえるかに踏み込んだ更新といえる。

もう一つの焦点は、数字や通貨、住所などの読み上げだ。AWSは注文の確認を想定した音声例を用意し、追跡番号、配達日時、金額、確認コードを含む文章の読み方を紹介している。こうした情報は、会話の雰囲気が自然でも、一部を取り違えると用件が伝わらない。問い合わせ窓口での利用を考える場合には、声の好みを選ぶだけでなく、自社で扱う番号や固有名詞を正しく読めるかを確かめることが、導入判断の中心になる。

追加される音声は9つの言語・地域区分にまたがる14種類で、生成音声のカタログ全体は11言語、25の言語・地域区分、57種類の音声になる。ヒンディー語とフィンランド語では、今回初めて生成音声が一般提供される。利用できるAWSの拠点には東京も含まれるが、拠点が東京であることと、すべての言語の音声が使えることは別だ。AWSは、導入先で選んだ音声を使えるか、管理画面や音声一覧を取得するDescribeVoicesで確認するよう案内している。

既存利用者にとっては、移行の負担が小さいことも今回の特徴だ。既に使っている生成音声の名前とAPIの呼び出し方は変わらず、既存の実装に更新が適用される。新しく組み込む場合も、従来と同じSynthesizeSpeechという音声合成の仕組みを使う。さらに、文章を送りながら音声を受け取る双方向のストリーミングにも対応しており、AWSは音声で応答するAIエージェントなどを用途として挙げている。ただし、公式記事には遅延を比較する具体的な測定値は示されていない。

ニュースや教材を音声にする場面では、原稿を直すたびに録音し直さずに済むという、音声合成そのものの利点も生きる。AWSの紹介記事には、フィンランドのSanoma Mediaがリアルタイムのニュース記事をPollyで音声化している事例が登場する。読むか聴くかを利用者が選べる形にする取り組みで、新しいフィンランド語の生成音声についても試用結果が紹介されている。記事の読み上げを考える媒体にとっては、こうした用途と自分たちの原稿を重ねて音声を試せるだろう。

料金について、AWSは今回の更新による値上げや新しい料金区分の追加はないと説明している。従量課金の仕組みを維持し、合成済みの固定案内を保存して再利用することもできる。一方、文章中の語句に対応するタイミング情報を返すSpeech marksは生成音声では利用できず、この制限も変わらない。読み上げに合わせた文字の強調表示など、タイミング情報が必要な用途では、音の自然さと必要な機能を分けて検討する必要がある。更新は一般提供済みで、AWSの管理画面から音声を試せる。

出典:https://aws.amazon.com/blogs/machine-learning/amazon-polly-delivers-a-major-upgrade-to-its-generative-engine

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