デジタル社会の著作権新法案

DADVSI(droitd’auteuretdroitsvoisinsdanslasocietedel’information/情報化社会における著作権および著作隣接権)

日本ではインターネットを中心としたネットワーク、コンピュータ社会に対する新しい法案があまり議論されていないように感じるが、この手の分野に遅れていると思われるフランスは新しい枠組みを模索し法案を制定しようとしている。

フランスは過去の著作物を始め音楽、映画、美術、なども含めたソフトウェアを強力な産業と位置づけているために、日本やアメリカなどにもこれら商品を売り込むための団体を作り専門家向けの商談会を行っている。アンテンヌフランスでも何回か記事で紹介しているが、やはり問題があるのか、修正に次ぐ修正となっている。

今話題になっているのはDADVSI(droitd’auteuretdroitsvoisinsdanslasocietedel’information/情報化社会における著作権および著作隣接権)法で、非常に簡単に言うとAppleのiTuneMusicStore(iTMS)で販売される音楽ファイルをAppleのiPod以外の携帯音楽端末でも聞けるようにすると言う内容だ。

iTMSに関わらず多くのインターネット上の音楽販売サイトでは何らかのデジタル著作権管理技術(DRM)によって簡単にコピーできないようになっていて、例えば、ダウンロードしたマシンでしか再生できない様になっている。携帯用の着メロなども、ダウンロードした音楽やメロディーが携帯を新しくしたときに移行できないと言うような事と同様だ。

マイクロソフトのDRM技術は、技術そのものを販売しているために、マイクロソフトにお金を払えば、自社の携帯端末にマイクロソフトのDRMを再生できる機能を搭載することが出来る。逆にAppleのDRM技術は、技術そのものは非公開であり、現在利用できるのはiPodのみであるために、非常にシェアの高いiTMSで購入した音楽を他社の携帯音楽端末で再生できない。このフランスの法律は、DRM技術を公開をさせて、他社がこの再生方式を望めば搭載できる様にするという。

しかし、この法案は幾つかの条文で違憲性が指摘されており、修正を余儀なくされている。また、定義があいまいであったりするために一部の条項が削除されている。

たとえば2つのDRMを両方利用できるようにするためにDRMを迂回することが許されていたが、この相互運用性の定義があいまいであるとして削除、しかしDRMのライセンス管理機関を設立してDRMを利用している企業を監督し必要に応じて情報公開させる権限を与える。また、DRM技術を勝手に解析して利用することは禁止され、DRM技術を提供した企業には著作権保証金を与えられる。

DADVSI法ではファイル共有ソフトでファイル共有することを刑事責任を問わない代わりに、インターネットアクセス料金に比例して課税しアーティストに配分するとしていたために、支持が高く全体で70%、特に若年層では90%近くが賛成していた。しかしこの部分の条項も、憲法に違反するとして削除された。しかし違法なアップロードは罰金刑(アップロードに150ユーロ、ダウンロードに38ユーロ)だったのに対し、修正案では著作権侵害行為として刑法上の罪に問われて懲役刑、罰金も50万ユーロ(最高)となっている。

今回の修正によって本当の問題であるファイル共有ソフトによる著作権侵害は骨抜きにされており、前途多難といえそうだ。

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