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「自分たちで決める」の外側で――燃えるタンカー、英国の空軍基地、EUの国境線

10月27日火曜日、ホルムズ海峡でタンカーが1隻、炎上した。イラン軍の発表によれば、このタンカーは追跡システムを切ったまま、海峡東側の立ち入り禁止の危険海域を通ろうとして機雷に触れたという。戦争が2月末に始まる前、この海峡は世界の炭化水素の5分の1が通る道だった。

発表が伝えるのは「規則違反の船が損傷した」という一点で、船の国籍も、積み荷も、乗組員の安否もわからない。ただ、この火の手が上がった場所を、遠い中東の出来事として切り離せる人はそう多くないはずだ。一般に、日本はエネルギーの多くを海上輸送に頼る国だとされる。海峡で船が止まれば、その影響は何週間か後に、遠く離れた港や家庭の請求書に届くかもしれない。

同じ日、フランスの報道機関franceinfoは、一見ばらばらの出来事を並べて伝えていた。英国の空軍基地近くの事件、イランの外交攻勢、リヤドへのミサイル攻撃、そしてEUの国境機関Frontexの改革案である。本稿はこの5本を、「国の安全は、どこまで自国で決められるのか」という一つの問いで読んでみたい。

英国の基地の外縁で、「仲介者」という言葉が出てくる

まず英国から。9月27日にイングランドのフェアフォード空軍基地近くで起きた事件で、10月27日、英国籍の24歳の男性2人が起訴された。モフメド・アフマド・アブドゥルカリムは外国の情報機関を援助した罪、ヌーマン・エスギールは英国に「害を及ぼす目的」で立入禁止区域に侵入した罪に問われている。警察によれば、後者の行為は8月22日から行われていた。

注目したいのは対テロ警察のローレンス・テイラー長官の言葉だ。長官は「この国はイランだと考えています」と述べ、不明な点は残るものの、作戦は外国の情報機関のために実行されたと確信していると語った。一方、イランはこうした非難を繰り返し退け、関与を否定している。ここは事実関係が対立したままで、現時点で確かなのは「英国の警察がそう見ている」ところまでだ。

さらに長官は、英国を不安定化させようとする者たちが「仲介者を利用するケースが増えている」と述べた。仲介者が使われると、依頼された任務の背後にある意図を個々人がどこまで認識していたかを明らかにするのに「時間がかかる」という。

ここから先は私の解釈になる。この発言が示すのは、国家の安全を脅かす行為の実行者が、必ずしも外国人でも工作員でもない可能性だ。起訴された2人はどちらも英国籍である。守る側は国境線の外だけでなく、国内の社会の中にも、見えにくい「外」との接点を探さなければならない。安全保障の境界線は、地図上の線ではなく、人と人とのつながりの上に引かれつつあるのかもしれない。

「地域の安全は地域で」という言葉が、誰の安全を指しているのか

視線を中東に移そう。franceinfoによれば、イランは米国とイスラエルによる攻撃の再開を恐れ、外交活動を強めている。イスラエルの選挙と米国の中間選挙が終わる11月初めにも新たな攻撃があるのではないか、とテヘランは懸念しているという。接触先はロシア、パキスタン、トルコ、サウジアラビア、カタールなど、協力国と地域のライバル国の両方にまたがる。

ここで見過ごせないのは、他国の選挙日程がイランの外交の時間割を決めているように読める点だ。これは記事の記述から私が読み取った解釈だが、安全保障の判断が、当事国から遠く離れた国内政治の暦に左右されている。

カタールの事情はもっと切実だ。記事によれば、再び緊張が高まれば2月のように自国領土が攻撃対象となり、ガスと石油の輸出にも影響が及ぶおそれがある。戦争の当事者ではなくても、被害の射程には入っているということだ。

10月26日には、サウジアラビア、パキスタン、トルコで構成される新たな地域軍事同盟「メッカ協定」の3カ国が、テヘランで協議に臨んだ。サウジアラビアは国防相のハーリド・ビン・サルマーンを派遣した。皇太子の兄弟であり、戦争が2月に始まって以来、初めての派遣だという。トルコは情報機関の長官を送った。

イラン側は、「地域の安全保障は各国自身が担わなければならず、あらゆる形の外国による介入を防がなければならない」という共通認識を得たと主張している。これはあくまでイラン側の主張である。ただ、ある外交筋は「地域の首都の間に広がるワシントンへの信頼の喪失」と、緊張緩和を求める共通の意思を明かしたと記事は伝える。

米国は、この記事群では当事者として前面に出るというより、地域の国々が距離の取り方を測り直している「域外の大国」として現れる。

とはいえ、この言葉をそのまま受け取るのは難しい。同じ日、サウジアラビアの首都リヤドは別の形で「地域」の現実を突きつけられていた。イエメンのフーシ派は、リヤドの国防省を弾道ミサイルで攻撃し、命中したと主張した。サウジ側は、首都を狙ったミサイル2発を迎撃したと発表している。双方の説明は食い違っており、どちらが正確かは記事からは確認できない。

記事によれば、フーシ派はイランの支援を受けているとされ、イエメン紛争は4年間の小康状態を経て再燃した。9月以降は紅海に面した沿岸部を掌握し、石油関連施設や空港への攻撃が激しくなったという。サウジのハーリド国防相がテヘランに足を運んだのは、まさにこうした攻撃にさらされるなかでのことだ。

つまり「地域の安全は地域で担う」という原則は、誰が地域の一員で、誰が脅威なのかという定義と切り離せない。外国の介入を排した先で、隣国同士の攻撃が止まるのか。それとも、外の大国がいなくなるだけなのか。ここは今後の見極めどころだ。

「誰が入るかは欧州が決める」と、決定の外側に置かれる人々

最後に欧州に戻る。EUは10月27日、Frontexの大規模な改革を提案した。欧州委員会委員長のウルズラ・フォン・デア・ライエンは「誰が、どのような状況で私たちの連合に入るのかを決めるのは欧州です」と訴えた。今後15年間で国境警備隊を30 000人に増やし、うち17 000人は加盟国が必要に応じて利用できる予備要員とする構想だ。危機の際に職員をより迅速に派遣できるようにすることも盛り込まれた。

念頭にあるのは、2026年7月末にスペイン領の飛び地セウタで起きた移民危機だという。数千人が海から国境を越えたが、Frontexの動員は遅れた。

さらに、亡命を余儀なくされた人々の送還でも、Frontexに中心的な役割を持たせたい考えだ。送還される人々を収容する施設が今後数カ月で設置される見通しで、複数の関係筋がAFPに語ったところでは、最初の施設はルワンダに開設される。改革案では、Frontexが域外で人をある国から別の国へ移送する役割を担う可能性もある。

環境政党所属の欧州議会議員メリッサ・カマラは、「抑圧をさらに強め、亡命を余儀なくされた人々の非人間化を進め、極右の言説をますます模倣する」ものだと批判した。NGOもFrontexによる違法な押し戻しを繰り返し非難してきた。

フォン・デア・ライエンの言葉は、構造だけを取り出すと、イランの「地域の安全は各国自身が担う」という主張とよく似ている。どちらも「自分たちの領域に関わることは自分たちで決める」という自己決定の宣言だ。だが、その決定の影響を最も強く受けるのは、決定の場にいない人々でもある。送還先に選ばれる国や、そこへ移される人々。イランが許可なく通航する船を標的にするとされる海峡を通る、他国の船と乗組員。いずれも「決める側」の外に立っている。

これは私の読みだが、五つの出来事に共通するのは、国の安全が国内で完結する問題ではなくなっているという点だ。英国では国内の若者が外国の意図と結ばれうる。中東では、一国の防衛が隣国の油田や空港や輸出に連動する。欧州では、国境管理の強化が、域外の国や人々の運命に連なる。

日本の読者にとっての「遠さ」

この構図を、日本の暮らしに引き寄せるとどうなるか。ここからは一般論として語るしかないが、日本は資源の多くを海外から運ぶ島国だとされることが多い。その意味では、ホルムズ海峡の機雷や、サウジアラビアの石油施設への攻撃は、日本の安全保障と無縁ではない。一方で、日本の議論は、国境の「内側」をどう守るかに重心が置かれがちだ、という見方もある。もしそうなら、遠い海での緊張を自分たちの安全の一部として語る言葉は、まだ十分に育っていないのかもしれない。

欧州は逆の意味で複雑だ。EUの国境管理と各国の外交は、安全保障の異なる層をなしているように見える。Frontexの改革案は連合の層、英国の事件への対応やイランをめぐる外交は国家の層だ。層が分かれているぶん、一つの決定が別の層でどう響くかを、誰が引き受けるのかが曖昧になりやすい。これも私の推測にすぎない。

これから何を見ておくべきか

短期的には、イランが懸念する11月初めの二つの選挙の後に、攻撃が再開されるかどうかが焦点になる。ホルムズ海峡の機能不全が続くかぎり、カタールやサウジアラビアの輸出にも影響は及ぶ。リヤドへの攻撃をめぐる食い違った発表が、どのような形で検証されるのかも注視したい。

EUでは、ルワンダに置かれる見通しの施設と、Frontexの域外での役割が実際にどこまで認められるのかが争点になりそうだ。英国の事件では、2人の起訴後も、仲介者の認識や役割の解明が続く。「時間がかかる」と警察自身が述べている以上、全体像が見えるまでには時間を要するだろう。

自国を守るための決定は、必ず誰かの住む場所、誰かの航路、誰かの国境を通り抜ける。タンカーの炎が教えているのは、おそらくそのことだ。

自国の安全を決めるとき、国境の外にいる人々への影響を、あなたならどこまで考えに入れるべきだと思うだろうか。

出典

  • franceinfo (titres):Incident près d'une base aérienne au Royaume-Uni : deux hommes inculpés pour atteinte à la sécurité nationale (2026/10/27)
  • franceinfo (titres):Pour éviter une reprise des frappes américaines et israéliennes, l'Iran intensifie son activité diplomatique (2026/10/27)
  • franceinfo (titres):L'Union européenne veut renforcer l'agence Frontex et élargir ses pouvoirs d'expulsion de personnes exilées (2026/10/28)
  • franceinfo (titres):L'armée iranienne affirme qu'un pétrolier a pris feu dans le détroit d'Ormuz après avoir percuté des mines (2026/10/28)
  • franceinfo (titres):Les houthis du Yémen affirment avoir ciblé le ministère de la Défense saoudien à Riyad (2026/10/27)

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