「30.2人」と「28人」のあいだ──進路を決める制度に、フランスの高校生は何を突きつけたのか
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「30.2人」と「28人」のあいだ──進路を決める制度に、フランスの高校生は何を突きつけたのか

平均30.2人。フランスの普通科・技術科の高校で、2025年時点の1クラスあたりの生徒数だ。国民教育省の統計部門の報告によるこの数字は、今、政府が掲げる「28人以下」という新しい上限の隣に置かれている。たった2人強の差である。しかし、この差を埋めるには教員を採用しなければならない。教室の人数という身近な数字が、5週間続いた高校生・学生の抗議の中で、政策の言葉に変わりつつある。

では、その過程で若者たちの声は、どこまで制度の設計に届いたのだろうか。

首相官邸で示された「答え」

まず、確認できる事実を整理する。

抗議行動は5週間にわたって続いた。セバスチャン・ルコルニュ首相は10月26日(月)、マティニョン(首相府)で高校生団体、続いて学生団体と会った。月初めに始まった全国高校生協議の結論を示す場だった。会談後、国民教育省は、政府が「高校生と学生から示された期待に応え、学習環境を改善する」ための対応を約束したと発表している。

報じられた施策は次のとおりだ。

  • 高校卒業後の進学先を決める入学選考プラットフォーム「Parcoursup」を2027年に改革し、2028年に新しいツールへ置き換える。
  • 高等教育機関に15,000人分の定員を新設する。
  • 高校1年相当の「seconde」のクラスを28人以下に制限する。
  • 今後4年間、校舎の工事を望む地方自治体に、低利融資として計40億ユーロを提供する。
  • 約50の大学に、2031年まで段階的に追加で10億ユーロを拠出する。

ただし、これらの一部は「案件に近い関係者」からFrance TélévisionsとRadio Franceに伝えられた情報に基づく。政府による詳細な説明は、国民教育相と高等教育・研究相の記者会見や、水曜日に国民議会で開かれる採決を伴わない討論を待つ必要がある。

数字で答えられる要求と、数字になりにくい不満

ここから先は、事実ではなく私の読み取りである。

この施策群を眺めて気づくのは、ほとんどが数字で書かれていることだ。28人、15,000人、40億ユーロ、10億ユーロ、2027年、2028年、2031年。

これは偶然ではないかもしれない。France Cultureの番組では、3人の経済学者(教育経済学者のジョージア・テボー、公共政策顧問のロマーヌ・パリ、統計学者のナギ・ベシシ)が、デモのスローガンから読み取れる高校生の不安を定量化できると指摘している。Parcoursup、校舎の老朽化、教員不足。スローガンは指標に翻訳でき、指標は予算や定員に翻訳できる。若者の怒りは、行政が処理できる形に変換されていく。

変換が容易な要求は、実際に答えが出やすい。クラスの人数は数えられ、校舎の改修は融資額で示せる。

一方、数字にしにくい不満もある。Parcoursupは高校生から広く批判されており、その中身は「不安をあおる」「仕組みが不透明」「不平等だ」という受け止めだった。これらは人数や金額ではなく、制度に対する感じ方の問題である。政府の答えは「2027年に改革、2028年に置き換え」と時期を示しているが、報じられた範囲では、何をどう変えるのかという設計の中身はまだ見えない。不透明さへの批判に、設計図が出る前にどう応えられるのか。ここが最大の焦点になると私は見ている。

定員の数字も見ておきたい。大学の定員増は若者たちの要求の一つだった。学生組合Union étudiante(ユニオン・エテュディアント)が求めたのは250,000人分、政府案は15,000人分で、約6%にあたる。政府案は「応えた」と言えるのか、「応えたことにした」のか。この隔たりを、当事者がどう評価するかはこれから明らかになる。

街頭と官邸、二つの回路

もう一つ、報道から読み取れる構図がある。

RFIの番組によれば、新たな土曜日のデモは再び高い規模で行われた。エマニュエル・マクロン大統領は秩序の回復をテーマにマルセイユへ向かい、同じ時期に首相は高校生・学生の組織を迎えて提案を示した。つまり、政府は「秩序」を語る回路と「対話」を示す回路を並行して動かしている。番組は、社会の怒りを鎮めるために厳格さを選ぶことに妥当性があるのかを問うている。

番組のタイトルには「秩序という口実の背後に、政府の狙いは要求を腐敗させること」という強い言葉が掲げられている。番組にはLa France insoumise(LFI)の議員バスティアン・ラショーが出演している。このタイトルの言葉の主は、私の手元の要約からは特定できない。したがって、これを批判の一つの声として紹介するにとどめる。ただ、官邸での面会が行われた翌日にも、こうした見方が公共のラジオで語られていること自体が、若者の運動をめぐる緊張を物語っている。

同じ番組でラショーは、10月23日にパリ郊外を襲った人種差別的な攻撃のあとの感情にも触れている。この出来事と学生・高校生の抗議との関係は、示された記事からは分からない。因果を想像で結びつけるべきではないが、若者をめぐる社会の緊張が一つの問題だけで成り立っていないことは、頭の片隅に置いておきたい。

ここで私が注目するのは、若者の組織が首相と直接向き合う場が成立していることだ。名前のある団体が名前のある相手と交渉する。そして、その結論が議会での討論へつながる予定になっている。若者を、保護される受益者としてだけでなく、制度を評価する当事者として扱う回路が、少なくとも形式上は存在する。実質がどうかは別の問題だが、この形式の存在は見逃せない。

入口の次にある、出口の問題

Parcoursupや大学定員の議論は、いわば「入口」の話だ。では出口、つまり学校から仕事への接続はどうなっているのか。

France Interの番組は、学徒雇用(アプランティサージュ)を取り上げた。ゲストはANAF(Association Nationale des Apprentis de France)の会長バティスト・マルタンだ。団体名から、学徒当事者の立場から語る人物と読める。番組の紹介によれば、この制度は2019年から2022年にかけての失業率低下に寄与したとされる。ところが企業への助成金が削減されたことで、現在は脆弱になっているという。

進学制度をめぐる抗議と、学徒雇用をめぐる議論は、別々のニュースとして出ている。それでも、二つを並べると見えてくるものがある。若者の将来を左右する制度は、学校の入口にも、職場への道筋にもあり、どちらも予算の増減に大きく左右される。ここでは、若者の声が届くかどうか以前に、制度を支える財源が不安定であれば、約束された改善も揺らぎかねないという問題が浮かぶ。ただし、これは二つの番組を並べた私の推測であり、両者の因果関係が報じられているわけではない。

日本の読者として、どこに線を引くか

日本では一般に、学校から就労への移行は、学校・企業・行政が枠組みを整える性格が強いと言われることが多い。そこで当事者である生徒や学生が、制度を「評価する側」として協議に加わる場面がどれほどあるかは、比較の軸になりうる。

もちろん、日本の個別の制度や事例について、今回の記事から断定的に語ることはできない。アメリカや欧州全体への一般化も、提示された記事の範囲ではできない。ここで言えるのは、フランスの事例が「若者の声を制度の中にどう位置づけるか」という問いを、具体的な数字と日付とともに突きつけているという点だけだ。

また、フランスの形が理想的だと主張したいわけでもない。5週間の抗議を経て政府が動いたという事実は、裏を返せば、抗議の規模がなければ対話の場が開かれなかった可能性も示唆する。声が届くために街頭が必要なのだとすれば、それは健全な回路と言えるのだろうか。

これから注視したいこと

今後の焦点は三つある。

第一に、水曜日の国民議会での討論と、大臣たちの記者会見で、Parcoursup改革の中身がどこまで具体的に語られるか。

第二に、15,000人分という定員が、学生組合の求めた250,000人分との隔たりを抱えたまま、運動を鎮めるのか、それとも新たな要求の出発点になるのか。見通しは不確かだが、隔たりが大きいことは確かだ。

第三に、28人以下という上限を実現するための教員採用と、校舎改修の融資が、実際にどのような手続きで学校の現場に届くのか。融資は希望する自治体向けとされており、手を挙げるかどうかは各自治体の判断に委ねられる。この点が、学校間の差にどう影響するのかは、現時点では分からない。

数字は、約束を測る物差しにはなる。しかし、若者が何に不安を感じ、何を不公平だと受け止めたのかは、数字の外側に残り続ける。

若者の不満を数値に置き換えて、予算と定員で答えを返す。それだけで、その声を政策に反映したと言えるのでしょうか。あなたが10代の頃に感じた進路への不安は、どんな数字に置き換えられたでしょうか。そして、その数字から、あなたの声はどれだけ読み取れるでしょうか。

出典

  • Radio France Économie:Apprentissage : zoom sur la situation des apprentis en France (2026/10/27)
  • RFI France:Manifestations en France: «Derrière le prétexte de l'ordre, l'objectif du gouvernement c'est le pourrissement des revendications» (2026/10/27)
  • franceinfo (titres):Quelles sont les mesures proposées par le gouvernement pour apaiser la colère lycéenne et étudiante ? (2026/10/27)
  • Radio France Économie:Les slogans des lycéens vus par les économistes // A Madagascar, les travailleurs invisibles de la donnée (2026/10/26)
  • Radio France Économie:Les slogans des lycéens vus par les économistes (2026/10/26)

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