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1リットル2.38ユーロのディーゼルと、83億ドルの四半期利益――フランスは危機の負担を誰に割り振るのか

フランスのドライバーが10月29日木曜日に給油所で目にした軽油の平均価格は、1リットルあたり約2.38ユーロだった。AFPが8,800を超える給油所の報告から算出した数字である。

同じ日、石油大手TotalEnergiesは2026年第3四半期だけで83億ドル(74億5000万ユーロ)の利益を発表した。年初からの9カ月間では195億ドルで、2025年の同じ期間は102億ドルだった。

一方は家計の財布から出ていく数字で、もう一方は企業の帳簿に入ってくる数字だ。この2つが同じ日に並んだとき、フランスで何が議論されたのか。本稿はそこから、危機の負担をめぐる国の考え方を読み解く。

「幸運」と「模範」のあいだで

まず事実を整理する。franceinfoによると、TotalEnergiesの精製部門は第3四半期に35億ドルの利益を上げた。前年同期は6億8700万ドルだった。精製事業の利益率は前年同期の5倍になったという。

背景として記事が挙げるのは、中東の紛争による炭化水素価格の急騰と、ウクライナとロシアの製油所への攻撃である。後者で軽油市場の緊張が強まり、フランスで最も消費される燃料であるディーゼルが値上がりした。LNG部門も、価格上昇と取引事業の好調で業績が倍増した。

欧州のガス価格は水曜日、1メガワット時あたり100ユーロを4年ぶりに超えた。冬を前に欧州の貯蔵量が少ないことも理由に挙げられている。

政府の反応は少し込み入っている。エネルギー分野を担当するモード・ブルジョン氏は、BFMTV/RMCで「大手石油会社を国内に持つフランスは幸運だ」と述べた。その直後に、同社は「模範的」であるべきだ、前例のない利益をディーゼルの給油価格に「引き下げる形で反映」してほしいと続けている。

(なお、同じ決算を伝える別の報道では金額の表記が異なる。本稿ではfranceinfoの数字を用いる。)

同社のパトリック・プヤネ社長は、3月に導入された軽油の上限措置(1リットルあたり2.25ユーロ)によって、年末までに「5億ユーロか、それ以上」の負担を被ると語った。上限を考慮しない軽油の平均価格は、依然として2.35ユーロを超えている。

ラジオ・フランスの別の報道によれば、同社は利益を従業員のボーナス、株主、自動車利用者で分け合うと約束した。自社の給油所で価格に上限を設ける形で、消費者にも還元するという。

注目したいのは、ここでの「分け合い」が企業の自主的な約束と、政府からの公開の要請という二本立てで進んでいる点だ。市場が生んだ利益だから企業のものだ、という割り切りは、少なくともこの場面の政府発言には見えない。

値下げ額を「見える」ようにする国

政府は要請だけでなく、自ら動いてもいる。10月12日、戦略備蓄から軽油1,000万バレルを販売業者に提供すると発表した。備蓄は炭化水素約1億バレルで、その半分ほどが軽油だ。目的は、給油所価格を1リットルあたり12~18サンチーム下げることにある。

備蓄は中東での戦争前に購入されたもので、1月末まで、1リットルあたり0.28ユーロで販売業者に売られる。この価格は現在の市場価格を大きく下回る。

興味深いのは、10月29日付の官報に載った政令である。販売業者は値下げ額を「明確で、目に見える表示」で掲示しなければならない。値下げ額は、消費者に還元された税抜きの利益額に、適用される税を加えた額以上でなければならない、とも定められた。

ここからは私の解釈になる。この政令は、安く仕入れた備蓄が流通の途中で業者の利益に吸収されることへの警戒を映していると読める。政府は価格を下げるだけでなく、誰がどれだけ負担を軽くしたのかを消費者の目に見せようとしている。負担の分配を、数字として公開させる発想である。

税を最も払う国が、さらに企業に課税を求められる矛盾

この議論には、もう一つの層がある。Eurostatの報告をFrance Interが伝えたところでは、2025年にフランスは欧州で最も税負担の重い国に返り咲いた。税負担の対GDP比は46%に達し、デンマークを上回った。歳入の伸びは欧州平均のほぼ2倍で、税と社会保険料の増収は230億ユーロにのぼる。

その増収の40%は大企業が払い、四分の一は家庭や電力の消費者が、同部門への増税の影響で払ったという。つまり国家は、危機の時代にすでに企業と家計の双方から多く徴収している。

そこで先ほどの給油所の話に戻る。同じ29日の前日、国民議会は2027年度予算で化石燃料企業の利益に課税する修正案を否決していた。350.orgやAttac Franceなど複数のNGOは「許しがたい利益」と批判し、超過利益への課税を求めた。財源として挙げたのは、公共サービス、環境移行、家計支援である。

グリーンピースによれば、イラン戦争の開始以来、欧州の石油業界が積み上げた超過利益は36億ユーロにのぼる。NGOは国民議会の近くでデモも行った。

ここで見過ごされがちなのは、課税をめぐる対立が「企業か家計か」の二択ではないことだ。すでに税負担が大きい国で、さらに誰から取るのか。取った税で価格を下げるのか、環境移行に回すのか。そして、そもそも取らずに企業の自発的な還元に委ねるのか。選択肢は少なくとも三つ並んでいる。

負担は価格だけでなく、日曜日の時間にも

負担の分配を価格と税だけで見ると、見落とすものがある。franceinfoが伝えた日曜営業の議論がそれだ。

土曜日にデモが相次ぎ、「黄色いベスト運動」の呼びかけで翌週にも動員が予定されている。店を閉める商店主もいれば、客足の落ち込みを訴える商店主もいる。彼らは売り上げを取り戻すため、日曜営業を求めた。

政府は応じる意向を示している。市長が年12日まで認められる例外措置と、県知事の命令による3日分の追加が既存の枠組みにある。クリスマスまでこれを活用する方針だ。

日曜勤務は一部の業種を除き、従業員の自発的な同意が原則で、割増賃金と代休がつく。しかしCGT商業部門のエロディ・フェリエ氏は「自発性など存在しない」と語る。断れば職場で外され、有給休暇も認められにくくなるというのだ。CGTは消費低迷の原因をデモではなく購買力の不足とみて、賃上げを求めている。

解釈を加えるなら、危機のコストは、燃料価格や税のほかに、売り上げの穴を埋めるための時間や労働という形でも現れる。ここでは商店の損失を、日曜日に働く従業員が補う構図が問われている。同じ危機でも、利益を得る企業、損失を被る商店、賃金で暮らす従業員とでは、見えている景色が違う。

日本の読者はどう読むか

関連記事には日本や米国の事例がないため、具体的な比較はできない。ここから先は一般論にとどまる。

日本では、物価高への対応というと、価格を直接抑える措置や家計支援が話題になりやすい、と言われることがある。それに対し、今回のフランスでは、企業の利益に公開の場で「還元」を求める声と、政府が値下げ額の表示を義務づける動きが目立つ。値下げ、課税、賃上げという三つの手段が、同じ日の紙面で同時に争点になっている。

日本に当てはめれば、ガソリン価格の議論と企業決算、最低賃金の議論が、一つの話題として語られることは少ないのではないか。これは断定ではなく、読者の皆さんの実感と照らして考えてほしい視点だ。米国との比較は、この素材からは判断できない。

これから何が争点になるか

注目点は少なくとも三つある。

第一に、戦略備蓄による値下げは1月末までの措置である。終わった後、市場価格がどうなっているか。

第二に、2027年度予算の審議である。否決された課税修正案が、形を変えて再浮上するかもしれない。NGOは声を上げ続けるだろう。

第三に、冬を前にしたガス価格である。貯蔵量の少なさが続けば、電力やガスを通じて家計への影響が広がる可能性がある。

価格を抑える対策が効くかどうかだけでなく、そのコストと利益を企業、納税者、働く人のどこに置くかが、今後の争点になるだろう。

公正さの物差しは何か

TotalEnergiesの利益は、危機が生んだ偶然の追い風なのか。それとも、社会全体で分かち合うべき「超過」なのか。企業の自発的な約束に任せるのか、税で取るのか、価格を直接抑えるのか。

危機で生じた利益と負担を、どの基準で分けるのが公正でしょうか。景気の波にさらされる私たち自身の立場、つまり消費者、納税者、働き手、株主のどれに自分が近いかによっても、答えは変わりそうです。あなたなら、どこから考え始めますか。

出典

  • Radio France Économie:La France en tête du classement des pays d'Europe où l'on a payé le plus de taxes en 2025, selon Eurostat (2026/10/29)
  • franceinfo (titres):Visualisez les profits exceptionnels de TotalEnergies en 2026, notamment en raison des conflits en Ukraine et au Moyen-Orient (2026/10/30)
  • franceinfo (titres):Après les manifestations, les commerçants pourront-ils ouvrir le dimanche ? (2026/10/29)
  • Radio France Économie:Les bénéfices de TotalEnergies atteignent des niveaux records (2026/10/29)
  • franceinfo (titres):Les distributeurs devront afficher "de manière lisible et aisément accessible" le montant de la baisse de prix du gazole lié au déstockage de réserves stratégiques (2026/10/29)

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