「頼らない」ではなく「選べる」——キューバの油田から、Doctolibのメディカル×AI、アフリカの人民元まで
経済

「頼らない」ではなく「選べる」——キューバの油田から、Doctolibのメディカル×AI、アフリカの人民元まで

キューバは石油の約40%を自国で賄っている。残りの約60%は、これまで外国に頼ってきた。報道によれば、国産原油は主に、老朽化した6つ程度の発電所の燃料に優先的に回され、それでも電力網の柱になっている。その外国依存の部分に、トランプ政権が封鎖を課した。停電が増え、経済は窒息状態にあるという。

電気が止まる夜を想像すると、依存のリスクは抽象論ではなくなる。しかし、同じ週にRFIが伝えた別のニュースを並べると、「依存を減らせば自立できる」という単純な図式では説明できなくなる。この記事ではその5本を横に置き、国家が国外との関係をどう選ぶのかを考えてみたい。

封鎖された島が、自国の地下資源を外に開く

キューバは2026年10月13日、石油部門を民間投資家に開放した。6月に発表された経済自由化計画の一環である。エネルギー・鉱山省の責任者ペドロ・アビガンタスは、国内外の民間投資家が鉱区の権益を取得できる制度を導入すると説明した。新法は、6月に採択された176の市場経済改革の枠組みの一部で、経済の大規模な分野を民間部門へ開くことを想定している。

ここで目を引くのは、外からの圧力に対する反応が「閉じる」方向ではなかった点だ。共産主義体制は、島が史上最悪のエネルギー危機にあるなかで、石油・ガスの生産と探査を再活性化させたいと考えている。その手段として国内外の資本を呼び込む。報道には、トランプ氏がキューバを「国家安全保障にとっての重大な脅威」とみなしてきたとある。そうした相手国の資本も含めて、外に扉を開く構図だ。

これは私の解釈だが、封鎖された側にとっての自立とは、外部との関係を断つことではなく、断たれた関係の代わりに別の関係を自分の条件で組み直すことだと読める。もっとも、新制度が実際に投資家を引きつけるかどうか、そして誰が投資に応じるのかは、記事からは分からない。その部分は今後を見るしかない。

「私たちのデータ」を、米国の半導体企業の資金で育てる

同じ日、フランスでは別の種類の依存が話題になっていた。医療予約プラットフォームDoctolibに、米国の半導体大手Nvidiaが少数株主として出資する。パリで発表したジェンセン・ファンCEOは、目的を「欧州でのAI革命を推進すること」と述べた。Nvidiaは昨年、欧州に少なくとも80億ドルを投資したという。

注目したいのはDoctolib側の言葉だ。同社はNvidiaの技術を使って、「私たちのモデル、私たちのデータ、私たちによって統制された自社主権のAI」を訓練したいとしている。出資は受けるが、Nvidiaは取締役会には座らない。Doctolibは8月に、5000万人のユーザーの個人データを用いる科学研究プログラムを始めたとも伝えられている。直近の企業評価額は、春の時点で36億ユーロだった。

「主権」を名乗りながら、米国企業の資金と技術を使う。これを矛盾と見るか、設計された依存と見るかで、読み方は大きく変わる。記事の記述から言えるのは、少なくともDoctolib側が、資本の出どころと、データ・モデルの統制権とを別々の問題として扱っているらしい、ということだ。出資比率が少数であること、取締役会の席がないことは、その線引きの一部と読める。ただし、この線引きが実際にどこまで効力を持つのかは、原文からは判断できない。

ドルを介さない決済は、依存の消滅ではない

3つ目の舞台はアフリカである。今年6月、ほとんど注目されないまま、中国が南アフリカに人民元の清算機関を開設した。Standard BankとICBCが運営し、中国とアフリカ19カ国の取引を、ドルを介さず人民元で直接決済できる。ナイロビ大学のXN Iraki氏は、通貨をドルに替え、さらに人民元に替えるといった手続きが損失を生むため、これをなくすことが急務だったと説明する。

対象国にはコンゴ民主共和国も含まれ、同国と中国の貿易額は今年最初の7カ月で192億ドルを超えた。キンシャサの経済アナリスト、アル・キテンゲ氏は、必要に応じてドルか人民元かを選べるようになる点を重視する。「競争はコストの削減や競争力、柔軟性につながります。人民元化は、独占的で排他的だったドル化と同じではありません」と氏は言う。

この発言が面白いのは、人民元を使う利点が「人民元が優れているから」ではなく、「選択肢が一つ増えるから」と語られている点だ。依存先を変えることと、選べる状態をつくることは、別の話として扱われている。

一方で、手放しの楽観論でもない。ケニアは、モンバサとナイロビを結ぶ鉄道の資金調達でExim Bankから借りていた3件のドル建て融資を、人民元建てに切り替えた。ガーナも、人民元の越境決済システムを使うために独自の仕組みを導入した。Iraki氏は、中国は常に貿易黒字を保っているため、長期的に最大の受益者は中国になると懸念を示す。そのうえで、関税の引き下げなどでアフリカから中国への輸出が増え、アフリカも恩恵を受けられるようになることを期待している。

ここにあるのは、ドルへの依存を減らす動きが、そのまま人民元圏への新たな結びつきになりうるという現実だ。手続きのコストが下がっても、取引の条件を誰が決めるかという問題は残る。

中国という「供給元」に、西側が自ら列をつくる

視点を変えて、「依存される側」を見てみよう。スイスのRocheは、肥満症を対象とする実験薬について、中国のバイオ企業と10億ドルを超えるライセンス契約を結んだ。10月初めにはNovartisが、中国企業Abogeneと自己免疫疾患向けのRNA治療で契約した。9月にはNovoが減量薬の錠剤で、米国のMerckががん治療薬をめぐって、それぞれ契約を結んでいる。Bloombergの情報では、米国の大手製薬会社だけで、2026年1月から7月に32件のライセンス契約があった。

中国企業は、自国での権利や特許を保持し、将来の収益を確保したまま、国外での臨床試験と販売の権利だけを供与することが多い。大手製薬会社は臨床開発の一部に資金を出し、最先端の治療薬を比較的低コストで利用する。背景には、2030年に多数の特許が切れる「特許の崖」がある。単独で年間10億ドルを超える売上を生む薬もあり、ジェネリックが出れば打撃は大きい。

中国はもはや医薬品の製造拠点にとどまらず、特にがんの分野で研究の主要な担い手になった。ここでも、依存の方向は一方向ではない。西側企業は中国の研究成果に頼り、中国企業は西側の資金と販路に頼る。ただし米国では、資金とノウハウが中国企業に流れ込むことでバイオ技術の優位が脅かされるとの警鐘があり、一部の議員は投資のペースを抑えるよう圧力をかけている。

「工場の工場」と、ブリュッセルの上限

最後に、中国の輸出統計がある。9月の輸出は前年同月比36.3%増で、Bloombergが取材したアナリストの中央値25.7%を大きく上回った。9月末時点の累積貿易黒字は9381億ドルに達し、昨年の1兆2000億ドルに続く年間の新記録が見込まれている。

AI分野で中国は「工場の工場」と呼ばれる位置にある。米国と欧州がデータセンター建設を競うなかで、半導体、メモリカード、光半導体、ケーブル、冷却システムといった機器を中国が製造または組み立てている。Financial Timesによれば、半導体とIT部品は今年の中国の輸出の約20%を占める。

一方で、ブリュッセルは今週初め、中国製ハイブリッド車の欧州市場への年間流入台数を35万台に制限する方針を発表した。

ここまでの5本を並べると、奇妙な光景が見える。AIの計算基盤を築きたい米国と欧州は、中国の機器に頼っている。その同じ欧米が、中国製の車には上限を設ける。製薬会社は中国の実験薬を求めて契約を重ねる。依存と警戒が、同じ相手に同時に向けられているのだ。

共通するのは「依存の量」ではなく「条件を決める力」

5本のニュースに共通する問いは、「どれだけ依存しているか」ではなく、「依存の条件を誰が決めているか」だと私は考える。これは原文が明示している結論ではなく、5つの出来事から私が引き出した読み方である。

キューバは、封鎖で断たれた燃料の穴を、投資家への鉱区開放で埋めようとしている。Doctolibは、資金と半導体を外から得つつ、データとモデルの統制を手元に残そうとしている。アフリカ諸国は、ドルに加えて人民元という選択肢を持つことで、交渉の余地を広げようとしている。製薬大手は、特許の崖という時間的制約のなかで、中国の研究に頼る選択をした。欧州は、車の流入量に上限をかけることで、条件を自分で設定しようとしている。

いずれも、依存をゼロにする話ではない。依存先を複数にする、依存の範囲を限定する、あるいは量の上限を設けるといった、条件の設計の話である。

日本の読者にとって、これはどう響くだろうか。一般に日本は、エネルギーや先端技術の調達先をどう分散するかという文脈で、この種の議論が語られることが多いとされる。今回のニュースは日本を扱っていないため、具体的な事例は挙げられない。ただ、「自給率」という指標だけで自立を測る発想とは違う尺度がここにある。コンゴ民主共和国のアナリストが語った「選べること」は、輸入の比率を下げるという発想とは別の角度から、自立を定義している。

また、フランスの事例には、国家よりも企業が「主権」という言葉を使っている点に特徴がある。国家の自立が、企業の資本政策やデータ管理の細部で実現される側面があるのかもしれない。ただし、これもDoctolibの発表の言葉遣いから受けた印象にすぎず、フランス社会全体の受け止め方を示す材料は、今回の記事にはない。

今後を見る目安

今後の注目点は、少なくとも3つある。

第一に、キューバの鉱区開放に、実際にどの国・どの規模の投資家が応じるのか。封鎖の圧力が続くなかでの自由化が、エネルギー供給の改善につながるかは、まだ分からない。

第二に、人民元決済の拡大が、アフリカ側の貿易条件の改善につながるのか。Iraki氏が指摘するように、中国の貿易黒字が続くなら、利益の偏りは残りうる。関税の引き下げなどで、アフリカから中国への輸出が増えるかどうかが試金石になるだろう。

第三に、米欧の規制の動きが、中国の輸出と西側企業の中国依存にどう作用するのか。車への上限、バイオ分野への投資抑制圧力は、その兆候と読める。

つまり、これからの自立の尺度は、供給先をいくつ持っているかだけではなく、取引条件を誰が決められるかに移っていくのではないか。これは予測というより、今回のニュースから見える方向性である。

問い

国外と取引しなければ暮らしが成り立たない時代に、自立とは何を指すのだろうか。「頼らない」ことが現実的でないなら、残る道は「選べる余地を持つ」ことだ。では、その余地は誰が、どのレベルで確保するのか。国家か、企業か、それとも私たち一人ひとりの選択なのか。

あなたの暮らしを支えている電気やデータ、薬や通貨は、どこの誰の条件に支えられているだろうか。一度、確かめてみてほしい。

出典

  • RFI Économie:Cuba libéralise son secteur des hydrocarbures sous la pression du blocus américain (2026/10/14)
  • RFI Économie:France: le géant américain Nvidia entre au capital de la plateforme Doctolib (2026/10/14)
  • RFI Économie:Afrique économie - Le yuan gagne du terrain en Afrique dans le commerce avec la Chine (2026/10/14)
  • RFI Économie:Aujourd'hui l'économie - Les «Big Pharma» occidentales achètent en masse des médicaments expérimentaux en Chine (2026/10/14)
  • RFI Économie:Les exportations chinoises progressent de 36,3 % sur un an en septembre grâce à l'IA (2026/10/14)

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