フランス映画祭2008総評

日本でフランス映画祭が行われている間、フランスのドーヴィルではアジア映画祭が行われていた。日仏交流150周年を記念してこの映画祭を含むノルマンディーの観光ツアーが組まれていたようだ。日仏交流150周年と言っても、コレは悪名高き不平等条約が結ばれた条約を記念していて、何も日本が喜んで祝う筋合いはない。この交流も不平等な感じで、フランスの売り込みの方が大きい感じもする。
東京では開催が終了したが、大阪ではこれからだし、東京でも日仏学院やユーロスペースでは、今回上映したごく僅かの作品の再上映と旧作の上映がこの映画祭に引っかけて行われているので、これから見に行こうと思っている読者に速報的に伝えてみようと思う。
今回のフランス映画祭で一般的な視点から見て一番見やすいのはセドリック・クラピッシュ監督の「パリ」だろう。監督のインタビューも撮ったので、近日ホームページかDVDでリリースする予定だ。やはり明るく振る舞う監督は作品もうまく行くことが多い。数年前横浜に来たときはまだ駆け出しだった監督も今は「大物」である。日本での配給は決まったとも伝えられているが、非常に配給権が高かった事が多くの配給会社が断念していたと言う。
初監督、しかもいきなりカンヌやセザール賞で受賞してしまうという快挙を行ったセリーヌ・シアマ監督の「水の中のつぼみ」は異色の思春期のストーリー。ヨーロッパの映画記者はネタや視点の新しさなどを評価する傾向にあるが、この作品はまさに視点の切り込み方が良かったようだ。元々卒業制作として制作した脚本が受賞し、本作の映画化と言うことで本人がメガホンを握ることになった。
セザール賞で11部門もノミネートされジュリー・ドパルデューは助演女優賞受賞した「秘密」。同じく第二次世界大戦中のナチスと関係のある作品「暗闇の女たち」でも出演しているが、両方とも記録フィルムなどを挿入してリアリティーを高めている。日本人にとってフランスでのナチスの話などはよく知られていないので、多分フランス人の受ける印象と違ってしまうかもしれない。ジュリー・ドパルデューはフランス人は過去の罪をもっと知らなければいけないと、戦争終結から随分経った今の作品の意味を語っていたが、フランス人も関わっていたホロコーストなどをナチスに集約して押しつけている様にも感じた。なお、「秘密」には今回主演男優賞を受賞したマチュー・アマルリックも出演している。
十数回も行われているフランス映画祭の性で、2006~2007年に公開された最新のフランス映画を13本上映される。日本でも1年でどれだけ面白いと思える作品があるだろうか?より大衆を意識したハリウッド物でも大ヒットする映画、もしくは記憶に残る作品はごく僅かだ。ここ1~2年の中で優れた作品を集めるのも実は至難の業であると言える。
しかし映画祭ではないが普通に配給された『エディット・ピアフ~愛の賛歌~』でマリオン・コティヤールはセザール賞で主演女優賞を受賞したが、アカデミー主演女優賞ではフランス語で演じたフランス人女優の受賞は初と言う快挙でもある。しかもセザール賞の撮影賞は日本人(永田鉄男)で有るし、既にDVDも発売され公開は終わったとはいえ、ラインナップに入れられなかったのかと思う。
今回来日した作品も日本は元よりフランスでも無名の監督だったり、長編は1~2作目なんて言うことも。それでも、半分程度は日本で公開されない物だったりするので、最新のフランス映画を知るには、他にはない機会である。

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