哀愁と歓びのシャンソンの名曲20選
普通に日本に住んでいると当然ながらフランス人がフランスで育ったように自然と知っていることが分からない。その一つがポップスだろう。ラジオやテレビが普及した現在は国民のほとんどが同じように当時流行った曲を知っているし、以後に生まれた人もどういう訳か知っている。全員があるテレビの主題歌なんかを口ずさむ事があったり、なんてことも良くある。日本では本当に長期放送している番組が少ないが、博多華丸の児玉清のものまねもアタック25が長寿番組で、最近は見てないのになんか知っていて面白いと言うことなのだろう。
フランス映画などを見ていると今でも昔のシャンソンが流れてくる。もちろんサウンドとしては、それで良いのだが、古い曲にはそれぞれの情報が含まれている。例えば、その歌のゆかりの名所があり、歌詞がその場を歌っている場合もあれば、当時の映画の挿入歌だったりと、何かと印象づけられている事が多い。
新しい映画でも、シャンソンのような昔の曲がよく使われているが、もちろん監督が好きだからと言うだけではなく、共有している心理を利用している。残念ながら背景を知らない我々では、監督の思い描いた描写が伝わらないわけだ。
そこで今回紹介したいのは日本のシャンソン界の重鎮で解説本の執筆や講座などを多く開いている方の新刊「哀愁と歓びのシャンソンの名曲20選」だ。日本の音楽界全体にその曲の背景などを学習しないで歌い方や表現方法などテクニカルな面のみに焦点が行き、無視されがちだが、欧米の音楽教育は歴史などもかなり学ぶ。そう言った意味で彼の活動はものすごく重要で貴重だ。
この本は、20曲の代表的なシャンソンとその背景や歌い手の人柄など分かりやすく読みやすくまとめられている。多分知っている曲も多いと思うが、改めて発見があるはずで、シャンソンファンのみならずフランスのことに興味がある人なら楽しめるはずである。
哀愁と歓びのシャンソンの名曲20選