AntenneFrance N.214 第10回フランス映画祭横浜2002 記念セレモニー
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S O M M A I R E
□第10回フランス映画祭横浜2002
記念セレモニー 6/20(木)
アーメン
セックス・イズ・コメディ
見えない嘘
海のほとり
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◆◆記念セレモニー 6/20(木)
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映画祭が第10回を迎えた記念として下記のようなセレモニーが開催された。
場所/パシフィコ横浜・会議センターメインホール
式次第
1. ダニエル・トスカン・デュ・プランティエ氏(ユニフランス会長)
横浜文化賞受賞式(中田宏・横浜市長より授与)
2. 横浜前市長・高秀秀信氏レジオン・ドヌールメダル授与式
モーリス・グルドー=モンターニュ・駐日フランス大使より授与
3. 第1回フランス映画トロフィー授与式
登壇予定者/岸恵子、他日本人審査員
2001年3月から2002年2月までに日本で公開されたフランス映画のなかで、
もっとも印象的だった作品に、トロフィーが授与されます。
4. コメディアン・ジェローム・デシャン演出スペシャルプレゼンテーション
ジェローム・デシャンとは、ジャック・タチの甥で、フランスで大人気6/20
の演出家、コメディアン。
1. 中田市長の挨拶
節目の映画祭に当たり、今年は高円宮同妃両殿下ご臨席を賜る事が出来た。また
この映画祭はアジアからもバイヤーが多数来日しており、マーケットの場として
も機能してきた。フランスも日本も美に対する繊細さが共通しているようだが、
古くは溝口から北野監督まで日本のフィルムメーカーもフランスで紹介されてき
ている。こうした日仏の文化交流に多大な尽力をしたのがダニエル・トスカン・
デュ・プランティエ氏(ユニフランス会長)であり、その功績に感謝してここに
横浜文化賞を贈呈する。
この賞は横浜市の文化向上、発展に寄与する事を目的に横浜市の教育、社会福
祉、医療、産業、スポーツ振興等の文化発展に尽力し、その功績が顕著な方々に
贈られるものである。氏はプロデューサーとして様々な活躍をしてきた後、ユ
ニ・フランスの会長に就任。その後フランス映画祭横浜においては1993年の第1回
以来企画、運営に尽力してきたものである。
受賞に対しダニエル・トスカン・デュ・プランティエ氏(ユニフランス会長)は
好奇心旺盛な市民と共に経済的イベントとしても継続性のある映画祭にしていき
たい。昨日のオープニング以来観客の反応の早さには吃驚する程だ。フランスか
らもフランス映画界に長らく貢献してきたジャンヌ・モロー氏始め多くのアー
ティスト達が、こうした観客の方々への愛証明している。今後も我々は更に強く
多数になって訪日するつもりだ。これからもこうした出会いを続けていきたいと
思う。
2. モーリス・グルドー=モンターニュ・駐日フランス大使の挨拶
映画という普遍的な芸術に対して日仏の友好を温めてきたこの企画は、日仏関係
の映画における発展を助成してきた。ばかりか近年は映画祭が横浜のショーウイ
ンドウとなって、全国に、更には世界に向けて発信を始めている。これも1993年
来映画祭開催に尽力してくれた高秀秀信前市長のお陰。そこで今日はその感謝と
してナポレオン以来創設されたレジオン・ドヌール勲章を贈呈する。
レジオン・ドヌール勲章とは文化、科学、産業、商業、クリエーション等の分野
における民間人の「卓越した功績」を表彰するものである。
受賞に当たり高秀秀信前市長は
日仏交流の成果を認められて嬉しい。高野悦子氏はじめ多数のサポートを得て開
催に漕ぎ着けた第1回や開催中止の声を上がる中もこうした方々に支えられて乗り
切る事が出来た。
3.第1回フランス映画トロフィー授与式
観客動員数の多いものを5作品選び決定した。トロフィーはバカラパシフィック
社長、小川氏の尽力で大きいのもが受賞作品の監督に、小さい方はその作品を配
給した会社に贈られることになった。
『アメリ』ジャン・ピエール・ジュネ監督不在の為、代理受賞はジャンヌ・モ
ロー氏。配給はニューセレクトの大杉社長が受け取った。
4.コメディアン・ジェローム・デシャン演出スペシャルプレゼンテーション
5.作品づつ位に、来日ゲストが登壇し、合間にショートコント。
どこまでも高音の女性やのんびりとアリアを歌う男性、そしてMR.Bean風のパント
マイムが入って観客からは大喝采。特に横浜での決勝戦をネタに捻りのあるサッ
カーコメディを披露してくれた。
プレゼンテーションのお陰で、とかく形式ばかりで終始しそうなメダル授受式が
和やかな雰囲気になった。特にステージ端で来日ゲストのプレゼンターを勤める
ジャンヌ・モローの屈託のない笑いが印象的だった。
鳥野 韻子
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◆◆アーメン
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Amen
★★★★★
2002年/フランス
監督:コスタ・ガヴラス
出演:マチュー・カソヴィッツ、ウルリッヒ・トゥクール
2002年ベルリン国際映画祭正式出品作品
ナチスの親衛隊となったゲルシュタイン(トゥクール)、はその化学薬品に対す
る知識を買われ水道浄化の仕事を与えられるが、実はそれらの知識がユダヤ人虐
殺に使われていることを知り、なんとか止めようとカソリック教会に働きかける
が皆見てみぬ振りをする。唯一彼の言葉に動かされた若き神父リカルド(カソ
ヴィッツ)はなんとかしようとローマ法王に働きかけるのだが・・・。
上映終了と同時に割れんばかりの拍手とブラボーの声が飛び交った本作。
『ミュージック・ボックス』『マッド・シティ』などハリウッドにおいても常に
社会問題や歴史にメスを入れるかのごとく、重厚な作品に取り組んできたコス
タ・ガヴラスらしい見ごたえある作品。
ホロコーストをテーマにしながら、殺人の現場や死体などは殆ど画面に登場せ
ず、覗き穴から虐殺を見る人々の表情、そして収容所に向う、あるいは戻ってく
る空っぽの貨物列車を繰り返し映すことだけで、恐怖を煽る演出が見事。観客の
想像力までを考慮した演出が見事。
主演の二人の演技も見事。『アメリ』ではコミカルで飄々とした青年を、『クリ
ムゾン・リバー』ではアクションに挑戦し、『憎しみ』などでは監督としての腕
前も証明したカソビッツが寡黙で敬虔な神父を清潔感一杯に演じまたも新境地を
開いている。
ゲルシュタイン役のトゥクールは舞台やオーケストラメンバーとしても活躍する
オーストリア人だが、次回作はソダーバーク作品でジョージ・クルーニーとも共
演するというからこれまた楽しみである。
ストーリー的にハリウッドで作れなかったというこの作品。それでも真実を伝え
ることを選び金儲け仕事に走らない監督の真摯な姿に感激。オリジナルは英語で
撮影されたというから、それでも世界中でヒットすること間違いなしだろう。
MS.QT.MAI
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◆◆セックス・イズ・コメディ
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Sex is comedy
★★★★☆
監督:カトリーヌ・ブレイヤ
出演:アンヌ・パリロー、ロクサンヌ・メスキダ
『本当に若い娘』『ロマンスX』など、常に衝撃的な性描写で話題を呼ぶブレイ
ヤ監督が、映画撮影の内幕を描くいわゆるメイキングものに挑んだ野心作。
女流映画監督のジャンヌ(パリロー)は映画のメインとなる若い二人の初体験
シーンを撮影しようとするものの主演の女優(メスキダ)と、男優(グレゴワー
ル・コラン)はギクシャクしたムードでわがままばかりで撮影は難航し・・・。
休憩のときのリラックスした表情から監督の表情になるパリローの変化も素晴ら
しいが、ヘタクソと罵られながら最後には迫真の演技をみせる女優役のメスキダ
の映画の中での成長振りが見事。ブレイヤ監督の次回作『ファット・ガール』で
も主演を務めるというから楽しみである。
官能的なシーンを入れれば入れるほど話題になるのが映画業界の常だが、キス
シーン一つにせよあれだけ苦労してるんだなあ・・。と神妙な気持ちになった。
男優がレプリカペニスを振りまわすシーンはこの映画のタイトルをそのまま体現
しているような滑稽さを感じる。
今までちょっぴり邪まな気持ちで見ていた映画の官能シーンだが、これからは神
妙な気持ちで見てしまうかも。『プワゾン』のアンジェリーナ・ジョリーとバン
デラスも相当苦労したに違いない?!
ちなみに来日した女性3人はともにセンス抜群。とくにパリローのGパンからソ
ワレまで着こなすスタイルの良さには感激!監督が着ていたこの作品のロゴTは
SEXのXがスパンコールになっていてキュート。劇場販売するなら是非手にいれ
たい!
MS.QT.MAI
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◆◆見えない嘘
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★★★☆☆
2002年カンヌ映画祭コンペティション部門正式出品作品
カラー/120分
監督:ニコール・ガルシア
脚本:ジャック・フィエスチ、フレデリック・ベリエ=ガルシア、
ニコール・ガルシア
出演:ダニエル・オートゥイユ、ジェラルディン・ペラス、
エマニュエル・ドゥヴォス
「ファーゴ」や「シンプル・プラン」を思い出させる作品。上記作品も今回の作
品同様、小さなキッカケから坂を転がり落ちるように人生が壊れていくものであ
る。本作品はそれらに比べて何が新しく何が面白いのか?
本作品の主人公ジャン=クロード(ダニエル・オートゥイユ)は気の弱い、しかし
プライドが高く周囲の人々に頼られたい男。このジャン=クロードがついた何の
実質的な見返りをもとめない小さな嘘が重なって、彼の人生は破綻してゆく。大
金持ちになりたいとか権力が欲しいとか、そんな大きな目標のためでなく、頼り
になる男を演じたいがためだけに人生を棒に振るのである。それも巧妙な嘘では
なく、子供じみた嘘で。そんな嘘が18年も周囲の人々にバレず、彼は18年もの間
彼の望む「頼りになる男」を演じきる。更にはこれが実話だという。これら全て
が滑稽で悲しく興味深い。
この情けない主人公を演じるのは名優ダニエル・オートゥイユ。彼の知的な顔な
らば、WHOに勤めている研究員といわれても、銀行員と知り合いで良い利率の商品
があるといわれても何の疑いもなくハナから信じてしまいそう。
こんなに気の小さな男。結局加害者は誰で被害者は誰なのか?もちろん普通に考
えれば、あるいは法的にはジャン=クロードが加害者で周囲の人々が被害者とい
うことになる。しかし実力のない気の小さい男に過度な期待を掛けたのは両親で
あり妻であり周囲の人々だったのではないか?別に弁護する気は毛頭ないが、そ
んなことまで考えたくなるほど結果は最悪でかつ、動機は幼稚なのである。この
ギャップが大きければ大きいほど第三者が見るには滑稽で興味深いのである。
誰もが嘘をついたことがある筈である。それだけに自分を振り返り、自分の人生
の歯車が小さな嘘の積み重ねによって崩れてきていないか思い返してみたくなる
衝動に駆られた。
多田 直
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◆◆海のほとり
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★★★☆☆
2002年カンヌ映画祭カメラドール賞受賞
カラー/88分/
監督/ジュリー=ロペス・キュルヴァル
脚本/ジュリー=ロペス・キュルヴァル、フランソワ・ファヴラ
出演/ビュル・オジェ、ジョナサン・ザッカイ、エレーヌ・フィリエール
なんとなくエリック・ロメール作品をイメージさせる作品。合間に入る「夏」
「冬」などのテロップも、ロメールお得意の日記調に似ていて、ロメールファン
の私としては好感が持てる。また脚本も淡々と日常を描く中に夢や欲望そして現
実が交錯し、非常に現実的で共感しやすい。そんな描き方もロメールに似ている
気がする。特筆すべきはキャラクタの精神描写が非常に巧みであること。故に
キャラクタひとりひとりが活き活きしていて、観客は感情移入しやすく共感でき
るのである。
本作品で監督・脚本のジュリー=ロペス・キュルヴァルは今回のフランス映画際
の1ヶ月前に行われたカンヌ映画祭でカメラドール賞を受賞した。一見すると若手
女優の如く若くかわいらしい印象を受ける彼女だが、いわゆる最近のフランス映
画界に多い「女優→監督」という流れではなく、最初から監督を目指してキャリ
アを積んできた人物らしい。
またローズ役にはヌーヴェルヴァーグの代名詞的女優のビュル・オジェ。なんと
も愛らしいおばあちゃんを演じ、作品全体に安定感を与えている。
また夢と現実のギャップに悩む若き美貌のマリー役には、「エステサロン
ヴィーナス・ビューティ」「キッド・ナッパー」で赤丸急上昇中のエレーヌ・
フィリエールが扮し、ちょっとピリピリしたスパイスを画面に与えている。
描かれたのは海辺の小さな町に住む人々の人間模様。そこに住む素朴な人々ひと
りひとりに個性と今までの人生が感じられ、なんとなく昔から知ってた人なので
はないか?と錯覚してしまうほど自然。物語の中にはヒーローもヒロインもいな
い。特別な境遇の者もいない。本当に普通の人たちばかりが存在し、ひとりひと
りが小さな欲望や夢、そして悩みを抱えているあまりにも自然な生活感をさわや
かに感じさせてくれる作品である。こんな作品を見たかった。
多田 直
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◆◆フランス国営国際放送・音楽専門ラジオ局のrfi musique
◆◆ストリーミング配信を開始
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2002年4月1日、AntenneFranceはRadioFranceInternationaleの音楽専門ラジオ放
送rfi musiqueライブ放送をブロードバンドで開始いたしました。rfi musiqueは
24時間フランスのポップミュージックを発信する音楽専門のラジオ局です。この
サービスにより、これまで国内では特殊な受信設備がなければ聴取できなかった
フランスのラジオ放送をライブで気軽にお聴きいただき、フランス文化をより身
近に体験していただくことが可能となります。
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