AntenneFrance N.268 フランス映画祭横浜2004 特集
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【フランス映画祭横浜2004 特集】
□父と息子たち
□ぼくセザール 10歳半 1m39cm
□いつか会える
□あなたを待つ人生
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◆◆父と息子たち
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2002年/97分/カラー
監督:ミシェル・ブージュナ
脚本:エドモン・バンシモン、ミシェル・ブージュナ
出演:フィリップ・ノワレ、パスカル・エルベ、シャルル・ベルリング
ブリュノ・プズル
6月16日(水)20:00
レオは一家の年老いた父。彼は今や気持ちがバラバラになってしまった息子3
人の愛情を取り戻すためなら、何でもしたい気になっている。ある日彼はちょ
っとした病で倒れた。それをいいことに、心配する息子たちに重大な手術が必
要なんだと嘘をつき、その前に皆で旅行に行きたいと願う。さすがの息子たち
も同行を断れなかった。かくして父と息子たちはカナダに旅に出るが…。
『赤ちゃんに乾杯!』などで知られるベテラン俳優ミシェル・ブージュナの初
監督作品。彼はこの不協和音を奏でるカルテット(4人の家族)の見事な指揮
者となっている。はじめはバラバラでどうなる事かと思った家族が、ぴりりと
効いたユーモアと、温かい眼差しという魔法の指揮を持ってして、見事なハー
モニーに変えられていく。家族は時にすれ違うことがあっても、お互いが向か
い合って時間を過ごすことで、いつだってまた愛し合うことができるのだと気
がつかせてくれる作品である。
父親レオの、垂れた目、丸い鼻という外見もさながら、息子達への奮闘ぶりが
あまりにも可愛い。「クジラを見にカナダに行く?シーズンオフだよ。」とい
う言葉には、「絶対いるのー!」と無理に押し通す。薬をこっそりチョコレー
トに変えて、息子達の前でいかにもなフリをして飲む。療法士の所に連れて行
かれたら、大樹に巻きついたり、気を受けたり、怪しい治療もなんのその。時
に子供のように駄々をこねたり、時に仙人のように悟ってみたり、レオの魅力
だけで惹きつけられるものは充分。
その上、個性の違う息子3人の織り成す兄弟喧嘩や助け合いは、身近に感じら
れて頷けるものばかり。「おまえはいっつもスープを音を立てる。こうだ、こ
う。」「えっ、こう?」「そう、いいね。」なんて、彼らが確実に家族だと認
識させ、言葉に出さない温かさが伝わってくるのだ。フランスで100万人も
動員させたというのも頷ける、必見のヒューマンコメディだ。
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◆◆ぼくセザール 10歳半 1m39cm
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2003年/99分/カラー
監督:リシャール・ベリ
脚本:エリック・アスス、リシャール・ベリ
出演: ジュール・シトリュク、マリア・ド・メデイルシュ
ジャン=フィリップ・エコフェ、ジョゼフィーヌ・ベリ
6月19日(土)11:00
ぼくの名はセザール・プチ。ちょっと太めだけど、そのことはあまり言われ
なくない。ぼくの親友はモルガン。成績優秀、スポーツ万能、その上大人っぽ
い。でも彼にも一つだけ悩みがある。父親を知らないこと。そして、学校一の
美女、サラ!彼女のためなら命も惜しくない。でも10歳の女の子に“男は中
身”だってことをわからせるのは簡単じゃない。ちょっと小太りなことの“羞
恥心”、甘い物への“執着心”、モルガンへの“友情”とサラへの“愛情”…
…そんな様々な葛藤に悩み、行動し、変わろうとするセザールの日常の大冒険
を描いた爽やかな物語。
『ぼくセザール 10歳半 1m39cm』というタイトル通り、全ての映像が
10歳半の気持ち、1m39cmの背丈から語られる。こどものまなざしに変
わると、世界は一変するのだ。「どうしてこどもには敬語を使わないの?」
「危険なヤツだと言ってた人のお葬式なのに、何故泣いてるの?」「大人はこ
どもに説明しないで、命令する」「色とりどりのケーキを眺めるのは最高!」
「田舎に行くのは追放された気分だ…」こども同士では口には出してもいても、
普通なら絶対に聞けない本音が聞けてしまう。そして、大人になった私たちが
忘れていた、懐かしくも甘酸っぱい感情がよみがえってくる。こどもの頃は毎
日まるで世の中の大発見をしているかのようだった。今一度、こどもの感性を
通して、生きるということがどういうことなのか探っていくのだ。
大人から見ると過小評価しがちなこどもの悩み…例えば初恋や、初めての旅行
のドキドキ、外見のコンプレックス…等、を本作では真っ向から撮影している。
そうすることで、ささいな出来事さえも、こどもは妥協しない真っ直ぐな姿勢
で向かい合っている、という事実に気がつかされる。小さな体を思い切り弾ま
せて、目を見開いて、体当たりで目の前の出来事をクリアして成長していくの
だ!
彼らの一人前になろうとする姿が愛らしく、時には大人よりも一生懸命にみえ
て、私たちは、そっと隠しておいた宝物を発見した気分になるでしょう。また
俳優のかわいらしさ、映像の美しさは、大ヒットした『アメリ』にも匹敵する、
という噂も立つほど。何度も、何度も繰り返し観たくなる映画です。
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◆◆いつか会える
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2004年/95分/モノクロ
監督・脚本:ブノワ・ジャコ
出演:イジルド・ル・ベスコ、ウアシーニ・アンバレク
ロランス・コルディエ、ニコラ・デュヴォシェル
6月19日(土)13:30
19歳の少女が恋に落ちた相手は、とんでもないならず者。ある日彼は銀行強盗
を働き、殺人まで犯してしまう。行く当てのない彼をかくまった彼女は、翌日
ある選択をする。彼と共に逃亡する、と!それは、堅苦しい父親とのアパルト
マン生活、淡々とした毎日…という今までの自分の人生からの逃亡でもあった。
かくして彼女は、自分が望んでいた人生へと突き進み始めるが…。
平凡で決まりきった毎日から抜け出したい、という逃避願望はあれど、実行に
移せる者はそういない。しかし主人公は銀行強盗をした彼との逃亡というキッ
カケで、飛び出してしまった。愛する人と朝から晩まで共にし、盗んだお金で
豪遊する生活は、まるで最高のバカンス。お金をストッキングの中に隠したり、
税関を何気なく通り過ぎることさえも、美味しいスパイスになる。
嬉しそうに「不良少女だから」と自ら語ってしまうあたり、状況に酔っていて、
事の重大さどわかっていない。その姿は奔放すぎて、少し浅はかなようにも見
える。けれども、19歳の頃、誰とも違う特別な生き方を望んでしまう気持ちは、
誰しも思い当たるフシがあり、それがある意味、不器用な純粋さでもあった気
がする。
しかし、彼女は行き過ぎた。果てしなく続くバカンスは存在しなかった。お金
も尽きた頃、苛立ちが広がり、それが彼女を現実と向き合わすことになる。
そして、最後には彼らとはぐれてしまう。愛する彼を失った喪失の表情からは
「浅はか、だけれど純粋な想い」を真っ直ぐに捧げていた事実を知らせ、観て
いる者をせつなくさせる。
モノクロの映像が、彼女が時折描くデッサンの線を美しく際立たせ、感情の光
と影をきめ細かく表現する。その繊細で触れると壊れそうなシーンの美しさは、
若さという一瞬のきらめきにも似ているものがある。
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◆◆あなたを待つ人生
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2003年/110分/カラー
監督:ティエリー・クリファ
脚本:クリストファー・トンプソン、ティエリー・クリファ
出演:ナタリー・バイ、パトリック・ブリュエル、ダニエル・ダリュー
ジェラルディン・ペラス、アヌーク・グランベール
6月20日 (日)13:00
親友とパリでレストランを開いているアレックスは、近々恋人との結婚を考え
始めていた。そんな時、彼は初恋の相手に12年ぶりに偶然再会する。いけない
と思いながらも、忘れられなかった女に再燃してしまう。しかし、同時に恋人
の妊娠も発覚する。初恋の相手との熱情に身をゆだねるのか、子供のいる人生
を選んで恋人に戻るのか、選択に迫られる男の物語。
「かりそめの恋は蜜の味 人生の重さをわかっていても」という作中の唄に、
映画の内容が凝縮されている。ジャンヌとの恋に溺れ、崇めるかのような眼差
しでみつめるアレックス。人妻であるが故に無責任さを批判され、それでも恋
の甘さに酔うジャンヌ。浮気にショックを受けるが、妊娠発覚で結婚を望む恋
人のクレール。アレックスが二人の間を右往左往する様は、まさしく蜜の味に
浸る瞬間と、人生の重さを振り返る瞬間が交互するかのよう。滑稽でもあり、
少しはかなくもある。けれども、そもそも恋とは現実を忘れさせてしまうほど、
その一瞬に生きるものだった、という事実を思い出させてくれる。
フランスの大スター、パトリック・ブリュエルの人気でフランス公開時に女性
客を中心に大ヒットしたこの作品。大女優ナタリー・バイが初恋の相手ジャン
ヌを、『見えない嘘』でも注目されたジェラルディン・ペラスが恋人役クレー
ルを演じ、それぞれ違った女性の魅力を競わせているのも見所だ。
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