効率を上げた収穫で、品質が良い ドイツワイン産地の 2023 ヴィンテージ

2023年のワインは、史上最速の収穫年として歴史に残るでしょう。きまぐれな天候は極端な干ばつをもたらし、その後数週間にわたって大雨が降り続き、最後は極度に暑い夏の終わりとなりました。しかも、ほとんどのぶどう品種がほぼ同時に成熟しました。9月の気温は30度にも達し、ワイン生産者たちは、果汁がタンクで過度に暑くならないよう、夜から朝にかけて涼しいうちにぶどうを収穫しました。

この年の主な課題は、健全なぶどうを手にすることでした。多くの場所で、事前に入念なぶどうの選別が行われ、一方では量を減らし、他方では全体として良好から並外れた品質を確保しました。リースリングとシルヴァーナーに加え、このヴィンテージの勝者は、国際的な赤ワイン品種と、新しい耐菌性の品種も含まれます。特に後者は今年、病原菌に対して高い耐性を示すことができました。2023年の最初の若いワインは、すでに果実味が非常に豊かで、心地よいほどに引き締まっていて、繊細な酸味があります。

今年の収量は、ぶどうの品種と降雨分布によって、地域的にも個々の場所でも大きく変動しました。全国の収穫量は880万ヘクトリットルと推定され、長期平均と同程度で、前年の結果を3%下回りました。

ドイツ・ワインインスティトゥート(DWI)は、13のワイン産地における2023年ヴィンテージの出来を調査しました。

2023年、各ドイツワイン生産地のヴィンテージレポート

アール(529ヘクタール):素晴らしいピノ・ノワールを手にした夢のようなヴィンテージ

アール地方のワイン生産者たちは今年も大喜びです。「私たちはとても満足しています」とワイン生産者協会会長のユベール・ポーリーは言います。天候、水、ワインの品質は、アールのワイン生産者に完璧な条件をもたらしました。他のワイン産地が多すぎる水と湿気に悩まされる中、アールは、「我々は常に適切な時期に適切な水を供給してもらっていた」と、深く感謝しています。これは春に始まりました。穏やかな年明けの後、アールでは、本来は乾燥しているはずの初夏にも繰り返し雨が降りました。これにより、シーズンを通して十分な量の水分がぶどうに供給されました。

7月末から8月にかけての豊富な降雨は、アール全体に、選果の必要性を強く感じさせました。しかし、ここでは手摘みが収穫の主流であるため、ワイン生産者たちは健康なぶどうを早めに選果することで、この脅威に対抗することができました。これは特に急斜面での多大な労力を意味し、その甲斐あって傑出した品質が得られました。2022年の秋と同様、今年のアールのぶどうの収穫も、長期平均より2週間早く9月初旬に始まりました。この時期のアールは乾燥して暖かかったため、ワイン生産者たちは非常に質の良いリヴァーナー、ドルンフェルダー、フリューブルグンダーも収穫しました。アールの主要品種であるシュペートブルグンダー、別名ピノ・ノワールは、9月末のほぼ晴天に恵まれたインディアン・サマーの天候の恩恵を受け、暑すぎない日にはマストの重量が日々増加しました。「2023年のピノ・ノワールは力強く、フルボディで表現力豊か」と、生産者協会の会長は特徴づけています。

推定39,000ヘクトリットルと、収穫量は10年平均をわずかに上回りましたが、畑によって収量は大きく異なります。バート・ノイエナール・アールヴァイラー地区の生産者は、初夏の雹害で最大30%の大損失を被りました。リースリングも今年のアールでは大当たりです。いくつかのワイナリーは、アウスレーゼを含めても、ここ20年来で最高の品質だと言います。「良いワインの年が緊急に必要だった」とポーリーは言います。結局のところ、アールは2021年の洪水災害の被害とまだ闘っています。ポーリーによれば、公的には529ヘクタールあるぶどう畑のうち、まだ480ヘクタールしか生産していません。

バーデン(15,727ヘクタール):有望な果実味主体のヴィンテージ

「バーデンとしては、シーズンは春に非常に良いスタートを切った」と、バーデンワイン生産者協会のホルガー・クライン専務理事は報告しています。ぶどうの木が開花した6月6~8日頃、理想的な気温と、有望なヴィンテージが成熟するのに十分な水がありました。その後、好天と干ばつがかなり長い期間続き、その間に水位が大幅に低下したため、若いぶどうの木は灌漑しなければなりませんでした。「7月中旬までは非常に安定した天候に恵まれ、干ばつにもかかわらずぶどうは順調に生長した」とクラインは言います。

そして7月末、待望の雨が降りました。このおかげでぶどうの木にはちょうど良いタイミングで十分な水が供給されました。しかし、局地的な大雨もありました。マルクグレーフラーラント地方では、7月24日と8月24日に1000ヘクタール以上のぶどうの木が雹の被害を受けました。長引く雨により、ぶどうの果実が破裂してしまうところもありました。バーデンでは特に、この地域で重要なピノ種のぶどうにこの影響がありました。「私たちは迅速に行動しなければなりませんでした」とクラインは言います。

選択的で迅速な収穫は、労働集約的な秋の始まりを意味しました。状況は9月末に落ち着き、晩熟品種は理想的な天候条件の下で収穫できました。その結果、リースリングのような晩熟品種だけでなく、マルクグレーフラーラントのグートエーデル(シャスラ)も勝利を収めました。「バーデンの2023年のワインは、9月と10月の夜間の気温が低かったので、果実味が非常に豊かです」とクラインは嬉しそうに言います。栄養分の供給は良好で、アルコール度数は高すぎず、酸味はバーデンの基準からすると控えめです。バーデンの収穫量は、おそらく長期平均のレンジの中の高い方になり、収量は約120万ヘクトリットルと予想されています。

「1年を通してぶどう畑で良い仕事をした人なら誰でも、このヴィンテージに大満足できる」というのが結論です。特に、適度な収量に焦点を合わせ、適切な時期に植物保護、品質向上、収量調整の措置を講じたワイン生産者は、今年の努力に報われました。

フランケン(6,171ヘクタール):フランケンのアロマティックでエレガントなワイン

2023年もフランケンは極端なシーズンでしたが、結果的にハッピーエンドのシーズンとなりました。「ワイン愛好家は、1659年以来シルヴァーナーの故郷であるフランケンの素晴らしいワインを期待できる」と、ワイン生産者協会会長のアルトゥール・シュタインマンは喜びを語ります。

主要品種であるシルヴァーナーは、気候の変化に対応できることを証明し、素晴らしいワインを生み出しました。フランケンの2023年シーズンのスタートは、かなり地味でした。暖かく曇りがちな冬に続き、涼しく雨の多い春が訪れました。フランケンワイン生産者協会によれば、「フランケンのぶどう畑は、土壌がよく湿っていたため、今シーズンのスタートはためらいがちだった」。

しかし、最初こそ生長は抑えめであったが、発芽は有望なものでありました。6月の気温上昇のおかげで、開花はわずか数日で最適に行われました。しかし、開花直前に雷雨があり、雹や大雨による被害が局地的に散見されました。5月中旬から7月中旬にかけての乾燥期は、特に若いぶどう畑に干ばつのストレスをもたらしましたが、古いぶどう畑はこの時期をうまく乗り切りました。7月は最高気温が40°Cを下回るレベルという暑さが長く続き、昼夜の気温差が激しい時期もありました。数日のうちに気温差が27度になったこともありました。

7月末に雨が降ったことで、当初は水不足が解消され、ぶどうの成熟が早まりましたが、最終的にはカビが発生し、腐敗の恐れも出てきました。その結果、フランケンVDP(ドイツ高品質ワイン醸造家協会)によれば、「エステート・ワインと単一畑のワインが実質的に同時に熟したため、多くの場所で過去最速の収穫」となりました。フランケンのいくつかの場所では、主要な収穫が完了するのにわずか14日しかかかりませんでした。

収穫期間中の夏のような天候のおかげで、ワイン生産者たちは健康で熟したぶどうを収穫することができました。これが2023年ヴィンテージのエレガントで、品種特性が現れたワインにとって最高の条件を作り出したと、ワイン生産者協会会長のアルトゥール・シュタインマンは報告しています。2023年は風味とエレガンスに満ちたフランケンワインの年になるでしょう。1ヘクタール当たり78ヘクトリットルと推定される収穫量は、長期平均をわずかに上回ります。フランケンでは合計約46万8000ヘクトリットルの収穫が見込まれています。

ヘッシッシェ・ベルクシュトラーセ(462ヘクタール):湿った夏、黄金色の秋

ヘッシッシェ・ベルクシュトラーセの2023年のワインは、気まぐれな天候に見舞われた難しい年でした。「暑い夏が様々な期待を生んだが、実現されなかった」と、自身もワイン生産者である、ヘッシッシェ・ベルクシュトラーセ・ワイン生産者協会のシャルロット・フライベルガーは言います。7月中旬まではすべてが順調に見えました。その後待望の雨が降りましたが、その雨は良いものをもたらしました。ドイツ最小のワイン生産地では、シーズンはとても良いスタートを切りました。

ヘッシッシェ・ベルクシュトラーセは嵐や雹の被害を免れ、5月から6月にかけての長い夏の期間は、ぶどうの成熟とともに素晴らしいヴィンテージへの期待を高めていました。しかし事態は変わり、「7月以降の大雨はぶどうを水で満たし、一部の果実は破裂しました。夏の間、カビも大きな問題でした」とフライベルガーは説明します。結局のところ、これが損失と多くの余分な仕事が増える原因となりました。

秋には、非常に慎重なぶどうの収穫が要求され、すべての畑で事前の選別が行われました。あるいは完全に手摘みしなければなりませんでした。作業量は並外れて多かった。厳しい選果のため、ヘッシッシェ・ベルクシュトラーセのいくつかの畑では、収穫量が3分の1から半分に減りました。降雨量が多かったため、マストの重さも期待したほどにはなりませんでした。「今年もまた地に落ちた」とワイン生産者は言います。

とはいえ、ベルクシュトラーセのワイン生産者たちは、品質と収穫量に満足しています。何を差し置いても、2023年は素晴らしいヴィンテージになるでしょう。アルコールが低めのやや軽いワインが期待されています。「ワインは素晴らしく、フレッシュで、良い果実味を確実に発展させるであろう」とフライベルガーは言います。推定収穫量32,000ヘクトリットルは昨年と同レベルで、長期平均をわずかに上回ります。

ミッテルライン(466ヘクタール):暑さ、手作業による収穫、高いマストの重量

「朝から晩までTシャツで働くような秋は滅多に経験したことがない」とミッテルライン・ワイン産地のハインツ=ウーヴェ・フェッツ会長は言います。急斜面のぶどう畑を持つ小さなワイン生産地は、他の産地が経験したことのないような天候の乱高下を経験しました。暑さ、入念な手作業による収穫、最高のマスト重量-2023年のワインは、ライン渓谷中流部のワイン生産者にこれらすべてをもたらしました・シーズンの始まりはかなり平凡で、9月初旬まで、すべては非常に順調に見えました。春に唯一懸念されたのは、一部のぶどう畑でウドンコ病をもたらすもととなった、早朝の長い露の時期でした。

7月と8月、ライン川中流域は大雨から免れられませんでした。降雨は果皮が柔らかく、エクスレの値が高い発育の段階に訪れました。その結果、一部の果実は破裂し、迅速な対応と広範な選別が必要となりました。しかし、9月と10月の最高気温が30度まで上がったため、ぶどうは非常に熟し、甘くなりました。「暑さのため、ぶどうはワイナリーに非常に暖かい状態で到着しました。このため、セラーで冷却設備を昼夜にわたり動かさなければなりませんでした」と、フェッツは話します。技術的に設備の整ったワイナリーは間違いなく有利だった。暖かい秋はぶどうの収穫も非常に早めました。ライン川中流域では9月12日に収穫が始まり、わずか4週間後にはリースリングの収穫まで完了しました。生産者の中には、これを、ターボのように出力を上げた収穫と呼ぶ人もいます。とはいえ、予想収量は上々です。推定総収穫量29,000ヘク

トリットルのマストで、2023年ヴィンテージは量的に例年の平均をわずかに上回ります。「近年はピノが恩恵を受けることが多かったのですが、今年はリースリングです」とワイン生産者会長は総括します。今年は9月の暑さでエクスレのレベルが記録的な高さまで上昇したため、特に白ワインの王様であるリースリングから、多くのベーレンアウスレーゼや高貴な甘口ワインが造られました。対照的に、オウトウショウジョウバエ(Drosophilasuzukii)の多発に見舞われたライン川中流域の赤ワインは少なくなるでしょう-とはいえ、ミッテルライン地方の栽培面積に占める赤品種の割合は16%に過ぎません。

モーゼル(8,575ヘクタール):リースリングが強みを発揮

チャンピオンは、出力を上げた収穫をしたリースリン-これがモーゼルの簡潔な収穫の概要です。「2023年はモーゼルの年だった」とモーゼルヴァインe.V.会長のヘニング・ザイベルトは言います。これは、リースリングが極端な気候にうまく対応したことを示しています。

今年も収量と品質の幅は非常に広く、場所、水の供給、ぶどう品種によって結果は大きく異なります。ヴィンニンゲンでは、2023年初頭の冬の数か月でさえ、長期平均よりもかなり暖かく、1月の平均気温は5.6度で、4月25日には発芽がみられました。5月と6月は乾燥した暖かい天候が続き、ぶどうの木の生長を促進しました。開花は6月8日頃で、2022年より若干遅かったのですが、それでも長期平均よりかなり早くなりました。

6月の乾燥した暑さは、特に若いぶどうの木に干ばつストレスをもたらし、7月には天候が変わる前に日焼けの問題も発生しました。7月末からはモーゼルにも大雨が降り、突然ぶどうを水分で満たしました。この後、9月の夜は非常に暖かくなり、ほとんど冷え込むことはありませんでした。

その結果、ぶどうは非常に早く熟すことがありました。「いつもは、1日に1度、エクスレ度が上昇します。しかし今は、1日に3度から4度エクスレ度が上昇する日が何日もありました。このようなことはこれまでになかった」とザイベルトは強調します。ぶどうの50%以上が収穫期の後半に収穫されました。「リースリングは確かに果実味が特徴だが、酸味と甘味の比率も理想的です」とザイベルトは熱く語ります。リースリングの場合、貴腐の発生は最高品質の貴腐ワインを造る機会にもなりました。

この甘口ワインこそ、リースリングが今年、その品種の強みをはっきりと示した分野であります。対照的に、ピノや赤の品種にとっては、選果がより必要で、簡単なヴィンテージではありませんでした。この徹底的な選果のため、モーゼルでの収穫量も当初の予想より少なかった。同協会は、平均をやや下回る71万ヘクトリットルのマストを見込んでおり、そのうち65万ヘクトリットルが白品種によるものです。

ナーエ(4,240ヘクタール):効率を上げた秋と傑出した品質

激動の1年を終えて、ナーエでは「やった甲斐がありました」と安堵の表情を浮かべています。「早く、疲労困憊させられた年」と、ナーエ・ワイン生産者協会のハラルド・シュペルリングは言います。しかし、すべての始まりはとても順調でした。雨の多い冬に続き、春はかなり冷え込み、必要な雨が降りました。その結果、生長は通常より少し遅れて始まりましたが、ぶどうの木の開花には暖かく乾燥した天候が訪れました。この結果、6月は結実もうまくいき、その後も早い果実の生長が続きました。開花とぶどうの発育が順調だったため、関係者全員が平均以上の収穫量を期待していた。8月初旬までぶどう畑の状況はとても良かったのですが、その後雨が降り、地域によって差があるものの、一部の地域で

大量の雨が降りました。すべてのぶどうが豊富な水にうまく対処できたわけではないので、ぶどうのその後の生長も様々でした。ドルンフェルダー、ミュラー・トゥルガウ、シルヴァーナーのぶどうが失敗したところもあれば、平均以上の収量を記録した畑もあった。ナーエのワイン生産者たちにとって、この秋は選果の高い必要性と多くの手作業をもたらしたが、一方で素晴らしい品質ももたらしました。「特にリースリングは、最終的にちょうどよかった」とシュペルリングは言います。

これは晩熟品種の収穫に際して天候が落ち着いたためで、暖かく乾燥した日中は、夜間の気温の低下によって相殺されました。夜間の気温が低かったおかげで、ラインヘッセンでよく行われる「夜間収穫」は、ナーエでは一般的に必要ありませんでした。早朝に収穫を開始したぶどう栽培者はわずかでした。ナーエのワイン生産者たちは、労働集約、特に短期間での労働集約が必要だったという点で、激動の1年を振り返ることができます。

いくつかの地域では、収穫は歴史上最も早い秋の作業のひとつでした。しかし、その価値はありました。「素晴らしい品質で、まずまずの収穫量を得ることができました」と、シュペルリングは嬉しそうに話します。約345,000ヘクトリットルというナーエの収穫量は、2022年よりも約6%高く、長期平均よりも約8%高いと推定されています。

ファルツ(23,698ヘクタール):入念なぶどうの収穫は報われる

ファルツでは、天候不順がワイン生産者に大きな試練を与えました。しかし、シーズンを通してしっかりと準備作業を行った人々は、秋に健康で熟したぶどうを収穫し、高品質のワインを約束しました。振り返ってみると、ファルツ州にとってこの年はかなり恵まれた形で始まりました。暖冬のおかげで霜の被害はなく、近隣のラインヘッセンとは対照的に雹の被害もありませんでした。

6月8日に始まったリースリングにとって最適な開花期の後、6月は当初、日照に恵まれ乾燥した、ぶどうにとって最適な状況が続きました。7月下旬、大量の雨を伴う、暖かく、湿度の高い時期が始まりました。その結果、特にピノ品種は非常にコンパクトなぶどうとなりました。「極端な干ばつに見舞われることなく、十分に長い生育期間のおかげで、際立った果実味のヴィンテージが期待できます」というのが、ファルツから聞こえた意見です。ここでも勝者はリースリングで、ワイン生産者はこの晩熟品種に最高品質を期待しています。

他方、ピノ品種は微妙な状況です。ドルンフェルダーとポルトゥギーザーも、オウトウショウジョウバエ(Drosophilasuzukii)による過剰な損失と、ベト病の多発のリスクのため、早めの収穫を余儀なくされました。ノイシュタットにあるDLRラインプファルツのぶどう栽培・醸造研究所のユルゲン・オーバーホーファーによれば、多くのぶどう品種がほぼ同時に成熟したため、「ワイナリーはロジスティクス上のさまざまな課題に直面しました」と言います。それに加えて、9月は気温が高くなることもあり、これらはすべて、ぶどうの収穫と処理に際しての個人の高いレベルの献身と極めて正確な作業によってのみ克服できるものでした。

2023年のファルツの収穫量は平均並みになるでしょう。収穫量は225万ヘクトリットルと推定され、前年より2%ほど少ないですが、長期的な平均収穫量にほぼ一致します。「スピードの速い秋」というのが、記憶に残るでしょう。というのも、収穫開始の約4週間後には、ぶどうの収穫が終わっていたからです。この集中的な収穫は、多くの場所で非常に良い品質をもたらしました。

ラインガウ(3,200ヘクタール):リースリングの年「リースリングが今年の勝者であることは明らかです」と、ラインガウ生産者協会の会長ペーター・セイファルトは話します。特にピノ品種は7月と8月の大雨に苦しみました。健全なぶどうを収穫するために、ワイン生産者たちは非常に厳しく選別しなければならなりませんでした。

7月と8月に200リットルを超える雨が降りましたが、これは良い効果ももたらしました。ライン川沿いの急斜面は、特に十分な水分供給の恩恵を受けました。「リューデスハイムとロルヒの畑は特に特別なヴィンテージを収穫しました」とセイファルトは喜んでいます。また、リースリングが支配的なラインガウの全域で、特に標高の高い畑では、ぶどうは最後まで非常に健全で、素晴らしい品質のぶどうを、時には少量ながら収穫することができました。ラインガウの総収穫量は228,000ヘクトリットルと推定され、これは長期平均と比べて6%の増加に相当します。収穫はラインガウのワイン生産者にとって、手作業の多い集中的な時期でした。

「私たちは素早く収穫し、特にピノ品種については、事前の選別を多く行わなければなりませんでした。仲間の一人は、人生の中で最も疲労困憊した秋だとまで言っていた」と、セイファルトは話す。多くの場所で、ぶどうの収穫は10月中旬にはすでに終わっており、これはかつてないほど早いです。全体的に、シーズンはラインガウでかなり穏やかに始まりました。植物保護の面でも状況は容易で、ぶどうの収穫時に、大規模な冷却技術が必要なだけでした。これは9月に暑い日が続き、マストが非常に高い温度で処理場に到着したためです。

ワイナリーは通常、早朝か夜間に収穫を開始しました。若いワインはすでにアロマティックでフルーティであり、熟度と酸度の比率が非常に良いため、調和の取れた酸味があります。黄金色に染まった秋で最終的に夜が涼しかったおかげで、ラインガウでは今年、非常に素晴らしい高貴な甘口ワインも生まれました。「明らかにリースリングの年でした」とワイン生産者会長は言います。

ラインヘッセン(27,312ヘクタール):熟練の技が品質を保証

出力を上げた秋、そしてぶどう収穫時の最高気温30度-ドイツ最大のワイン生産地ラインヘッセンのワイン生産者たちは、今年も本当に汗を流しました。多くのワイン生産者は9月末に”収穫感謝祭”を祝いましたが、一部のワイナリーでは10月の最初の数日間に最後のロットが収穫されました。

出力を上げた秋という理由は、9月の昼と夜の気温が非常に暖かかったことにもあります。この地方のワインのプロモーション組織であるラインヘッセンヴァインe.V.の会長でワイン生産者のステファン・ブラウネヴェルは、「午後に30度を超える気温では、ぶどうを収穫することはできません」と語ります。そのため収穫は、ぶどうがまだフレッシュで涼しい早朝に行われることが多くありました。

「残念なことに、夜明け前に多くの人の眠りを妨げなければなりませんでした」と、ブラウネウェルは同僚に謝ります。「町の人たちはとても理解してくれました」。ラインヘッセンでも、シーズンは非常に落ち着いたスタートを切りました。開花に最適な乾燥した晴天の初夏の後、7月と8月に降った雨は、当初は土壌への良好な水分供給を確保しました。果実のサイズも大きくなりましたが、これは9月の気温の高さによって相殺されました、とラインヘッセンワイン生産者協会会長のイェンス・ゲーリングは報告しています。

しかし、豊富な降雨量と夏の異常な気温が重なり、秋には迅速な対応が必要となりました。ヴォンネガウ地方では雹が降り、気まぐれな天候による腐敗の危険性が高まり、特に多くのぶどう品種がすでに同時に収穫できる状態にあったため、収穫は非常に早まりました。

「しかし、我々のワイン生産者たちは、専門的な技術設備と熟練した専門知識によって、秋の試練に見事に対応しました」とゲーリングは強調。9月の優れた冷却技術は、最適な風味を得るために発酵の経過をコントロールできるようにするため、品質管理にとって極めて重要でした。「バランスの取れたマスト重量と安定した酸を持つ良質のヴィンテージ」だと、要約には書かれています。収穫量はサブ・リージョンとワイナリーによって大きく異なる。「厳しい選果のため、収穫量が大幅に減少したものもあり、最大で50%減少したものもある」とゲーリングは言います。この産地の総収量は、長期平均の約250万ヘクトリットルをわずかに下回ると推定されています。

ザーレ・ウンストルート(847ヘクタール):力強い赤ワイン、品種の特性があられた白ワイン「我々はこのヴィンテージに非常に満足している」と、ザーレ・ウンストルートのワイン生産者協会会長、ハンス・アルブレヒト・ツィーガーは言う。南西部の生産地とは対照的に、ザクセン=アンハルトとチューリンゲンは例外的な恩恵を受けました。「8月の降雨量は控えめだった」とツィーガーは言う。

この後、長く暑い夏が続き、9月には乾燥した晩夏となった。これにより、マスト重量は平均を上回りました。ザーレ・ウンストルートのワイン生産者たちも、気まぐれな天候から逃れられませんでした。穏やかで過度に乾燥した冬に続き、3月には雨が降り続いた。ワイン生産者協会によれば、これは、生長の始まりには重要なことだという。春は例年に比べてかなり涼しく、湿気が多かったため、発芽は5月上旬まで始まらず、より長い期間に及びました。6月に入り、ようやく日照と暖かい気温がもたらされ、多少遅れたがぶどうの木の開花には理想的でした。しかしその後、高温多湿の天候が続き、うどんこ病による感染リスクが高くなりました。夏、ザーレ川とウンストルート川はあまりにも乾燥していました。

「栽培地域は6週間以上ほとんど雨が降らなかった」とツィーガーは言います。その後、7月になって長雨が続き、ぶどう畑は爆発的に生長し、生産者に安堵をもたらした。腐敗も散見されたが、他の地域ほどではなかった。特にミュラー・トゥルガウ、バッフス、ポルトゥギーザーは早く収穫しなければなりませんでした。しかし8月には、生産者は安堵のため息をつくことができました。雨雲が去り、暖かく乾燥した晩夏が続いたため、収穫は9月11日に始まった。

収穫報告書によれば、「一貫して晴天が続いたため、ぶどうの糖分の蓄積は良好で、果実の酸の減少は遅かった」。高温で乾燥した天候は、再び成熟に大きな勢いをもたらし、マスト重量は平均を上回りました。ジーガーは、約5万ヘクトリットルの収穫量は前年を約6%下回ると予測しています。この減少は初夏の干ばつによるものです。ジーガーは、白ワインの分野では力強く、品種特性のあられたワインを、赤ワインの分野では、特にピノとブラウアー・ツヴァイゲルトで、フルボディで深い色のワインを期待しています。

ザクセン(507ヘクタール):エキサイティングな秋の後の最高の品質

ザクセンのワイン生産地では、秋は大満足のものとなりました。「9月の第二週から、天候のスイッチが入ったようだった。乾燥して暖かい、安定した天候が10月まで続いた」と、ザクセン・ワイン生産者協会会長のフェリックス・ヘーセルバルトは言います。「これが、流れを一変するものであった」。ザクセンのワイン生産者たちは、かつて経験したことのないような天候の乱高下を経験しました。

「5月と6月には乾燥しすぎた時期があり、その後、雨の時期が長く続いた」とヘーセルバルトは報告。8月には、9月の第1週まで1平方メートルあたり100リットル以上の雨が降りました。しかし、果実の破裂やうどんこ病による問題は十分に抑えられました。ミュラー・トゥルガウや一部のピノ・ブランなど、果房が緩い品種は天候の恩恵を受けたが、ピノ・グリやリースリングのようなコンパクトな品種は問題を抱える傾向にありました。

しかし、9月の第2週に入ると天候は急変し、10月に入っても、夜になっても異常な暑さが続きました。私たちは急がなければなりませんでした。「連日暖かく、晴天が続いたため、収穫は比較的早く終わり、マストの重さもあっという間に増えました」とワイン生産者会長は言います。

すべての収穫は5~6週間の間に行われた。夜間も20°C前後と暖かかったため、一部のぶどうは25~30°Cで搬入されました。夜間や早朝に機械収穫できる生産者は有利でした。手作業でしか収穫できないような、労働集約的な急斜面を持つ生産者は苦戦を強いられました。しかし、ワインの品質は卓越しています。「よく熟し、量も多く、風味も良い。昨年より10%多い量を見込んでいる。ザクセンの生産量は28,500ヘクトリットルになるだろう」と、ヘーセルバルトは満足げに話します。

ヴュルテンベルク(11,407ヘクタール):効率を上げた収穫の後のグラスの中の品質ヴュルテンベルクのワイン生産者もまた、2023年のシーズンに素早く対応しなければならなかった。「収穫は大忙しで、集中的に行われた」と、ヴュルテンベルク・ワイン生産者協会のヘルマン・モラスト専務理事は言います。「良いシーズンだったが、その後雨が降り、多くのことが狂ってしまった」。

ヴュルテンベルクの主な収穫は3週間しか続かなかったが、出力をあげた努力の終わりには、満足げな表情が見られた。暖かく日照に恵まれた晩夏が、グラスに偉大な品質をもたらしました。バーデン・ヴュルテンベルク州協同組合連合会のロマン・グレーザー会長は、2023年のヴュルテンベルク州の栽培も例外的で困難な年だったと報告。暑く乾燥した夏は、過去120年以上で5本の指に入る暖かさでした。

ぶどうの木は春の発芽が長期平均よりやや遅かったが、その後、最適な生育天候に恵まれ、急速に生長し続けました。開花期間中、乾燥と温暖が続いたため、ほとんどの畑で開花は数日で完了し、結実も最適でした。しかし初夏は非常に乾燥していたため、特に若いぶどう畑や乾燥した土地では灌漑が必要でした。ヴュルテンベルクのワイン生産者は、晩夏の大雨を免れられませんでした。ぶどうは破裂し、ベト病のリスクもあったため、彼らは迅速に対応しなければなりませんでした。モラストは、「出力を上げた収穫」と語り、ヴュルテンベルクの主要品種であるリースリングがその勝者となりました。

ワインメーカーたちは、フルーティでアロマティック、アルコール度数も控えめで、消費者が期待できる上質のリースリングができたと報告しています。シュヴァーベン地方の伝統的なぶどう品種であるトロリンガーは、今年は苦戦を強いられました。オウトウショウジョウバエ(Drosophilasuzukii)が大きな被害をもたらし、収量減につながりました。930,000ヘクトリットルと推定されるこの産地の収穫量は、前年を6%下回り、当初の予想を大きく下回りました。

 

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