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ボルドーの持続可能なワイン造り

カテゴリー: イベント | 公開日: 2019/11/18

ボルドーはフランス最大のAOCワイン生産地で世界のブドウ畑の1.7%を占めています。年間約6億7500万本を生産し、65のAOC(原産地統制名称)があります。昔はボルドーと言えば白だったらしいのですが、現在は赤ワインのイメージの強い地域ですね。作付面積は赤は88%、白は12%という比率になっています。

さて、近年は国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)が様々なところで話題になっています。ボルドーもこの取り組みを進めており、現在のワイン畑も数年前とは大きく変わってきています。

AOCの取得規定に環境を配慮した施策を組み込み将来的には100%が環境配慮型のアプローチを採用しようとしています。

コウモリによる自然の害虫対策
ブドウの栽培に対して害虫対策は大変重要です。コウモリがブドウの樹に害を与えるハマキガを餌とすることが確認されたことから、農薬の代わりにコウモリの数を増やし対策するようにしました。

生物多様性のアプローチ
ブドウが安定して育つためには雑草や害虫が無い方が良いと考えられていたので、以前のブドウ畑にはブドウの樹以外に生えているものはありませんでした。しかし、現在ではブドウの樹の周りには下草が生え、以前とは全く見た目が変わりました。

草刈りも虫のすみかが確保できるように穏やかに行うようにされ、単一栽培を避けるために様々な取組が行われるようになりました。

地域土着の複数の品種からなる生け垣を2018年には26キロメートルも植えました。これにより、多様な環境を維持、良好なミクロクリマ(夏は涼しく、冬には霜を撃退)を創出することになりました。

気候変動
世界的な傾向ですが、気候が大きく変動しています。フランスでも気温が上昇傾向にあり、ボルドーでは冬と春の降雨量が減少するなど作物にも影響が出ています。

温暖化により30年前に比べ3週間も収穫が早くなりました。アルコール度数の上昇、ワインの酸味の減少、アロマの変化が上げられます。
対策は、剪定日を先の伸ばしたり、日光から守るためにブドウの樹を高く育て、葉の広がるエリアを小さくし摘葉を制限しています。また白やロゼのブドウは夜明けに収穫することで、ブドウを冷涼な状態に置きアロマを保つことが出来るそうです。発酵力の弱い酵母を使用することでアルコール度数の上昇を抑えることが出来ます。

研究開発
ボルドー大学が中心となってワイン醸造の研究が積極的に行われています。しかし、AOCなどの品質保証ラベルでは特定の品種を使っていることやそれ以外のものが含まれていないことが重要な認定基準になっています。

ボルドーでは気候変動に適応した新たな品種をAOC規定に導入することになりました。ボルドーならメルローのようなイメージがありますが、これに外来品種などが導入されることになります。政府と協議が続けられ11月現在の時点では採用される見込みだとのことです。新たな品種は7品種で、赤はアリナルノア、カステ、マルセラン、トウリガ・マンサン、白はアルヴァリーニョ、リリオリア、プティ・マンサンです。

これらの品種はどのように選ばれたのでしょうか?他のワイン生産地で代表的新種とされていないもの。補助品種の作付面積は5%まで、混ぜる割合は10%と規定されています。2020年から2021年に書けて第1回目の植え付けが行われる予定です。

写真:ボルドーワイン委員会 提供

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