フランスのサルコジ大統領はダライ・ラマ14世とついに会談を行った。経
済発展進む中国との関係強化を望む関係でオリンピック前から、前向きのよ
うで後ろ向きだっだダライ・ラマとの会談だったが、金融危機後になってか
らの会談となった。
もちろんフランスは中国の人権問題は重要視しており、国民の関心の高さは
オリンピック直前の報道からも知ることが出来る。大きく取り上げられるの
はチベット人への虐殺だが、少数民族への強制的な不妊手術を行ったりして
いるとの噂も聞く。
しかし、サルコジ大統領は今回の経済危機を契機にリーダーシップを発揮し
ようといち早く発言や政府の対策を打つことを呼びかけていた。今マイナス
に動きかねないダライ・ラマとの会談を行うことになったのはなぜだろう。
今回の会談に関して、案の定中国はサルコジ大統領とダライ・ラマとの会談
に神経質になっており、中国外務省はフランスとの関係悪化を警告したり、
中国でのフランス製品の不買運動が起きている。また、フランスが欧州連合
(EU)議長国であることからか、フランスで行われる予定のEU中国の首
脳会議の延期通告したりしている。
中国でフランス製品を不買運動するよりもヨーロッパが中国製品ボイコット
する方が遙かに中国に対して影響があると思うが、その中国製品はそれぞれ
の国の企業が中国企業を下請けにして製造しているものが大半であり、実質
国内もしくは欧州の企業自体に影響が起きかねないので、1990年代にアメ
リカで起きた日本製品不買運動とは訳が違うのである。
しかしサルコジ大統領もそれなりの計算が働いているようだ。中国との関係
悪化は承知の上で、この会談に臨むのは中国も欧州やフランスを必要として
おり、今の経済危機の中、経済的な面での影響は少ないだろう。
また、北京オリンピックの開会式ボイコットを提唱し始めたのは、サルコジ
大統領だったにもかかわらず、中国の「面子」をたて出席、さらに訪仏した
ダライ・ラマには会わずに婦人を身代わりのように面会させたりしたこと
が、中国の圧力に負けたと激しい批判を浴びた。
今回の会談は、この批判への対処という面もあり、強いリーダーシップをと
りたいサルコジ大統領の作戦ともいえるだろう。