次世代原子炉はコンコルド(超音速旅客機)となってしまうのか?

次世代原子炉が元凶

フランス原子力最大手のアレバが経営難に陥っています。
全世界の従業員の10%に当たる3000〜4000人をフランス国内で人員削減を検討しています。主にフランス国内の従業員を対象としておりますが、国内の施設の閉鎖は行われない予定です。また労使間の対立を避けるために希望退職者を募り、リストラを行わないとのことです。

昨年48億ユーロの純損失を計上しましたが、次世代原子炉EPRの度重なる工期の遅れでコストがかさんでいることが主な原因となっているようです。EPRは欧州型加圧水型炉で、特にミサイルに攻撃されても安全といわれるほどの防護壁などを設置するなど安全対策が盛り込まれている。

[参考]フランスの原子力企業アレバCEO交代

フランスの原子力産業は弱体化してしまったのか?

損失が続き負債が膨らんでいるアレバですが、最新の技術とノウハウはやはり強みであり、フランスが進めてきた原子力発電政策にも影響します。このことについて、既に完全退役した超音速旅客機のコンコルドを例にとっています。イギリスとフランスで共同開発された旅客機で、その名もコンコルド=調和です。ほぼ唯一の超音速旅客機でしたが、コストがとても高く、9.11のアメリカ同時多発テロによる航空需要低下で収益が見込まれなくなり、2003年に運行を終了しました。

つまりどんなに素晴らしい物でも、コストが見合わなければ運用が継続できなくなるというのです。

しかし、原子力発電自体は世界中で需要があります。
特に中国では100機以上の原子力発電所を建設する予定があります。日本ともさらなる次世代原子炉についての技術協力なども行われています。また、日本と争ったITER(国際熱核融合実験炉)の誘致も成功しており世界中の原子力研究者が集まっています。

[参考]ITER計画 – ドミニック・ド・ヴィルパン首相の演説-抜粋-

アレバの今後

では、アレバは今後どのような道を進むのでしょうか?
3つの可能性があるといわれています。
1つは、フランス電力(eDF)がフランス原発建設事業の買い取りを検討しています。今月中には結論が出る予定です。
もう一つは、最大の市場である中国が何らかの形でアレバの救済に名乗りを上げる可能性があります。
最後は、税金を投入し、再増資もしくは負債の一部を肩代わりすることで解決するというものです。

いずれにしろ、アレバは解体される見通しが高く、現在のまま存続は出来ないだろうとされています。

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