インターネット後のジャーナリスム
ジャーナリスムは、デジタルによって変化してきている。ル・モンド、リベラシオン、TF1、Canal + ラジオ・フランス、インターネット版を 公開していなければマスメディアとは言えない。リールのジャーナリスム高等学校によれば、1999年の末にはフランスのメディア の60%が、ホームページを持っている。出版社の経営者は、業界の将来はインターネット上の活動にかかっていることを認め ざるを得ない。
当然、予算が増大し、インターネットに詳しい新しいジャーナリストが、編集に受け 入れられている。 TF1のニュースサイトでは、20人ほどの編集者がいる。このル・モンド・アンテラ クティフに匹敵する数字だ。しかし、インターネット版の編集に100人ものジャーナリストが関わっている、 ニューヨーク・タイムズのようなところとはほど遠い。インターネットに力を入れる傾向は、さらに広がりつつある。
「インターネットは、若いジャーナリストに活動の場を与える」と、ジャーナリスト 養成センター・マルチメディア部担当者は言う。「われわれは、新しい冒険、情報処理に関する膨大な分野を開く新しいメディアに直 面している。」 ジャーナリスト専門学校は、間違ってはいなかった。 いまでは、ハイパーテキストの書き方から、ウエブの概念、デジタルカメラの扱い方まで教えて、サイバー・ジャーナリストの養成にあたっている。 しかしCFJのパリ校では、インターネットによる授業を開設したが、受講者はあまりいない。 54人の学生のうちわずか7人がこの方法を選んでいる。 ESJの60人の新米ジャーナリストの内で、はじめての職場としてオンライン出版社を選んだのは、2人にすぎない。
「養成のレベルから言って、うちの生徒はまだインターネットのメディアに惹かれて いない。むしろ編集者の秘書、文書管理のほうに関心がある。」と、ESJの校長は言う。1999年、出版社のサイトの情報で、ウエブ用にだけつくられた情報は、25%に すぎなかった。「マスメディアは、単に内容をインターネットに載せているだけ」と、ル・プチ・ ブーケの女性編集者はちょっと苛立ち気味。ル・プチ・ブーケは、1997年2月からの電子日刊紙だ。
編集者は、「情報的」というより「伝達的」なインターネット上のサイトに一時的状 態でコンテンツを補給する。プロのサイバー・ジャーナリストの資格を得るのはすごく困難なことだ。1999年、300人のウエブ・ジャーナリストが職を求めたが、採用されたのは半 数にすぎない。インターネットで仕事をするジャーナリストは、まず自分の力量を証明するものがな くてはならない。今のところサイバー・ジャーナリストは、全体の0.5%にとどまっている。
従来の出版からすると、電子出版はいまだに副産物とみなされている。オン・ライン に書くにしても、ジャーナリストは「ペン」をひきずっているのだ。しかし、仕事として毎日インターネットを利用するのは当然になっている。 ESJによれば、昨年インターネットを毎日利用するジャーナリストは、42%だった が、いまでは仕事の中心といっても過言ではないだろう。「インターネットを介したメディアがジャーナリスムや「著作」を再発見したのでは ないが、インターネットは、ジャーナリスムという仕事を書き換える、多大な原動力となって いる。」
Le Monde 6月21日