フランスの誇る数学

フランスというとファッション、ワイン、グルメなど華やかな文化大国というイメージが強く、フランス人は数学が得意と聞いてもあまりピンと来る人はいないかもしれない。しかし、実のところフランスの数学は世界でもトップクラスを誇る。

40歳以下の研究者を対象とする権威ある数学賞であるフィールズ賞の受賞者数はアメリカに次いで世界の2位であり、数学のノーベル賞といわれるアーベル賞は2003年、最初の受賞者としてフランス人数学者のジャン=ピエール・セールに授与されている。

また、2008年に開催された第5回ヨーロッパ数学会議ではフランスの数学の優秀さが称えられている。具体的にはパリ高等師範学校のロール・サン=レイモン教授が、赤道地帯の複雑な気候現象の理解に数学を応用した業績に対して褒賞を受けているほか、パリ=ディドロ大学のジョスラン・ガルニエ教授は、数学を地震学に応用してカリフォルニアの地質図を作図した業績が認められ、同じく褒賞を受けた。

フランスには数学者を育成する世界最大の環境が用意されている。パリ数理科学財団(FSMP)と言って正会員500人を含む科学者1000人が加入し、パリに9つの研究所をもつ。純粋数学や応用数学、基礎情報科学に関心をもつ数学者が育成されている。

FSMPは2007年9月、パリの国および世界レベルの数学研究所を助成すべく創設され、国立科学研究センター(CNRS)、高等師範学校、ピエール・エ・マリー・キュリー大学、パリ=ディドロ大学、パリ=ドフィーヌ大学、コレージュ・ド・フランス、国立情報科学・制御工学研究所を結ぶネットワークを形成している。

FSMPは、数学への関心を養うことも使命の一つに掲げている。外国人学生を対象に修士・博士奨学金プログラム「パリ数理科学大学院」の創設を計画しており、2010年には修士課程の学生20人を受け入れることを目標にしている。

さらにFSMPは国際的な活動として、世界的に著名な研究者を対象に正教授ポストを創設したり、世界的な数学者が2,3ヶ月パリに滞在できるようにする招聘精度を設けている。

計画されるプログラムには多額の費用を要することもあり、大企業との共同計画も実施し、民間資金の調達にも余念がない。

このようにかなりの力の入れ込みようだが、確かな実績が出ている。ジャック=ルイ・リオン研究所のピエール=アルノー・ラヴィアールCNRS主任研究員は2009年、ヨーロッパ科学アカデミーから権威あるブレーズ・パスカル賞を受賞した。数理モデル化ならびに物理学的・力学的問題のデジタル近似の分野における最も重要な貢献が認められたものだ。

FSMP専務理事を務めるピエール・エ・マリー・キュリー大学のジャン=イヴ・シュマン教授は「フランスの数学は極めて高いレベルにあります。私たちはこの高水準を大学で守っている」と認めている。

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