無人化するレジ
最近の不況の話でもっとも先に挙がるのは人員削減の話題だ。人を使うサービス業では大きなコスト削減になるかもしれないが、その代わりに1人の負担が増えるか、問題が増えることがあるかもしれない。
そんな中でスーパーのレジを自動化させる動きがおきている。フランスではスーパーのレジの自動化が進んでおり、大手カルフールも自動レジ付き店舗をオープンさせている。
自動レジといっても、いわば無人レジのこと。セルフサービスといっても良いだろう。消費者が自ら商品をスキャニングし、代金を精算するものだ。買い物用のカートを置く場所には重さを量る計測器がついている。
値段だけでなく重さもチェックされ、床にある計測器によって購入された商品だけがカートに入っているかどうかも点検される。購入外の商品を持ち出されないような仕組みとなっているわけだ。
あるスーパーでは50台あるレジのうち、40台ほどが自動レジ、10台が有人レジを設置しているが自動レジへの抵抗がなくなれば、有人レジの台数を減らせると見込んでいる。一台1万5000ユーロと高額ではあるが、レジ係の人件費が削減され、3年で利益が上げられるようになる計算だ。
この自動レジのおかげで、有人レジと比べて2倍の自動レジが設置でき、お客さんにとってはよりスピーディーにレジを終えることが出来る。
レジを担当する人は、今まで重い物を持ったりしなければならなかったが、やり方を説明したりするだけで良く仕事の負担は減って喜んでいる声も聞こえる。
スーパーにとってはレジ係の人件費削減というメリットがみられ、大規模スーパーに導入される自動レジは今年で3倍にも増える予定だ。
こうみるとメリットばかりが目立つが、デメリットとして挙がっているのはレジ係の雇用削減だ。従来のレジ係は案内係へと変身した。一人で数台の自動レジを担当し、機械化に戸惑う消費者をその場で手伝ったりするだけでよくなった。大型スーパーで働くレジ係15万人の雇用が脅かされると労組はみている。
日本でも同様にレジの自動化は研究されていて、商品にICタグ(RFID)が付けられ、レジを通過する際に一瞬で商品の合計金額が計算され、煩わしいバーコードのスキャンが無くなる。スーパー版ETCといった感じだ。
コンビニなど少人数で運営するために従業員削減と言うよりも、納品時の検品の省力化や従業員確保が難しくなってきている点が大きいようだ。
ICタグのコストがまだまだ高く、前出の自動レジは導入コストが高く一気に広がってはいないが、大型スーパーやホームセンターでも徐々に導入されてきている。