最近話題の事業仕分けでいよいよ官庁が持っていた利権にメスが入ると巷では評価が高い様だ。一方科学技術分野での削減には批判が相次ぎ、どうもこの事業仕分け、言うほど効果があるのか疑問が沸いてくる。

今話題のインフルエンザに有効な薬、タミフル。これも実はスーパーコンピューターでシュミレーションして作られた薬で、試行錯誤の末生まれた薬ではない。ほんの少し前までは世界一のスピードだった日本のスパコンは今や31位、アメリカはもちろん中国、韓国、インドより遅い。

喋りに長けている議員が、そうでもない役所の人間に突っ込んでいても、タジタジになってしまうのは、容易に想像付く。反論も許されないというテレビのシーンを見ると、単に無知だったら重要な事業もバッサリ切られてお仕舞いとはひどすぎる。お互い協調して何とかしていこうという気が全く感じられないし、むしろ対峙しているだけのようだ。自分が詳しくなければ他の人に委ねるのも政治家として妥当な判断だと思う。

こういう議論もフランス人だったらもっと違っただろう感じる。フランスでは高校卒業資格であるバカロレアでは有名な哲学の試験があることは以前からお伝えしてきたが、バカロレアを獲っていない人でもフランス人はなかなか理屈っぽい。もし彼らなら、こんな議論にはならなかったのではないかと感じてしまう。

民間でも利権だらけ

しかし日本は官公庁のみならず、利権だらけだ。有名な話ではVHSとベータのビデオの規格戦争が繰り広げられたが、最近ではblu-rayとHD DVDの次世代DVD戦争、身近な話では、Pasmo, Suicaなどの電車のプリペイドカードやEdy, Nanaco, Waonなどの電子マネーなど、同じFelicaという非接触型ICカードを使っているのに、全部ばらばらで使いにくい。

PasmoとSuicaが相互利用できるのは当然の結論だが、こんなの1種類で十分だし、関西圏や他の地域の相互利用など複雑でわかりにくい。Edyのような電子マネーなんかもっとひどく、相互利用も出来ないし、レジに行って初めて使えることが分かることも多い。主催している会社はベンチャー企業と言うより、大手企業の子会社なんだから、一つの会社にそれぞれが出資でもして共通化して欲しい。

とは言っても、各社が色々参入していると言うことは、余程おいしい市場なんだろうと思う。フランスでは数百円でもクレジットカードを使うので、こういった電子マネーの出番が無いのだろう。というか、Edyなどが目指す小銭いらずの電子マネーの使い方をクレジットカードで既に実現していると言える。

フランスでの非接触型ICカード

パリでは数年前からNavigoというSuica(icoca)のような非接触型のICカードが登場した。Navigoの場合、使った料金がカードから引き落とされる訳ではなく、欧米では一般的な、ゾーン毎に区切られたエリアが乗り放題の定期券で、1週間、1ヶ月、1年毎に買うことが出来る。以前のCarte orangeがICカード化したという感じだ。

パリでは、ほとんどの人がバックに入れたまま利用しているようだが、日本ではFelicaを採用したカードも増え、相互干渉して認識しないことも多い。そのせいか日本では大抵パスカードなどに入れて使っている。最近では運転免許証もICカード化されていて、これが一緒に入っているとエラーになる。便利になったようで不便になったような感じだ。

ちなみにSuicaなどはアンチコリジョン対応で複数枚入れておいても干渉しないそうだが、Edyは対応していないので、SuicaとEdyが一緒に入っているとエラーが起きるらしい。Edyはお店のポイントカードにも良く採用されているので、全くやっかいだ。

あくまでも国際規格へ

じゃあ、こういった非接触型ICカードの利用方法は日本独自のことかと言えば、そうではなくヨーロッパでも動きがある。但し、国際規格だ。実は日本でよく使われているFelicaは、非接触型ICカードの国際規格でTypeCとして提案したが採用されなかった。フランスのNavigoはCALYPSOというICカード交通乗車券の国際標準規格だ。これはISO/IEC 14443 TypeBという規格のICカードだ。同じ規格のものは日本ではIC運転免許証や住民基本台帳カードが採用している。(ちなみにTypeAはタバコ成人認証カードのtaspoが採用している)

電子マネーでは、先ほどの非接触型ICカードのType AとB、さらにFelicaとの互換性のあるNFC(Near Field Communication)という規格が作られ、ニースのようなフランスの一部の地域でNFC cityとして実験が行われている。

フランス政府は様々なNFC技術革新に助成金を出すことになった。その中には日本で言うおサイフケータイのようなものまである。これはGoogleが開発した携帯向けOSのAndroid搭載の携帯電話へNFCお財布メニューの開発やNFCが搭載された携帯電話でチケットやクーポンを管理する仕組みなどだ。既に日本では実用化されているような事だが、相互運用可能であったり標準化されたシステムであったりオープンなプラットフォームというところがポイントだ。

フランスという国は、国際的な主導権を取るという明確な国家ビジョンがあるためか、この分野でも積極的に振興し欧州のスタンダードを獲得する狙いがあるのかもしれない。

但し、以前のテレビの規格では、ドイツの開発したPALは西ヨーロッパに、フランスの開発したSECAMは主に旧共産圏で利用されたものの、フランスはFrench SECAMと言う形で独特になってしまった。今、日本の地デジの方式が全く同じようになってしまっているが、時代の変わり目、舵取りを間違わないようにしてもらいたい。

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