フランス大使館料理長セバスチャン・マルタン氏インタビュー

前回記事はこちら。

■プロジェクトの始まったきっかけを教えてください。

私たちLa French Touchの冒険は4年前から始まりました。
17年間日本におりますが、
大好きな日本の製品をセレクトしたブティックを
始めることを念頭に置いておりました。

プロジェクトを経済的に実現するために
ケータリング事業から開始することにしました。
主にオーダーメードの高級ケータリング事業やイベントでも
ライブクッキングです。

そんなことをしていたのですが、
コロナの影響でケータリングが停滞したため、
プロジェクトを開発する時間が出来ました。
実際に生産者に会いに行き、
今まで日の目を見ることがなかった地元の良い製品を選ぶことで、
生産者の皆様や町おこしの協力を考え始めました。

また日本各地の生産者を訪れる中で、
Carne de Voyage(旅の手帳)のよう形を取った小冊子を
製品に添えて販売する事を思いつきました。

■日本食や日本の食材の魅力を教えてください。

日本はブドウの栽培や乳製品などの技術に非常に門戸を開いていて、
様々な進化を遂げてきました。
当初は困難でしたが、時間をかけた努力と日本人の完璧さによって、
例えば北海道のチーズや山梨の白ワインまで様々な原石があると思います。

そういった物を発見することが分かちの喜びです。
実際に生産者に会う中で新しい技術、生産者の皆様の苦労など、
様々な感情を一緒に共有することが私の喜びでもあります。

■これまでどのぐらいの数の日本食材を試してこられたのですか?

正確には答えられないほどの膨大に試しています。
例を挙げますと、能登の塩、
山梨県のレーズンや限定生産のバルサミコ酢、
山梨の山で生産されている行者ニンニク、
壮大な蔵王の蜂蜜、宮城県のジャム、
私が作るデザートの中に試用している素晴らしい味噌など、
リストは膨大な数になりますが、
皆様と共有したいと思っています。

■最も感動した食材やお好きなものを教えてください。

素晴らしい製品は並外れた生産者によって生産されています。
例えば、牛を育てるために穀物を与える代わりに
ハーブや医師によって処方された漢方で
牛を育てる生産者がいらっしゃいます。
こうして漢方牛が生まれたわけです。

私はこうした生産者の並々ならぬ生産者の努力に賞賛を送りたいと思います。
この漢方牛を産みだしたのは木村さんという方なのですが、
その仕事ぶりは素晴らしいと思っています。

丘の中腹である牧草地で牛を飼育しています。
丘の中腹では自然に筋肉が鍛えられますので、
健康的な食事をさせることが出来ます。
漢方を与えることで牛たちも病気になることもなく、
薬を与える必要はありません。
こうして脂っぽくなくおいしいお肉が生まれるのです。

もう一つ感動した物は、山梨県で味わったうどんです。
ムストといわれる新鮮な圧縮したブドウから作られるジュースを
うどんの中に入れて作っている物です。ブドウの色をしたうどんです。
完璧な仕上がりのために、長い時間をかけて作られています。
ほんの少しのオリーブオイルとブドウの香りが立つ
完璧な仕上がりを研げていたことに感動を覚えました。

■日本の食材でフランスの調理法などを使ったら面白いと思える物はありますか?

グローバル化に伴い、パリのデリカテッセンでも納豆まで
最近では目にすることが多くなってきました。
私はフランスを離れ日本に来てから、
17年と長く経っていますが、新鮮な商品を除いては、
ほとんどの珍し日本食でもフランスで見つけることが出来るのです。

というのも日本ブームというのがあり、
フランス人は日本が好きという方が多くいます。
このブームが一時的な物ではなく、
長期的に続いているので、
多くのフランス人が日本へ旅行するようになりました。

多くのフランス人シェフが、日本の発酵とか備長炭で調理をしたり、
日本の技術を取り入れて調理をするようになりました。
活け締めといった漁師の技術なども
フランスで取り入れられるようになってきています。

■今回、日本各地の素晴らしい食材を届けるにあたって
選び方で気を付けていることはありますか?

高品質の製品の影には、必ずそれを生産し支える多くの人たちがいます。
私たちにとって最も重要なのが、人間関係です。
これが私たちの仕事の基礎であり、
様々な状況や規則や制約などを理解するために、
可能な限り直接生産者の皆様を訪問することを大切にしています。

パッケージに出来るだけプラスチックを使用しないという努力もしています。
どうしても使用しなければならない場合もあり、3%未満にしています。
こういった具合でサステナビリティーにも貢献しています。

■フランス人だからこそ、日本人と違う視点で食材が紹介できる、
と思う点はありますか?

私は革命家ではなく、料理人、味の職人です。
そういった視点で製品への愛情を皆様と分かち合いたいと思っています。
La Boxを購入して新しい製品を発見する方もいらっしゃると思います。
このような物を皆様と共有していくというのが私の使命だと思っています。

例えば梅干しを用いて、生クリームと混ぜて
クリームソースを作ったりしています。
これは魚料理と良く合いまして、スモークサーモンと合わせたりしています。
同じような方法でわさびを使うこともあります。

■フランスでは土地の食材を使った地域活性化は当たり前なのでしょうか。

フランスでは近年町おこしが進んでいます。
スーパーマーケットでは、
その地域の特産品を見つけることが出来ますが、
これはとても良いことだと思います。
フランスには多種多様なテロワールがあり、
例えば、アルザスと言えばシュークルート、ブルターニュはガレット、
ブイヤベースはフランス南部という風に、
どの地域にも非常に強いアイデンティティーがあると思います。

それぞれの地域によって異なるものを食べ、
全く異なる特産品を持っています。
これがフランスの持つ特徴と言って良いでしょう。
また特徴の一つとして、至る所で市場を見ることができます。

市場は生活の場所、日本では至る所で見ることが出来ないのが
非常に残念だと思っています。
自分たちでこういった市場などもオーガナイズすることが
出来たらと思っています。

■日本でAOC(原産地呼称制度)のような仕組みは
必要だと思いますか?またそのデメリットは?

AOCは地理的な枠組みでしかなく、
他の枠組みと同様に長所と短所があります。
ですので、AOCは品質を保証する物ではありません。
地域の枠組みは尊重していますが、
農薬を過度に使用する可能性があるため、
健康的な製品の追求という観点では
私にとってあまり意味がありません。

むしろ私は土壌や環境への配慮されている別の枠組みを支持します。
農薬や工場用肥料の使用は、
農業の持続可能(SDGs)なモデルではありません。
もう少し前の時代に戻る事が重要なのではないかと思っております。

そういった科学に頼らず栽培と繁殖の方法を変えることが
絶対に必要だと私は思っております。

■コロナ禍になり、人々が好む食事の傾向に変化はありますか?

コロナの危機に直面して、レストラン経営者は自分自身を再発見し、
代替案を見つけなければならなくなりました。
テイクアウトや宅配サービスの一般化などです。
消費は大きく変化し、人々は危機にもかかわらず、
健康に気をつけながら自分自身の楽しみや喜びを見いだす必要があります。

その中で大きな変化といえば、
100人、200人規模の大きなレセプションに代わって、
ウェビナーやオンラインでの飲み物のシーンや食べ物のシーンを行ったり、
宅配を通じて可能性が広がったと言うことだと思います。

しかし、直接人と対面するわけではないので、
こういったことを求めている人にとっては大激震と言えるでしょう。
私自身は通常の生活に戻る事を心待ちにしています。

数量限定で作っているので、皆様に出来るだけ
早めにご注文いただければ幸いです。
生産者の方を紹介すると言うことを目的としていますので、
La Boxを買って楽しんでください!

インタビュー動画はこちら

https://la-box.store/product/la-box-ishikawa/

セバスチャン・マルタンさんからのメッセージ
https://youtu.be/1qUGoh-wg28

前回記事はこちら。

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今回AntenneFranceではLaBoxを読者の方にプレゼントいたします。
奮ってご応募ください。
応募は、下記リンクよりお願いします。
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また、発送は日本国内に限らせて頂きます。
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