AntenneFrance

エコロジー

プールが閉まった町、チーズの規格が緩んだ町、同じ夏に何が起きていたのか

2026/10/8

プールが閉まった町、チーズの規格が緩んだ町、同じ夏に何が起きていたのか

フランス東部ドゥー県ポンタルリエの市営プールが、2026年10月7日から再開時期未定のまま閉鎖された。理由は水不足だと報じられている。干ばつによって市の水資源が日々減少し、危機が深刻化しているためだという。市長パトリック・コントは「プールの利用はポンタルリエの1日当たりの水消費量の1〜2%にすぎない」と認めたうえで、それでもなお閉鎖に踏み切った。住民に「危機が深刻であることを自覚してもらうため」だ…

警報サイレンが三度鳴った朝、請求書は誰に届くのか

2026/10/1

警報サイレンが三度鳴った朝、請求書は誰に届くのか

9月30日水曜日の朝、ガール県キサックの通りには警報サイレンが三度鳴り響いた。ヴィドゥルル川はわずかな時間で4メートル増水し、住民は車のタイヤが水没していくのを見ながら、浸水を防ぐための備えを急いだ。ある自営業者は「私は仕事をずらしました。週末がどうなるかは様子を見るしかありません」とこぼした。市長は赤色警戒を理由に学校を閉鎖し、「自宅にとどまるように」と呼びかけた。住民の一人は言った。「前回より…

「夏が終われば、みな忘れてしまう」——気候の記憶を誰が背負うのか

2026/9/27

「夏が終われば、みな忘れてしまう」——気候の記憶を誰が背負うのか

南仏ヴァール県、イエールの街角。広場に消防車が一台停められ、車体には「ストライキ中」と書かれた紙が貼ってある。すぐ隣のテントでは制服姿の消防士たちが、通りすがりの市民の質問に答えている。「ニュースで、カナディア(消防飛行艇)や装備がかなり不足していると知りました」と、足を止めた一人が話しかける。その隣で、休暇中だった客室乗務員のシルヴェーヌは、火曜日にパリで予定される消防士のデモに参加するつもりだ…

「米国の犬ではない」――ガソリンスタンドの列と、地中海の漁船が語る戦争の請求書

2026/9/17

「米国の犬ではない」――ガソリンスタンドの列と、地中海の漁船が語る戦争の請求書

地中海沿岸のどこかの港で、漁船が石油貯蔵施設の前に並び、出港をやめて封鎖に加わっている。彼らが求めているのは政治的な主張というより、もっと切実なものだ。燃料を積まなければ漁に出られない。漁に出なければ生活が成り立たない。フランス政府はこの光景を、2018年に燃料税をきっかけに始まった「黄色いベスト運動」の再来として警戒している。9月16日、エマニュエル・マクロン大統領は閣僚会議で、燃料の供給確保と…

消防士100人、待機するカナダール、そして8000人の死者——気候適応とは結局、誰にどれだけ人と金を配るかという話ではないか

2026/9/17

消防士100人、待機するカナダール、そして8000人の死者——気候適応とは結局、誰にどれだけ人と金を配るかという話ではないか

南西フランス、ランデス県のLüeという小さな町で、太陽光発電設備から出た火が森へ燃え広がっている。9月半ば、現場には消防士約100人、ダッシュ機とエア・トラクター機計4機が投入されているが、指揮官の一人は状況を「非常に不利」と表現し、カナダール(消防飛行艇)の追加投入を待っていると語った。風は南東へ強く吹き、被害はすでに約100ヘクタールに達し、現場の消防士は「数百、場合によっては千ヘクタールが脅…

キャベツが縮み、狩りが止まり、氷が溶ける――気候危機の請求書は誰に届くのか

2026/9/14

キャベツが縮み、狩りが止まり、氷が溶ける――気候危機の請求書は誰に届くのか

バ=ラン県リマースハイムの畑で、ギヨーム・ルッツはザワークラウト用キャベツを前にため息をついている。「必要な水準より30%少ない」。気温が28度を超えるとキャベツは成長を止め、生き延びることだけを優先する。例年の3倍、計3回もかん水したのに、それでも足りなかった。「今年はキャベツで確実に赤字になると思う」と彼は言う。

氷河が溶ける音と、パリで鳴り響くセリーヌ・ディオンの拍手――気候のツケは誰の財布から出るのか

2026/9/13

氷河が溶ける音と、パリで鳴り響くセリーヌ・ディオンの拍手――気候のツケは誰の財布から出るのか

ノルウェー領スヴァールバル諸島で、1922年と2024年に同じ場所を撮った写真を並べると、そこにあったはずの氷の壁が消え、山肌だけが残っている。100年余りでこの土地は姿を変えた。それでも観光客は年々増え続けている。ホッキョクグマとクジラを見るための船が出港し、かつて石炭採掘で成り立っていた町ロングイェールビーンの経済は、いまや氷が消えていく光景そのものを売り物にしている。皮肉なことに、この地を壊…

サメの群れ、狼の牙、28度の水道水——フランスが問う「誰が気候の請求書を払うのか」

2026/9/9

サメの群れ、狼の牙、28度の水道水——フランスが問う「誰が気候の請求書を払うのか」

ブザンソン近郊の板金工場では、10日ほど前から小さなハンマーの音が絶え間なく響いている。イタリアから派遣された技術者ヤコポ・プッピオは、車体に無数に刻まれたへこみを一つずつ叩き出しながら、「仕事がたくさんありますし、情熱も必要です」と言う。8月27日にドゥー県を襲った嵐は、テニスボール大のひょうを降らせ、数百台の車を「銃撃を受けたよう」な姿に変えた。アルデシュ県オーブナでは7月15日、わずか数分で…

フライドポテトが短くなる夏に、マルセイユの海水浴場から監視員が消えた

2026/9/8

フライドポテトが短くなる夏に、マルセイユの海水浴場から監視員が消えた

9月なのに、マルセイユの朝市は27度だった。ある女性客は「もう長すぎます。慣れなければならないのでしょうね」とこぼした。6月からこの3か月、気温計は29度を下回ったことがない。ある高齢の夫婦は、家の中が昼も夜も30度を超え続け、夜が「本当に大変だった」と振り返る。週末には37度近くまで上がり、1949年以来の記録になったという。

ホルムズ海峡の機雷が、パリの灯油タンクの値段を決める

2026/9/1

ホルムズ海峡の機雷が、パリの灯油タンクの値段を決める

フランスで灯油暖房を使う世帯にとって、この夏から秋にかけての給油タイミングは、ちょっとした賭けに近いものになっている。灯油の値段はこの12か月でおよそ50%上がったという。給油を数週間ずらすだけで、家計への打撃がまるで違ってくる。そして9月1日、ガスの基準販売価格がさらに5.6%上昇した。この基準価格に連動した料金プランに加入するフランスの約600万世帯が対象で、平均価格は1メガワット時あたり16…

530万ドルの船と5億ユーロの火災、そして「電気ヒーターは損じゃなくなる」制度変更が同じ夏に起きた理由

2026/8/29

530万ドルの船と5億ユーロの火災、そして「電気ヒーターは損じゃなくなる」制度変更が同じ夏に起きた理由

8月末、モンブランの麓では2500人のランナーが号砲を待っていた。ウルトラ・トレイル・デュ・モンブラン(UTMB)、174キロ・累積標高差1万メートルという過酷なレースだ。ところが主催者は金曜17時45分の予定を19時45分に延期した。理由は雷雨。気象機関メテオ・フランスの予報を踏まえ、コース最高地点であるピラミッド・カルケールを通らないルートに変更してまで、危険な稜線を「雷雨のピークが過ぎた後」…

干しブドウになったブドウと、外に出せない雌羊——気候変動はフランスの「原産地」をどこまで書き換えるか

2026/8/23

干しブドウになったブドウと、外に出せない雌羊——気候変動はフランスの「原産地」をどこまで書き換えるか

8月半ば、ソーヌ=エ=ロワール県のブドウ農家ティエリ・ジャナンは、収穫したブドウの房を手に取ってこう漏らした。「少しプルーンのような味がすると思います」。本来なら瑞々しいはずのブドウの粒は、干しブドウのように干からびていた。彼の畑では、1ヘクタール当たりの収量が2023年の56ヘクトリットルから、2024年に42、2025年に32へと下がり続け、2026年は「せめて20ヘクトリットルには届いてほし…

炭になった斜面でブドウを摘む夏——気候変動の請求書は誰に届くのか

2026/8/19

炭になった斜面でブドウを摘む夏——気候変動の請求書は誰に届くのか

「ここにはもう何もありません。ブドウ畑も、収穫も……土さえも、機能を失ったように感じます」。ヴァール県コランのブドウ農家クリストフ・グレゴリは、そう言葉を絞り出した。彼の畑は今夏の山火事から村を守る盾になったが、その代償として所有地の20%を焼失した。焼け残った区画では、隣の協同組合で仲間たちが赤ワイン用のブドウを急いで摘んでいる。煙の臭いがついた房は分けて醸造し、必要なら天然の活性炭で臭いを和ら…

消防士に部屋を貸した村役場と、国境を越えたシヌークヘリコプター

2026/8/17

消防士に部屋を貸した村役場と、国境を越えたシヌークヘリコプター

8月15日の土曜日、アルデンヌ県モンテルメの村役場は、ある決断をした。高台で燃え続ける火災に休みなく立ち向かう消防士たちのために、施設の一室を休憩場所として提供したのだ。フェイスブックには、住民からの寄付と支援に感謝する消防隊員の投稿が並んだ。「連帯、助け合い、寛大さ」という言葉が、そこには刻まれている。林業関係者は国立森林局と連携して消防車が通れるよう道を塞ぐ障害物を取り除き、農業関係者は消火用…