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冷凍庫が95℃になった夜――便利さのリスクを、使う人と働く人に押し付けてよいか
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冷凍庫が95℃になった夜――便利さのリスクを、使う人と働く人に押し付けてよいか

夜間、レンヌのCarrefour Marketの店長ニコラ・ル・クロムの携帯に、複数の警報が届いた。アプリを開くと、冷凍庫の設定温度は95℃だった。彼は最初は「不具合」だと思い、次に火災を疑ったという(France 3 Bretagneへの証言)。

冷凍庫の温度を手元のアプリで見られるのは便利だ。だがその便利さは、同じ回線を通じて、見知らぬ誰かが温度を書き換えられることも意味していた。

数百の店で、冷蔵設備が同時に「加熱」された

10月12日月曜日、日曜から月曜にかけての夜に、ハッカーがデンマークのメーカーDanfossの冷凍・冷蔵設備の制御システムに遠隔から侵入した。Les Mousquetairesのトップ、ティエリー・コティヤールによれば、攻撃者はすべての冷蔵ショーケースを霜取りモードにし、温度を50℃まで上げた。被害が確認されたのは、Intermarché/Nettoで少なくとも300店、Carrefourで80店、Monoprixで約30店、Coopérative Uで80店。E.Leclercでも「複数店舗」が被害を受けた。データの窃取はなかったが、大量の食品が捨てられた。パリ検察局が捜査を始めている。

現場の損失は具体的だ。エソンヌ県エトレシーの店の責任者マリーは、バゲットや菓子パンやペストリーが箱ごと外のごみ容器に捨てられ、約6万ユーロ分になったと話す。バ=ラン県アグノーのIntermarché2店舗は、商品の損失を27万ユーロとしている。イシー=レ=ムリノーのスーパーの店長は、再攻撃を恐れて生鮮食品売り場のデジタル接続を丸ごと切った。便利さを手放すことで、安全を取り戻したわけだ。

ここで目を向けたいのは、誰が損失を引き受けるのかという点だ。Intermarchéは、保険がこの種の事案を「補償しない」ことが「大きな課題の一つ」になるとみている。一方でDanfossは、影響を受けた機器の大半は旧式で、AK-SM800とAK-SC355はサポートが終了しており、ソフトウェア更新もセキュリティ更新も提供されていないと説明した。顧客には長年、最新ファームウェアの維持や次世代製品への移行を勧めてきたという。

メーカーの説明は、それ自体は筋が通っている。ただ、店の側から見れば話は違って見えるだろう。冷蔵設備は、数年ごとに買い替える消費財というより、店の営業を支える基盤だ。サポート終了後の機器をいつ、誰の費用で入れ替えるのか。その線引きが曖昧なまま、攻撃を受けた夜の損害だけが店の経営者に降りかかった。これは原文の事実ではなく、私の読み取りである。

「それほど高度ではない」攻撃が突いた、設計の思想

サイバーセキュリティ会社Almondの事務局長アントワーヌ・オタンは、こうした産業機器は歴史的に、防御よりも信頼性とコスト管理を優先して設計されてきたと語る。当時は攻撃者が遠隔からアクセスできなかったからだ。センサーや遠隔監視で接続されるようになった今、前提が崩れている。

オタンは同時攻撃に「一定の高度さ」を認めたが、倫理的ハッカーのクレマン・ドミンゴはRMCで、この攻撃は「それほど高度なものではない」と述べた。専門家の間では、既知の脆弱性や単純なパスワードが使われた可能性も指摘されている。

高度な攻撃ではなかったのなら、問題は攻撃者の腕前より、守りの薄さにある。切り離されていた時代の設計が、接続された時代にもそのまま使われていた。ここまで見ると、被害の根は「想定の更新を誰が担うのか」という問いにあることがわかる。

なお、Coopérative UのCEOドミニク・シェルシェは、被害を受けた80店のうち、商品を廃棄したのは「少数」で、大多数は対処できたと述べた。同社は2000店舗を擁する。現場の技術者や店のチームの迅速な動きを評価する発言でもあるが、小規模店で数万ユーロ、大型店で18万〜20万ユーロの損失が出うることも認めている。全体の被害額は「算出できていない」。

家庭では「パスワードを変えましょう」で済むのか

同じ構図は家庭にもある。エンジニアのサミー・アズドゥファルは2026年2月、ゲームコントローラーで自分の掃除ロボットを動かそうとして、意図せずセキュリティ上の欠陥を見つけた。同型のロボット7000台のカメラとマイクを遠隔で起動でき、「7000世帯の居間を見て回ることができた」と本人は話している。

Franceinfoの記事は、インターネットから見える冷蔵庫や監視カメラを地図上に一覧する検索サイトの存在も紹介している。対策として挙げられているのは、フランスではルーターが初期設定で外部からの直接アクセスを防いでいること、そして機器やアプリごとに異なるパスワードを使うことだ。

この助言は正しい。しかし私はそこに、ある偏りを感じる。守りの責任が、利用者の注意に寄せられているのだ。居間を覗かれる欠陥はロボット側にあったのに、助言は使う側のパスワード管理に向かう。スーパーの店主と家庭の利用者は、立場は違っても、自分で選んだわけではない設計上のリスクを引き受けている点で似ている。

「人間が書いた」ことを証明するのは誰か

一見ここから遠く離れた話に見える出版界の騒動も、同じ問いを抱えている。ケベックの作家テリソン・オレリアンの初の小説『C'était ça ou mourir』にAI使用の疑いがかけられた。エッセイストのサミュエル・フィトゥッシは、米国製の検出ソフトPangramで抜粋を分析し、AIが読むことと書くことを消滅させかねないと危惧して告発したと説明している。

オレリアンは10月13日、AFPに寄せた文章で、本文の「いかなる文章も」AIが作成したものではないと主張した。外国語の慣用表現を調べるためにツールを使ったことは認めている。2017年秋に執筆を始め、最初の草稿を2019年に書き終えたと述べたが、それを裏付ける証拠は示していない。他方で、2010年代に著名作家の文章を盗用した「容認できない過ち」は認め、謝罪した。2013年のコラムがフィリピン紙の記事のほぼ全体を手を加えて翻訳したものだったとの報道が、出版社が宣伝ツアーを中止する発端になった。

ゴンクール賞のアカデミーは同作を候補から外し、ルノドー賞は第二次選考に残している。小説の売り上げは65000部を超えた。先週末のフランクフルトのブックフェアでは、人間が執筆した本であることを証明する複数の取り組みが発表されたという。

過去の盗用が事実であることと、今回AIが使われたかどうかは、別の問題だ。この二つが混ざって語られやすいことは、記事を読んでも伝わってくる。ここで私が注目したいのは、「書いていない」ことの証明は、書いた側に求められやすいという構図だ。検出ソフトが判断材料になる一方で、書き手は草稿や過程を示すよう迫られる。技術が生まれたとき、その副作用に備える負担を最初に負うのが、創作する人であっていいのか。冷蔵庫の店主、掃除ロボットの利用者、小説家は、立場の違いこそあれ、同じ側に立たされている。

リスクが分け合われる風景もある

一方、同じ「技術への投資」でも、負担のかけ方が違う例がある。海運大手CMA-CGMは、投資ファンドPulseを通じて、飛行船開発企業Flying Whalesに出資する。60トンの貨物を積み、道路や鉄道でアクセスしにくい場所へ運ぶ構想で、CO2排出量をほかの輸送手段より約70%減らせるとしている。初飛行は2028年末の予定で、同社は新たに9000万ユーロの資金調達を始めた。ほかの出資者には、公的投資銀行のBpifrance、Bouygues、Air Liquide、パリ空港公団、ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏が並ぶ。ジロンド県のラリュスカドには、組立工場と試験用滑走路が整備される予定だ。

注目したいのは、機体だけでなく、飛行船関連の職業を学ぶ欧州初の学校が、来年半ばに最初の学生を迎える予定だという点だ。新しい技術には、新しい仕事を担う人の育成が組み込まれている。もちろん、これが成功するかどうかはまだわからないし、記事は投資の側面を伝えるもので、働く人の権利や保護を論じてはいない。それでも、リスクを複数の主体で分け合い、人を育てる仕組みを同時に用意しようとする設計は、先の三つの例と対照的に見える。ここは私の解釈である。

日本の読者として考えたいこと

日本には、家電を長く使い続ける習慣があるとされ、業務用の設備も、壊れるまで使う文化があると言われることが多い。もしそれが通念として正しいなら、サポート終了後の機器が現場に残る事態は、日本でも他人事ではない。購入後もメーカーがどこまで責任を持つのか、使い続けた機器に何かあったとき、誰が責任を負うのか。フランスの事例は、そうした問いを、より具体的な金額と夜の混乱として見せてくれる。

AIと創作についても、日本では、作り手に説明を求める声と、守るべき創作の自由を重んじる声が併存しているのではないか、というのが私の印象である。ただ、これは通念であり、検証した事実ではない。

今後を考えるうえで、次の点に注目したい。

  • 保険や補償が、接続機器への攻撃をどう扱うか。Intermarchéが課題に挙げた点で、損失の置き場所を左右する。
  • 旧式機器の更新に、メーカーと顧客がどう費用と責任を分けるか。
  • 「人間が書いた」ことの証明が、創作の現場でどんな標準になっていくか。フランクフルトで示された取り組みが、その入口になるかもしれない。

どの話にも共通するのは、便利さや生産性が先に社会へ出て、その副作用への備えが後から追いかけてくるという順序だ。便利な技術が被害や雇用の変化を生むとき、あなたは、利用者の注意だけでなく、企業に何を求めるだろうか。購入から10年後のサポート、導入前の説明、被害が出たときの補償。どれを最優先にするかで、技術との付き合い方は変わってくる。

出典

  • franceinfo (titres):"Des erreurs inacceptables" : Thélyson Orélien reconnaît des plagiats dans les années 2010, mais conteste l'usage de l'IA dans son roman "C'était ça ou mourir" (2026/10/13)
  • franceinfo (titres):Un piratage "pas si sophistiqué que ça" : ce que l'on sait de la cyberattaque qui a fait monter en température les frigos de supermarchés (2026/10/13)
  • franceinfo (titres):Aspirateurs, frigos… Les objets connectés de chez vous peuvent être piratés et contrôlés à distance (2026/10/13)
  • franceinfo (titres):Après la cyberattaque visant des frigos, le PDG de Coopérative U tempère l'ampleur des dégâts dans ses supermarchés (2026/10/13)
  • franceinfo (titres):L’armateur marseillais CMA-CGM innove et se lance dans le transport de fret par dirigeable (2026/10/13)

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