フランス映画「コンセント/同意」:同意の曖昧さと社会的責任を問う力強いメッセージ(監督・主演女優インタビュー)

フランス映画「コンセント/同意」に関するインタビューでは、監督のヴァネッサ・フィロと主演女優キム・イジュランが、この作品に込めた深いメッセージと複雑なテーマについて語りました。本作は、現代社会における「同意」の問題を鋭く問いかけ、特に未成年者に対する同意の難しさを扱っています。

「コンセント/同意」(Le Consentement)
監督:ヴァネッサ・フィロ
主演:キム・イジュラン

監督ヴァネッサ・フィロの視点

ヴァネッサ・フィロ監督は、この作品のテーマについて「母親と子供が、捕食者の支配下に置かれたときの状況を描くことに強くこだわった」と語ります。彼女は、主人公である母親の脆さと痛み、そして無力さを描くことに重点を置きました。映画はフィクションの要素も含まれているものの、できる限り真実に近づけることがフィロ監督の目的だったといいます。特に、母親としてどのように行動すべきかという非常に複雑な問いを投げかけ、観客に深く考えさせる作品となっています。

監督はまた、主人公ヴァネッサの心情や同意の曖昧さに焦点を当て、「彼女に責任を負わせるのではなく、彼女が置かれた状況と社会的背景に疑問を抱かせたかった」と説明しています。この映画は、社会全体の同意の問題にも疑問を投げかけており、観客に対して感情的かつ倫理的な反応を促す作品となっています。

主演女優キム・イジュランの思い

一方、主演を務めたキム・イジュランは、この映画に出演することが「必然的だった」と述べています。オーディションの話を聞いた瞬間から本を読み、圧倒され、強い怒りを覚えた彼女は、「ヴァネッサ・スプリングーラのために戦いたい」という気持ちを抱いたそうです。彼女は映画を通して、ヴァネッサという人物の複雑な内面を捉えるために、できる限り自分の感情に近づけることに努めたと話します。

キム・イジュランはまた、映画の中でヴァネッサの「作家としての欲望」と、彼女が捕食者に支配されてしまう仕組みを探求することに特に力を入れたと言います。彼女は、ヴァネッサが抱える葛藤や無力感を深く理解し、それをスクリーン上で表現することに情熱を注ぎました。

同意をめぐる社会的問い

「コンセント/同意」は、単なる個人の物語にとどまらず、現代の社会問題を浮き彫りにしています。未成年者に対する性的同意や、社会全体がどのようにその問題に向き合うべきかを描いたこの作品は、非常にセンシティブなテーマを取り扱っていますが、フィロ監督とキム・イジュランはその複雑さを忠実に描き出しています。

映画は、未成年のヴァネッサがどのように捕食者に巻き込まれ、社会からの保護がどのように欠如していたかを示すとともに、「同意」とは何か、誰が同意を与える権利を持つのかという問題に正面から向き合っています。

Antenne France
Antenne France
記事本文: 905
Enable Notifications OK No thanks