AntenneFrance N.164

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                                   n.164
                        A n t e n n e F r a n c e
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                         S O M M A I R E
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         L E P E T I T B O U Q U E T
       1◆さようなら、クロード・ソテ。
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         I N F O R M A T I O N
       i◆AntenneFranceについて
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┏━┓                    L E P E T I T B O U Q U E T
┃1┃さようなら、クロード・ソテ。一つの「時代」の心を描いた作家。
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 7月22日パリ、クロード・ソテ(77歳)は、この世を去った。長年肝臓癌を
 患っていた。
 1924年2月23日、クロード・ソテはパリ郊外モンルージュで生まれた。装
 飾芸術の学校に通い、共産党に入党した。(1952年に脱党)。1946年か
 ら1947年に高等映画学院に通った。49年から50年は、音楽評論家として
 仕事をしていた。
 こういった始まりは彼の政治的関わりや、いろいろな方面に興味を持つ文化人と
 しての人となりをよく表している。映画では、「Petite porte」で、有能で控え
 めなアシスタントを務めたが、クレジットに名前はでなかった。フランス映画の
 ある種の概念の原型として注目されても、そういう性格は変わらなかった。ク
 ロード・ソテは、つねに友人たちのシナリオで仕事をした。トリュフォーは、彼
 を「シナリオの靴底を変える人」と呼んだ。
 映画好きのインテリ、クロード・ソテは、うっかり監督になってしまった。短編
 映画を制作していたが、1955年、「Bonjour sourir」で、最後に部分にきて
 撮影を諦めたロベール・デリーに代わって、映画監督と呼ばれるようになった。
 しかし彼は、アンリ・サルバドール、アニー・コルディ、ルイス・ドゥ・フュネ
 ス、ジャン・カルネットらによって演じられたこの作品を自分のものと認めてい
 ない。59年、リノ・ヴァンチュラ、ジャンポール・ベルモント主演の映画、
 ジョゼ・ジョバンニの探偵小説を脚色した「Classe tous risque」が本当のデ
 ビューといえる。探偵もののフランス映画の伝統とアメリカの推理映画に根拠を
 おいたこの作品は、確実な演出と完璧な演技で成功した。
 そのころジャン・リュック・ゴダールは「A bout de souffle(勝手にしやが
 れ)」(1959)を制作した。活動的なこの若き映画人がめざしたのは、雑誌
 「カイエ・デュ・シネマ」からでたヌーベル・バーグの作家や、アラン・レス
 ネ、クリス・マルケル、ジャン・ルーシュ、アネス・バルダの研究によって象徴
 される「現代的冒険」に身を投じることだ。探偵ものにおいて、ゴダールのよう
 な急進的断絶に行くことなく、ジャン・ピエール・メルヴィルは、「Bob
 flambeur(ボブ、ばくち打ち)」や、「Deux homes dans Manhattan(マンハッタン
 の二人の男)」で大胆な手法を展開した。
 一方、このころ「改革をめざす青年たち」に打ちのめされている映画監督の伝統
 を引継ぎ、フランソワ・トリュフォーにフランスの特色の「上番の歩哨」の一員
 と言わしめたフクロード・ソテは、フランス映画の「過去」のように見える。
 シャルル・ウイリアムの小説で、これもリノ・ヴェンチュラの主演の二作目「L’
 Arme a gache」(1964)は、船の中で閉じこめられるという異国的な出来事の映画
 である。肯定的評価は変わらないが、Classe tous risqueを越えるものではな
 かった。
 偉大な俳優に囲まれてクロード・ソテの真の作品は、「Les choses de la vie」
 から始まる。この映画はある男が自動車事故にあったまさにそのとき、自分の人
 生を振り返るという、フラッシュ・バックで構成されている。ここにその後10
 年間の作品の特徴となる本質が集約している。また、同時代の中産階級の心理を
 研究し、丹念な人物描写を通して、70年代フランスを特徴づける様相を明るみ
 にだし、有名になった。クロード・ソテは、ポンピドゥー、ジスカール・デスタ
 ンの時代を、概して裕福な社会環境の見地から、好意と臨床的正確さを混ぜ合わ
 せて、注意深く描いた映画監督だ。
 クロード・ソテが自分に似ている登場人物に投げる視線は、彼のまわりにいる人
 たちの視線だ。「Les choses de la vie」から「Max et les Ferrailleurs」
 (1971、郊外の周辺性と道徳の完全主義からの脱出)までのミッシェル・ピ
 コリ、ロミー・シュナイダー、「Cesar et Rosalie」(1972)のイヴ・モン
 タン、ロミー・シュナイダー、「Vincent ,Francois,Paul et les aures 」
 (1974)、「Mado」(1976)のピコリ、「une histoire simple」
 (1978)でもロミー・シュナイダーが主演している。
(略)
 1980年、一つの時代が終わった。クロード・ソテは、「un mauvais fils」
 (ドラッグ、親子の葛藤) で、社会問題を扱い、世代の変化を試したが、パト
 リック・ドゥアエレの出演にも関わらず、期待はずれのものだった。
 3年後、「Garcon」で一昔前に戻ろうとした。この映画では、イヴ・モンタンが
 いつものようにおしゃべりではない。また、おなじみの印、パリのビストロ、雨
 のたたきつけるガラスを通して撮られたシーン、ボート・ショップの開店は、ま
 さしく彼ならではの目印になっているが、もうこれらの仕掛けには飽きてしまっ
 た。
 際だった才能と、思慮深い古典主義的手法で映画をつくるクロード・ソテは、映
 画の発展から取り残されたように見える。しかし、すぐれた映画「Quelques
 jours avec moi」(1987)で、大胆にそして自由にめざましい復活をとげた
 のだ。サンドリーヌ・ボネールとダニエル・オートゥイユ率いる俳優グループの
 おかげでもある。
 太陽と遊びの映画と対照的なのが、冷ややかで抑制された、しかしこれもすばら
 しい映画「Un coeur en hiver」(1991)である。ダニエル・オートゥイユと
 エマニュエル・ベアールの異例の顔合わせだ。そして、彼女とミシェル・セロー
 の風変わりな話「Nelly et Monsieur Arnaud」(1991)が続く。
 陰気な映画とはいえ、この傑作をつくった監督が、やがて命を奪われることにな
 る病気に侵されているとは、信じたくなかった。「Classe tous risque」以来、
 彼の作品群には、消えてゆく世界へのノスタルジーが色濃く顕れている。
 「Nelly et Monsieur Arnaud」で、クロード・ソテとダニエル・オートゥイユ
 は、ともにセザール賞を受賞し、ルイ・デュッルク賞とクリティック賞もあわせ
 て受賞した。成功し、認められた映画監督の一人であり、意識的に名誉のある地
 位や、映画界が振りまかなければならない物質的、象徴的代償から離れていたク
 ロード・ソテのそれが最後の「聖別」となった。
 Le Monde Interactifより
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