AntenneFrance N.238 ジャン・ピエール=リモザン監督 単独記者会見

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  □『NOVO/ノボ』【ジャン・ピエール=リモザン監督 単独記者会見】
  □日仏都市会議2003レポート:パリ都市開発「セーヌ左岸協議整備区域」
  □フランスに酔いしれる夜を:「フランス音楽の彩と翳」レポート
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◆◆『NOVO/ノボ』【ジャン・ピエール=リモザン監督 共同会見】
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 前回お伝えしましたジャン・ピエール=リモザン監督の単独会見に引き続き共同
 会見の模様をレポートします。
 Q1:エドゥアルド・ノリエガを起用した経緯についてお教え下さい。
 A1:リモザン監督
 キャスティングの方法としては、主役を一人選ぶとあとが自然と決まってきま
 す。今回は男優から決めました。自分のイメージしていた女性らしくダンサーの
 ようなしなやかさを備えつつ筋骨隆々とした感じの男性俳優はフランス人では見
 つからず、地球上のフランス人男性を全て考慮に入れても見つからなかったほど
 です。映画の製作を中断しようとすら思ったほどです(笑)。ところが、たまた
 ま見ていた映画雑誌にアルゼンチン映画の探偵物でエドゥアルド・ノリエガがゲ
 イのギャングの役で出演していたのを見つけ、すぐにその映画を観に行きまし
 た。映画館もゲイの帽子をかぶって革のパンツを履いた人間が多かったのです
 が・・・。彼のヌードは自然でとても好感を持ちました。そしてマドリッドに行
 き直接会って話したのです。
 作中のグラハム的要素であるストレートな印象を備えた人物だと思いました。英
 文の脚本を読んでもらい3~4時間話したあと意気投合できました。ところが一つ問
 題がありまして、彼はフランス語が話せないということだったのです。
 脚本のフランス語の上に、発音をスペイン語でフリガナを振ったものを彼は使っ
 たのですが、フランス語、スペイン語の両方が併記してあるような非常に分厚い
 脚本を彼は食べてしまったと言えます。台詞のフランス語をCDに録音したものを
 彼に渡すと彼はずっとそれを聞いていました。結果的に彼はスペイン語訛りのフ
 ランス語ではなく、グラハム語とも言える言語をマスターしたのです。本作でグ
 ラハムは記憶障害を持つ人物ですが、母国語でありながら言葉を探しているよう
 なもどかしさがあります。エドゥアルド・ノリエガという外国人を起用したこと
 は、彼が母国語以外の言葉で取り組むもどかしさ、自由がないところが重なり、
 記憶障害という病気に信憑性が高まり、良い結果を生むことができたのです。
 Q2:アナ・ムグラリスを起用した経緯についてお教え下さい。
 A2:リモザン監督
 私は普段からラジオを聞く習性があったり、情報を音でとらえるということにな
 れているのですが、今回エドゥアルドが耳を通してフランス語を音で覚えていく
 ことで音に敏感になっていまして、ちょうどそのときにシャルドドの映画でアナ
 の声が耳に飛び込んできたのです。彼女はスタイルもよく造形的な美しさを持っ
 ていますが、少ししわがれたざらっとした感じの声に興味を持ちました。彼女は
 出会ったときは、パリ国立アート学院の3年生で学費のためにモデルをしていまし
 た。映画の撮影のあとに注目を浴びシャネルのミューズにも選ばれて、今はシャ
 ネルの化粧をしなければならない拘束を受けているわけです。
 Q3:記憶障害のアイデアはどこから来たのでしょうか?
 A3:リモザン監督記憶喪失はテーマとしてではなく、欲望と恋愛、愛情を分けて表
 現したかったのです。主人公は男らしさに傷に負う、弱く欲望を抑えた状態で
 す。常に欲望が更新される必要があるのですが、そのために記憶喪失が有効だと
 考えたのです。昔知ったケースで記憶を失った映画ファンの男性が治療施設で毎
 朝映画を観るのですが、覚えていられないために2~3分経つとまた巻き戻して観る
 のです。それを毎朝繰り返し2,3ヶ月やっていたそうです。その事実にまず私は驚
 きました。それはブラッセルにある治療センターで患者は身近な人とゲーム形式
 で治療を行っていたのですが、今回そのゲーム形式を取り入れました。こうして
 少しずつアイデアを蓄積していましたが、資金の問題もありしばらく温めていた
 のです。
 Q4:アンドレを起用した経緯についてお教え下さい。
 A4:リモザン監督
 カイエドゥシネマに文章を書いていた時代から、お互いにとても良い関係を持っ
 ていました。彼は70歳ですが、若々しい炎を今も変わらず持っています。精神の
 若々しさを持っているのです。日々美術館を巡るような人です。10年前にフラン
 ス映画が死んだと言われたときもありましたが、彼はカットごとに映画は新しく
 生まれる、と言いました。彼を起用したのは彼に対するオマージュのようなもの
 でもあります。映画の中で、グラハムが子供と出会うシーンは新鮮でつるっとし
 ていて新しいものを呼び起こさせてくれます。アンドレは私にとって、そういっ
 た新しいものをかき立ててくれる人です。シーンの衣装を相談していて好きなよ
 うに着てきて欲しいと言ったら、彼は麦わらを編んできた帽子を身につけてきま
 した。私はこれをとても素敵なことだと感じました。
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◆◆日仏都市会議2003レポート:パリ都市開発「セーヌ左岸協議整備区域」
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 東京都内では2002年後半から2003年にかけ大型都市開発が集中する。汐留、六本
 木の都市開発地域の幕開けに続き品川の再開発地区のオープンも控えている。汐
 留しかり六本木しかり、どちらに足を踏み入れても圧倒的な広大なスペースとこ
 れまでに見ることのなかった斬新な高層ビルに、まるで映画で見た未来都市が
 着々と現実のものとなるのだと実感させられる。
 このように急速に進む新しい都市づくりの時代の中、「いかに文化遺産・歴史遺
 産を保存し活用しながら都市開発を進めていくのか」という実にタイムリーな
 テーマで開催されたのが先日行われた日仏都市会議2003だ。パリ、東京で行われ
 ている都市開発の実例や企画が相互に講義が行われた。
 中でも興味深かったのがパリ市都市計画局長のカトリーヌ・バルベ氏による、
 「セーヌ左岸協議整備区域」についての講義だ。都市の悩みはフランスでも同じ
 ようで、パリの人口過密の分散・解消を課題に始まったパリの都市整備。旧鉄道
 跡地の大規模土地を利用し学問、文化、オフィス、居住地区のバランスのとれた
 街づくりを目指すプランを推し進めているのだが、実に羨ましくなるほどにパリ
 の文化遺産、歴史遺産を活用するもので感心させられた。
 例えば、古い製粉工場はパリ第6大学の大学図書館に改築を予定されている。ま
 た、戦時中に盛んに使用されていた船舶工場はレストラン、美術ギャラリーの複
 合施設としての案があり、さらに使用方法を国際コンペにかけアイデアを募集中
 だ。他にも芸術の都らしい心意気を感じさせるのが、過去に食肉保存冷凍庫だっ
 た施設をアーティスト向けに開放するプラン。空き屋になったこの施設を見つけ
 て、アーティスト達が住みつきアトリエに勝手に使い込んでいたという施設なの
 だが、アーティスト達を撤去させるどころか、再開発で思い切って使用を公認し
 てしまう寛容さはお国柄とも言うべきか。
 これらの歴史遺産はどれも歴史を支えてきた存在感もさることながら、一つの巨
 大な建造物として味のあるものばかりだ。古い物を残すだけではなく、生かす。
 ここに古い街並みと生きる人々の感性が生かされているのだろう。
 さて、古い物を残せば新しいものも作るのがフランス式。開発地域の写真でまず
 目に飛び込んでくるのがカギカッコのような形をした高層ビル。そのモニュメン
 ト性、重要性ゆえに、地域の高さ制限37mをただ一つ越えてもよいとされた建造物
 だ。2つが向かい合って本が開いたようになる。これがフランス国立図書館だ。
 非常に目立つそのモダンな作りゆえに賛否両論だという。しかしあのルーヴル美
 術館も当初、斬新さに納得のいかない人が多かったと聞くが、今でこそ申し分の
 ないパリの観光地である歴史遺産物として名を連ねているのだから、この図書館
 の行方も簡単に想像がつくように思う。
 「単に新しい物を作るのではなく、国にとって意味のある文化施設を作り、半民
 半官また民間に重きを置いて事業を進めていきます。そして10年間かけてゆっく
 りと街作りを行っていきます。途中で住民の反対運動もありましたが、色々な偶
 然の要素も重なって文化施設を残せる素晴らしい形で事業を行っています。」と
 言うカトリーヌ・バルベ氏。パリの街並みがどう生まれ変わっていくのか。長い
 目で楽しみたい。
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◆◆フランスに酔いしれる夜を:「フランス音楽の彩と翳」レポート
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 パリに25年間滞在している指揮者矢崎彦太郎氏が、年に4回オーケストラでフラン
 ス音楽をシリーズで紹介する演奏会がある。「フランス音楽の彩と翳」と題する
 このシリーズ。毎回のように矢崎氏のエネルギッシュな指揮に魅了されるのを楽
 しみに、2年目を迎えた5月のコンサートに足を運んだ。
 パイプオルガンの荘厳な響きを、ますます奥ゆかしく引き立てる初台オペラシ
 ティのコンサートホール。日本であまり聴く機会のないフランス音楽の曲をオー
 ケストラで聴けるという何とも贅沢な場なのだが、お馴染みの曲だとますます自
 然に曲に入り込めてしまうもの。5月のコンサートでは女性にも人気の「ジムノペ
 ティ」が含まれた演目だった。「ジムノペティ」は、1888年サティが22才のと
 きに作曲したピアノのための3曲の小品。その流麗なハープの音で会場を包み込
 み、最高の心地よさを与えてくれた。“ジムノペティ”とは、古代ギリシアの
 スパルタ地方で行われていたアポロンを祝う祭りで、全裸の青年達によって踊ら
 れる踊りである。この美しい旋律にあわせて踊る優雅で美しい青年達を思い浮か
 べては夢見心地な気分に浸ってしまった。次回、8月の演奏会のテーマは
 「スペイン!!」で、今からどんな世界に連れ出してくれるものかとわくわくし
 ている。
 演目については実際にコンサートに足を運んでその音に魅了されて頂くのが一番
 なのだが、もう一つこのシリーズで楽しめるのが矢崎氏のトークだろう。パリに
 在住する氏がフレッシュなフランスを伝えてくれる。G8開催時期に重なったこと
 もあり、エヴィアンに最も近いジュネーヴ空港の話になった。この空港は世界で
 唯一2国間の国境にまたがる空港だそうだ。ちなみに、スイスはEU加盟国ではない
 ために未だにパスポートが必要な国である。また、今回の嬉しい報告はジョエ
 ル・ロブションが再びパリにレストランを開いたというニュース。たった25席し
 かないカウンター式レストランで、1時間前にしか予約ができないという新タイプ
 のレストラン。嬉しいながらも、時間の都合でまだ氏も食していないとのこと。
 そして、フランスでは日常茶飯事?なストが近頃頻繁に起きていることに嘆きつ
 つ・・・というのがフレッシュなフランス情報でした。
 しめくくりにもう一つ嬉しいオマケを。「フランス音楽の彩と翳」シリーズで
 は、矢崎氏が選んだフランスワインが抽選で座席番号でプレゼントされる恒例の
 ワインプレゼントがある。家に帰ってもフランスの気分に酔いしれることができ
 るなんて、素敵な夜じゃありませんか!
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