AntenneFrance N.267 いつになく「政治的」だった、今年のカンヌ映画祭
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□いつになく「政治的」だった、今年のカンヌ映画祭
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◆◆いつになく「政治的」だった、今年のカンヌ映画祭
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去る4月22日、タランティーノ審査委員長のもと、第57回カンヌ映画祭の授賞
式が賑々しく行われました。もう結果についてご存じの方も多いと思いますが、
フランスで話題になったスキャンダルなどを含めて、今年のカンヌ映画祭を簡
単にご紹介したいと思います。
今年のカンヌを一言で表すと、「政治的」。その心は? といいますと、ます
はじめに、マイケル・ムーア監督の『華氏9・11 (Fahrenheit 9/11)』が、
最高の賞であるパルム・ドールを受賞したことが挙げられます。この作品は、
ブッシュ政権を批判するバリバリの政治的ドキュメンタリー映画。もちろん、
時勢や、監督独特のユーモアたっぷりの作風は優れていますが、ドキュメンタ
リー作品の同賞受賞は1956年のジャック・イブ・クストー監督の『沈黙の世界』
以来だそうで、いかにこの選択が異例であるかわかっていただけると思います。
また、招待作品の中に戦争や政治を題材にしたフィクション映画が多かったこ
ともあげられます(エミール・クストリッツァ監督の『la vie est un miracl
e』や、ジャン=リュック・ゴダール監督の『Notre Musique』など)。そして、
審査員をつとめた仏女優エマニュアル・ベアールは、社会的な活動に率先して
参加するという一面でもよく知られています。そしてさらに、このメルマガで
も何度かご紹介した、intermittent du spectacleの抗議活動が映画祭の会期
を通して、常に行われていました。彼らの行動は、残念ながらあまりメディア
に登場することはありませんでしたが、毎日どこかしらで、マニフ(manifest
ation デモ)をゲリラ的に行っていたそうです。
日本勢も健闘しました。是枝裕和監督の『誰も知らない』で、柳楽優弥くんが
史上最年少の主演男優賞を受賞。また、惜しくも賞は逃しましたが、押切監督
の『イノセンス』も、大変詩的で映像が美しいと下馬評が高かったそうです。
今年の審査員長が、アジア映画マニアのタランティーノ監督だったこともあり、
カンヌ初のアニメ作品の受賞なるか?と騒がれていただけに、受賞にならなか
ったのはとても残念。
しかし、韓国のパク・チャヌク監督の『Old Boy』がグランプリを、新鋭のア
ピチャポン・ウイーラーセタクン監督(タイ)の『TropicalMalady』が審査員
賞をそれぞれ獲得しまして、今まであまりフランスに紹介されていなかったア
ジア勢の活躍も注目されました。
アジアといえばもう一人、忘れてはいけない方がいます。オリヴィエ・アサイ
ヤス監督の『クリーン』で見事、主演女優賞に輝きましたマギー・チャンです。
この役は、いままでのフランス人が抱いている「憂いのある美しいアジア女性」
というマギー像をぶちこわすような役回りだったそうで、満場一致の受賞とな
ったようです。彼女の受賞がアサイヤス監督の悲しそうな顔(たぶん涙をこら
えていたのだと思われます)が印象的でした。
この監督は、『イルマ・ヴァップ』でのマギーとの仕事がきかっけになり、一
緒に暮らしていたこともある仲です。この『クリーン』は、監督がマギーのた
めに書いた作品で、きっとそういう日常の彼女を知る者だからこそ引き出せた、
素の部分をたっぷり使った役どころだったのではないでしょうか? ちなみに
彼女の役は、パリに住む中国からの移民。自身の不手際から実の子供を育てる
ことのできなくなった母が、子供を取り返すために奮闘するというストーリー
だそうです。
マギー・チャンといえば、もうひとつ、ウォン・カーウァイ監督の新作『2046』
にも出演しておりました。ウォン監督はカンヌの問題児と誉れ?も高い方です
が、今年はなんと、フィルムが届いたのが上映当日という有様で、早朝のプレ
ス上映も中止されたそうです。が、それでも悪びれずに、赤絨毯を闊歩。4年
間を費やした大作、と期待されていた割に、作品自体は良くも悪くも全作の
『花様年華』に良く似たものだったそうです。
しかも、上映後にもスキャンダルが。なんとマギー・チャンの名がしっかりク
レジットされているにもかかわらず、彼女の登場シーンがひとつもなかったの
です。多くの配給会社が「マギー」印をもとに買い付けていたこともあります
し、彼女だって、その事務所だって、彼女のシーンが全てカットされたとなれ
ば、おもしろくない、ということもあります。
しかし、実際にフィルムを観たジャーナリストたちは、上映された作品がファ
イナルカットではないと考えているようです。監督自身も、上映後のインタビ
ューで「あと2週間、いやあと2ヶ月あれば…」などど漏らしたそうですので、
案外この意見は正しいかも? 監督はこの後も撮影、編集を続け、何年後にな
るかわかりませんが、きっとまたカンヌに持ってくる、というか、カンヌ映画
祭が招待せざるを得ないのではないかと。ま、そんなわがままも許されちゃう
ところも、監督の魅力のひとつなのでしょうか?
カンヌ映画祭が終わっても、まだまだイベントは続きます。6月はじめのフラ
ンスは、テニス四大トーナメントのひとつ「ローラン・ギャロス」と、1944年
6月6日に決行されたノルマンディー上陸作戦の60周年記念式典の話題で持ちき
りです。その後は、一気にヴァカンスシーズンへ突入。今年も暑い夏になるそ
うです。
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並びにショールームを構えるVIA(フランス創作家具振興会)。新しい展覧会のオー
プニング・パーティーの模様と世界からも羨望されるこの機関のディレクターか
らお話を伺います。
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フランス大使館文化部映像放送担当で現在代表を務めるマチューベジョさんやパ
リに先進的な映画館をオープンさせたMK2の海外セールス担当者のマチルドさんな
ど日本市場に関してお話を伺います。
4『ヴァンサン・ペレーズ/VincentPEREZ』**
2003年の横浜フランス映画祭で団長を務めた人気俳優のヴァンサン・ペレー
ズ。初監督に挑んだ「天使の肌」に関して伺います。
5『Paris Branche』
毎回おなじみのメールマガジンで紹介のパリのスライドショーです。
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