フランス人の伝える広島

日本が好きなフランス人は今では珍しくは無いかも知れない。日本に住んでいるフランス人の中には第2の故郷だなんて言う人は結構多いし、ヨーロッパ人の中でもフランス人が日本の文化について一番良く理解している、またはしようとしていると感じる日本人も多いようだ。
原爆被災地の広島をテーマにした作品として有名なのはヌーヴェルヴァーグ真最中の1959年フランス映画(日仏合作)アラン・レネの長編デビュー作の「二十四時間の情事(Hiroshima,monamour/ヒロシマ、我が愛)」だろう。この作品は初の日仏合作映画で、広島が舞台となっている。
さて、フランスでそこそこ話題となった元Cafedefloreの御曹司、クリストフ・ブバルが書いた広島の原爆を題材にした小説が昨年出版され、この日本語版が日本でも発売された。処女作は「カフェ・ド・フロールの黄金時代」という彼は熱烈な東洋文化の愛好家だ。
本作は広島に落とされた原爆の犠牲になった女性の霊が、たまたま被災地の撮影に訪れた若い映画作家に取り憑き、周辺の人の命を奪いつつ2人の宿命的な愛の結びつきのままパリに移住し、、、と言う内容だ。作者としては日本の若者に対しての書かれていて、彼自身も広島と長崎に行き、史実に正確であるように務めたという。
もちろん小説ではあるが、興味深いのは西洋の名言や聖書からの引用などが散りばめられており、ヨーロッパ人がどういう認知をしているのか、またその感性などが垣間見られるとおもう。例を挙げれば、第1章に先立ち黙示録からの引用が記載されているのだが、キリスト教圏からはこういう風にとらえられるのか、こういうバックグラウンドに繋がるのかと知ることが可能だ。
登場人物も日本人であり、日本の感性や心情に大きく触れている。これは逆にフランス人が日本の感性を理解するのに役立つかも知れないが、ちょっとごちゃごちゃになっている様な気がする。作者が読者に分かりやすくするために注釈をつけているようだが、この注釈が正直言って正しくない。「阿弥陀仏」には、仏陀の日本語名とされているし、「鳥居」は寺の入り口にある門とされている。この辺の所からか極一部良く分からない表現がある。
細かいところを除けば、日本人が書いた小説の様にも感じるし、いわゆる単なる原爆反対の思想の本では無く、パリへ行った後の描写も楽しめるのではないかと思う。
 白い影の女―癒える日遠くヒロシマ-パリ
 http://ttu.cc/1535
 カフェ・ド・フロールの黄金時代―よみがえるパリの一世紀
 http://ttu.cc/1536
 二十四時間の情事(DVD)
 http://ttu.cc/1537

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