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フランスの政治、ねじれ現象は?

カテゴリー: 社会 | 公開日: 2009/7/15
日本では最近、政権交代で世の中が変わるような言い方をしているが、どうも信用できない。民主党の中身が元自民党の大物議員だったり元総理大臣経験者だったりすることもあるが、知事や市長などでは自民党以外の候補者が当選することは良くある事だが、これといって変わったとか良くなったという話を聞かない。 当たり前のように衆議院解散して民意を問えという声もあるが、元々二院制で改選周期も違う制度なのだから与野党逆転は起こりうる。むしろどこの党というよりも国会議員なのだから、党利党略にかかわらずちゃんと政治をしてもらいたいものだ。

コアビタシオン、フランス版ねじれ現象

フランスでは大統領の政党と違う政党が首相になることがあり、コアビタシオン(Cohabitation:同棲の意味)といわれる。フランスの場合、国家元首である大統領は選挙で選ばれるが、大統領の政党と違う政党が議会の多数派になることがある。 フランスの大統領は強い権力を持つが、こういう状態になると、大統領は議会運営に苦慮することになり、内閣が不信任される可能性や政策に必要な法案が通らなかったりする可能性が出てくる。このために、首相を他党から選任し議会運営を円滑にしようとするものである。 ミッテラン大統領(社会党)の時代にシラク(RPR/現UMP)が首相になったり、シラク大統領の時代にジョスパン(社会党)が首相に任命されている。

コアビタシオンの評価

例えば、ミッテラン大統領がコアビタシオンする羽目になったのは、やはり経済政策の失敗で、総選挙で大敗したからだ。2期14年間の任期のうち2回約4年間がコアビタシオンだったが、今でも評価が高くド・ゴール大統領に次ぐ偉大な大統領という調査結果も出ている。 コアビタシオンは政治的にはあまり望ましくない状態で近年は国民からの不満も多く問題点が多いとされている。逆に国としては制度的均衡をもたらしたと思える部分も多い。ミッテラン大統領は大統領に就任すると私企業の国有化など社会主義政策をとったが、インフレや失業者増加に至った。その後政策転回するが、他党のシラクを首相にすることになる。 次の大統領選では、ミッテランとシラクが争ったが、ミッテランが勝利している。大統領選なので、政策だけではなく人物の面という要素も加味されるだろうが、この時期の政策はうまく行っていたのではないかと思われる。同様にシラクが1期目の大統領の時に総選挙で負けジョスパンが首相に就任、次の選挙ではシラク対ジョスパンとなったが、シラクが勝利している。ねじれ現象では与野党の政策を取り入れなければいけなくなり、これを不安定と見るかバランスをとってると見るかだが、この結果から見ると必ずしも悪くないとも考えられる。 実際、大統領戦での政策も一見違いはあるように見えるが、根本的にはほとんど同じで、選挙は舌戦といえることが多い。問題は方向性がほとんど同じなのに、結果が思わしくないことで、コアビタシオンの弊害と言えるのかもしれない。しかし与党とはいえ変革を望まない勢力も存在するので、これだけの問題ではないだろう。

コアビタシオン解消へ

フランスではコアビタシオンを防ぐ為に、2000年に大統領の任期を7年から5年にし国民議会の任期を同期させている。シラク大統領の第2期、サルコジ現大統領もコアビタシオンはおきていない。 サルコジ大統領の支持率は一時は70%と驚異的な数字だったにもかかわらず、現在では不支持が60%を超えてしまっている。しかし、先日の欧州議会選挙では他のEU加盟国では与党敗北だったが、サルコジ大統領のUMPが首位となった。現職大統領の政党が欧州議会で首位になるのは1979年以来となりサルコジ大統領はさらに自信を高めている。

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