パリ

今年の2月20日に公開、アステリスク(1月30日公開)などを押さえて1位となったセドリック・クラピシュ監督の最新作Paris。制作費20億円とフランスでは巨額の制作費で出演者もジュリエット・ビノシュやロマン・デュリスなど日本でも人気の俳優がキャスティングされている。
ストーリーは有るような無いような人間模様を描いたヒューマン・コメディー。決して深く感動するようなストーリーでもないし、笑いが止まらないようなコメディー作品でもないが、とりあえず最後まで飽きないでみることが出来ると思う。
ニューヨーク大学で映画を学んだセドリック・クラピシュは、ヨーロッパの都市を舞台にした作品が多い。日本でも外国に出て初めて日本の良さを分かるなんて言うが、彼もそうなのかもしれない。ただ、題名がParisと狙いすぎに感じてしまうし、都会に住む色々な職業、バックグランドを持った人がすれ違い、その側面を写し描くという使い古されたスタイルは退屈さを感じるし、最後の最後に出てくる台詞の「みんな文句を言っているが、実は幸せだ」と言うのも、観客に何かを気づかせてくれると言った訳でもない。フランスで興行1位となったが、評価がいまいちなのも理解できる。
とは言っても、日常的なパリの風景の描き方、パリの屋上から見る風景など、別にとりわけキレイというわけでもないが、映像面では案外楽しめるはずだ。
アンテンヌフランスの読者なら、フランスの社会問題に関しても知識が有ると思うが、そんな事を映像としてみることが出来る。例えば、収入が少ない家族が補助金(生活保護)申請をする場面、パン屋にアルバイトを応募する女性がオーベルニュから来た(パリのブラッセリーはオーベルニュ出身者が多い、パリ・ブランシェp.91参照)とか、アフリカから小さな船でフランスへ密航するシーンとか、ちょっとした知識があると面白く見れるだろう。大学教授が綺麗な女性に迷惑メールを送ったりするシーンはフランスならではの展開で楽しい。
たいした作品ではないが、好きな人には好きだろうし、この手の作品をあまり見たことがなければ新しい発見が有るだろうし、今のパリやフランスを確認するのにも役立つだろう。

Please follow and like us:

関連記事

ニュースレター

FeedBurner

更新情報をメールで受け取る

Delivered by FeedBurner

Subscribe in a reader

AntenneFranceの本



YouTubeチャンネル

ピックアップ記事

  1. 携帯めぐる教師と生徒の騒動

    パリ市内の高校で、携帯電話の使用を教師に禁止された生徒が、「先生を変えてほしい」と校長に訴えるほか、…
  2. 日本とフランスの自殺者数

    日本の自殺者数は警視庁の資料によるとここ十年、毎年3万人を超えており増加傾向にある。国際比較では、自…
  3. 便利なパリ、グランパリ計画

    フランスでは先日サルコジ大統領によって、パリを改造する都市計画「グランパリ」が発表された。 空港と…
  4. フランスでもブルカ禁止法案

    先日、ベルギーでヨーロッパ初のブルカ禁止の法案が下院を全会一致で通過したが、フランスでも同様の法案が…
  5. フランス映画祭2019記者会見

    フランス映画祭2019横浜団長・フェスティバルミューズ決定

    今年もフランス映画祭の季節がやってきました。 本年のフェスティバルミューズは女優の中谷美紀さ…
ページ上部へ戻る
Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial