AntenneFrance N.143

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                                   n.143
                        A n t e n n e F r a n c e
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                         S O M M A I R E
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         S C R E E N K I S S
       1◆短編映画特集
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         S C R E E N K I S S
       2◆他人の味
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         S C R E E N K I S S
       3◆勇気をだして!
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       i◆AntenneFranceについて
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┃1┃短編映画特集
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    LES COURTS METRAGES
 毎年見逃せないのはこの短篇映画特集。面白さ、驚き、発見ありの選りすぐりの
 短篇映画ばかりでした。
■アルフレッド・ルプティへのオマージュ
 HOMMAGE A ALFRED LEPETIT
 8分40秒
 監督:ジャン・ルスロ
 実話と信じたら感動する。ジョークと分かっていれば、大笑いできる。インタ
 ビュー形式のドキュメンタリー風に仕上げた傑作。ルプティという映画製作現場
 のアシスタント(ぱしり)が賞を与えられるらしい。ルプティなんて名前を聞い
 たこともない我々は、映画人のインタビューに耳を傾けるうち、彼がいかにすば
 らしい『ぱしり』であるかを知らされる。しまいには彼に賞を与えるのは当然の
 こととして受け入れるが、「ルプティは受賞式を辞退して短篇の撮影にたずさ
 わった」の説明に思わず拍手をしたくなる。
■アクシデント
 ACCIDENTS
 5分22秒
 監督:パスカル・レティエ
 保険会社の事故報告書。その記述を当事者に現場で語ってもらう。言葉で不意の
 事故を説明することの難しさ、滑稽さが13人の語り部により浮き出しになる。
 大笑いできないが、退屈ではない短篇。輪郭のハッキリしたきれいな撮影は、長
 編にも使えそうだ。
 風の過ち
 LA FAUTE AU VENT
 6分40秒
 監督:エマニュエル・ベルコ
 ヤク中毒の母親は、息子を1人で遊ばせている間に売人に近づく。お金のない彼
 女は手に入れることができなかった。息子のことをほったらかしたままたばこに
 マッチで火を点けようとしているが、風に吹き消される。息子が近づいて「風の
 せい」と。さりげない母子の愛情劇。しかしさりげないといっても、この内容は
 厳しい現実か。
■屈辱的な条件
 LES FOURCHES CAUDINES
 21分
 監督:ミカエル・ドニオ
 裁判のような、尋問のような面接をする面接官達に、社長の放蕩息子が下ろした
 鉄槌。ISOに対する皮肉とも捕えられる発言や、「なぜ君は会社にとって必要な人
 材か?」の問いかけは社会人必見!?
■父-息子
 TRAIT D’UNION
 12分42秒
 監督:ブリュノ・ガルシア
 監督がこの短篇に込めたメッセージはなんだろうか。息子が自分より先に死んで
 しまった時の親心と、父親の命を助けようと自らの心臓を譲ることで親孝行する
 息子。結論は映画には示されていないが、その心臓をもらった父親はどのように
 して余生を送るのだろうか。短篇にはめずらしい悲劇でしょう。
■井戸
 LE PUITS
 8分21秒/アニメーション
 監督:ジェローム・ブルベス
 きれいな映像。微妙な浮遊感が上手に表現されているアニメーション。これは
 ファンタジーです。
■妥協
 COMPROMIS
 15分
 監督:セバスチャン・ソール
 『妥協』という映画を妥協をすることなく撮影したい監督と、見込みのなさに低
 予算を押し進めるプロデューサーの攻防。まず『妥協』の脚本は「時代劇」から
 「詩的な恋愛劇」に変えられる。撮影において主演女優はできの悪い脚本に怒
 り、帰ってしまう。次にモンタージュを多用した「タランティーノ風」の映画に
 挑戦。しかし今度は監督があきれてしまう。
 次は「ポルノタッチ」。もちろんすぐに却下。最後はお金に束縛されないよう、
 自分でデジタルビデオを回して撮影することに。ところが今度はビデオカメラの
 バッテリーが切れてしまい…。プロデューサーと監督の折り合いって、なかなか
 難しいことのようですね。限られた予算で撮影しなくてはならないのだから意見
 の衝突も多かろう。そういったことへの皮肉ですね。それにしても面白かった。
                                立野 浩超
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┃2┃他人の味
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    Le Gout Des Autres
    2000年
    監督・出演:アニエス・ジャウィ
    出演:アンヌ・アルヴァロ、ジャン・ピエールバクリ
 本年のフランス映画祭で「とびだした女」の主演もしている才女、アニエス・
 シャヴィの監督作。
 会社社長カステラは金持ちだが、人が良過ぎるのが災いして皆にバカにされてば
 かり。ある日、姪の芝居を見に行った彼は舞台女優に一目ボレ。彼女が英会話教
 師なのをいいことに接近する。一方彼のガードマン達はバーで働く女性を巡り三
 角関係に・・・
 カステラを演じるジャン・ピエール・バクリがいかにも会社に1人はいる、寒い
 ギャグを言っていそうなおやじ風で面白い。ガードマン2人とのバー巡りのシー
 ンなどは中年男の悲壮感漂い、ホントにいけてなくて、日本のサラリーマンにも
 共感できる所が沢山ありそう。
 また男運の無い女優アンナと深入りをきらうバーの女マニもこれまた同世代の女
 性の共感を誘うのでは。登場人物の心理描写が巧い。
 また、完璧主義の妻の尻にしかれていた男が、一目ボレをきっかけに自我に目覚
 めていく姿は『アメリカン・ビューティ』を彷彿とさせたが、あちらがブラック
 な家族崩壊の物語なのに対し、こちらは登場人物がそれぞれの生き方を見つける
 という暖かさが残る。何だか一般的なハリウッド映画とフランス映画のイメージ
 と逆なのが面白い。
                                MS.QT.MAI
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┃3┃勇気をだして!
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    HAUT LES COEURS!
    ★★★☆☆
    1999/110分/本年度セザール賞最優秀女優賞(カリン・ヴィアール)
    監督:ソルベーグ・アンスパック
    出演:カリン・ヴィアール、ローラン・リュカ、ジュリアン・コトロー
 オープニングでまずエマとシモンの夫婦(パートナー)の関係を簡潔に丁寧に描
 く。そしていきなりのガン宣告。ここから長くも短くもある闘病生活が始まって
 いく。映画を見る前には簡単なあらすじだけは知っているから、この事で驚きは
 しない。ガン治療に先だち、胎児への影響を恐れ中絶することを勧めた医師の診
 断に不信を感じた夫婦は、病院をかえて「治療しながらでも出産は可能」と意見
 の異なる医師と出会い、そこで乳ガンと戦う決心をする。
 夫婦がしっかり意見をもって医者に質問をしながら、インフォームド・コンセン
 トが成りたった時点で治療方法に同意していくその姿は、痛ましくもありたくま
 しくもある。数少ない治療方法の中で選択肢がほとんどないにも関わらず、その
 中でできるだけ満足のいく方法を少しでも納得しながら手探りで進む夫婦の姿
 は、涙ぐましい。私はただの風邪においても医者の前に座ると緊張してしまい、
 説明したい症状を十分に伝えられない事があるから、まさしく見本としたい姿
 だ。そんな設定は監督自身の体験からきているとのこと。なるほど、迫力がある
 訳だ。
 治療の場面と日常生活を交互に、繰り返し映し出すことで、まず2人のペースを
 我々は理解していくことになる。またそこに、さりげない時間の経過(残された
 短い日々)を見ることができる。次第にシモンがエマへの愛を確固たるものにし
 ていく過程も緻密だ。
 正面からあまり動かないカメラで撮らえられる人物達の表情は、思いのほか熱気
 を感じない。しかし、ストーリーの重さの為だろう、時間とともに映画にのめり
 こんで行く感覚が味わえる。なんとなく「黄昏」の老夫婦に対して感じたものと
 同じセンチメンタリズムを感じた。
 登場人物を夫婦とエマの母、弟の4人に絞った点も主題に集中できる要因だ。
 8ヶ月目にして帝王切開にもかかわらず医者の予想どおりに、薬物治療の影響も
 見られずに産まれた赤ん坊。同時に手術されて、切りとられた乳房。この両極端
 な結果が、演技だけでは伝わりにくい感情をもひしひしと観客に伝える。脚本が
 いかに重要か分かる。
 切りとられた片方の乳房をカバーするために、シリコンのパッドを買うが、保険
 のきかないブラジャーがセットで必要だったり、制度に対する矛盾点をさりげな
 く指し示す点もうまい。
 「ポーラX」のローラン・リュカはいい作品に出会い演技が冴えていた。カリン
 は今年セザール賞を受賞しているが、それほど巧さを感じなかった。
 さらに、この映画祭だけでも何度も感じたことだが、さすがフランス映画。エン
 ディングの唐突さには驚いた。映画祭は時間の関係で、エンドクレジットを途中
 で止めてしまうが、そのBGMの中で余韻に浸っていたい映画。
                                立野 浩超
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