芸術はいかに?
約20年ほど前、バブル崩壊後の事ですが、美術展ではお客さんが集まらず、日本でも芸術に対してもう少し親近感があればと言う話を色々聞いたことがありました。当時の外国の美術館の経営状態まで分からないけれど、集客に困難という話は聞いたことが無いし、実際色々なプログラムがあり賑わっているように見えました。
日本では一部の美術館を除いて、美術展というと外国から目玉を持ってきたりして客集めという印象ですが、フランスでもアメリカでも超有名な美術館には1日じゃあ見切れないほどの作品が展示されているので、特別な企画展が無くても行ってみたくなります。
最近では、都内の様々な美術展を行けば、平日でもゆっくり見れないほどの人で混み合っています。このように混み合っている美術展に行く度に前出の話を思い浮かべるのです。日本人は芸術に対する関心は随分向上したのでしょうか?
戦略的に混んでいるように見せると言うことは無いでしょうが、とにかく人の割に展示品の間隔が狭すぎて、よく見えない物が多すぎます。会場の問題もありますが、もう少し何とかしてもらいたい物です。
海外の美術館は、大抵夜遅くまで開いていますし、仕事帰り、学校帰りでもゆっくり見れます。日本では5時頃までと言うところが多く、これは美術館が公営なので、職員がそんなに遅くまでやりたくないのが原因と言うことでした。
ルーブル博物館もあの悪名高い(?)ピラミッドを造るまでは、来場者が少なく閑散としていたそうですが、リニューアルで活気を取り戻したと言います。フランスの現代アートの美術館パレ・ド・トーキョーは深夜0時まで営業していて、大変人気でヨーロッパの現代アートの中心地になっているそうです。
六本木ヒルズの美術館は、新しい欧米の美術館のスタイルを真似た物で、イギリス人をディレクターに迎え開館前から期待をしていました。新しいことも精力的に行っています。ただ、色々な企画展が同時に行われたりして一つ一つの企画の展示量が少ないし、物足りないと感じることが多いでしょう。魅力は六本木ヒルズの最上階にあると言うだけで、それさえもあまり活かされていない気がします。
さて、ラ・フォル・ジュルネは、フランス・ナントで始まった音楽祭で、日本ではゴールデンウィークに東京では有楽町から丸の内で開催されています。有名人による有料のコンサートもありますが、ショッピングエリアの一角などで無料の演奏会もたくさん行われています。
このように気軽に音楽を聴けるというのは素晴らしいですね。ただ主催者の意図もあるでしょうが、いくつかのコンサートはひどい状況で行われたようです。例えば、いくらショッピングエリアとはいえ、一度もリハーサルがない。会場に備え付けられたピアノ(多分飾りとしておいたのでしょう)は調律どころか調整もされていないなど、話を聞けば出演者を馬鹿にしているような感じも受けます。
普通一度でも音楽に携わったことがあれば、信じられない話ですが、主催者側に音楽をやっていた人はいないのでしょうか?大手が下請けにイベントを発注したような物で、出演者は下請けの下請けのような立場に考えられていたようで、こういうクレームは困るとも言われたそうです。
六本木ヒルズの美術館は森ビル、ラ・フォル・ジュルネは三菱地所が大きくかかわっているのですが、両者ともデベロッパーで芸術に関心があって造詣も深いと思いますが、何か今一歩足りない感じがします。