江戸時代にフランス語を習ったらどうなるか?

フランス語でhは発音しないことになっているので、フランス人に英語などを習うときにhの発音、つまりhaveとかを発音するのは難しいのかと聞いたことがある。日本語で無い音は聞き取りにくかったり発音がしにくい。例えば、rとlとか「あ」と「え」の中間のような母音などだ。

全てのフランス人に聞いたわけではないが、その答えは、はじめは少し戸惑うみたいだがそれほど難しいわけではないようだ。実際フランス人の英語を聞いてhを言えないという人は見たことがない。

hの発音は日本語で言えば、は行の発音になる。ハ行の拗音はパピプペポ、濁音はバビブベボ、アルファベットではpとbだ。フランス語でもpとbは普通に発音するから、hの音だけ発音しないのかと思って、自分で発音してみるとハヒフヘホはパピプペポやバビブベボと口の形に関連性がないようだ。パピプペポやバビブベボは唇を付けるが、ハヒフヘホは付けない。カキクケコの濁音であるガギグゲゴが同じ系統の発音で有るのに対して違いが分かるだろうか?

調べてみると昔の日本人のハヒフヘホの発音は随分違っていたらしい。江戸時代のなぞなぞにはこんな物がある。「母には2回合うが、父には一度も合わない物はなあに?」その答えは「唇」だが、現代の日本語でこの答えを出すことは出来ない。当時のポルトガル人が作った本や日本地図を見るとハ行に当たる部分はFで表記されていて、この時代はファフィフフェフォと発音されていたらしい。この時期のファフィフフェフォは、英語のF音のように前歯で下唇をかむ発音ではなく、どちらかというとフランス語のFの方が近い様だ。さらに遡ると平安時代は「パピプペポ」と発音されていたようだ。

現在の日本語のハ行をファ行、パ行で発音するとバカにしたような音になるが、東北の方の方言では古い近畿地方の言葉が残っていると言うし、柳田國男の「方言周圏論」ではかっての首都だった京都の言葉がだんだん周囲に広がっていき九州や東北の方で昔の言葉(古語)が残っていると言う。

フランス語と東北弁は似ていると言うが、逆にフランス人に日本語を話させるとちょっと東北弁のようにどこか濁音が入ってしまう。東北弁の濁音はフランス語の鼻にかかった音に似ている。「早聞き時事フランス語」で落語を読ませると清音であるところが濁音で話してしまうところが多い。更に今では無くなってしまった、ワ行のヰ(ゐ、ウィ)が残っているようだ。

もし江戸時代や平安時代なら、ワ行のヰヱヲ(ゐゑを)やヤ行の無くなってしまった発音などもあり、今よりもフランス語の発音は親しみやすかったのかも知れない。何しろOuiは「ヰ」と一字で表せる。

フランス文化省ホームページ上のインフォメーションhttp://www.culture.fr/Groups/accueil/article_82_fr
La fete des logesのインフォメーションhttp://www.ville-st-germain-en-laye.fr/acv/vc/rv.html#fl
La foire du troneのインフォメーションhttp://www.foiredutrone.com/home.htm

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