CALL ME ELISABETH

CALL-ME-ELISABETH-s.jpg10歳になったベティは幽霊と暗がりが嫌い。姉のアグネスが寄宿制の高校に行ってしまい、両親と自分だけになってしまうが、両親は仲違いをして、母親が家を出て行ってしまう。そしてものがしゃべれないメイドのローズが残される。
寂しい気持ちでいっぱいのベティ、学校でもいじめられるベティ、人生がちょっと嫌になったとき、ベティを救ってくれたのは、父親でもなく、姉でもなく意外な人物だった…。
思春期の多感な気持ちが繊細に描かれている。誰にとってももう二度と戻れないあの日に感じたこと、考えたことが蘇ってくるに違いない。そのリアルなタッチは見事と言えよう。
日本文学で言うと、女の子の気持ちを描くことに才能を見せた太宰治のごとく、本作の脚本を手がけたギョーム・ローランも「思春期の女の子の気持ち」を表すことに素晴らしい才能を発揮していると言えよう。
氏の代表作「アメリ」は孤独で不器用な女の子が主人公だったが、映像がファンタジータッチで見ているものを眼で楽しませた。よって、妙な感傷に浸らずに楽しむことができる映画だった。
一方、本作では、同じくコミュニケーションが足りない、少し世間とずれているが純粋無垢な女の子が主人公だが、映像が詩的に美しく情緒的に描かれているのが特徴。自然の光や緑がありのままに映される。見ているものを甘酸っぱい同調の気持ちへと誘い込む美しさがある。
ベティがいくつかの問題を乗り越えたとき、「ベティ」という愛称ではなく、「エリザベス」と呼んでと言うように変化する。「CALL ME ELISABETH」というタイトルそのものが、この映画のシンボリックアイディアだ。
『エリザベスと呼んで』と変化した彼女の心境の変化がもう少し観ているものにはっきりと伝わってくると、この作品ももう少し印象深いものになるように思う。明快さが足りない感じがするのが少し残念ではあった。
誰もが持つ、あの日、あのとき、あの頃に瞬間でも戻りたい方にはオススメです。


解説
監督ジャン=ピエール・アメリスは、子供時代についての作品を撮りたいと数年来願っていた。彼がアンヌ・ヴィアゼムスキーの同名小説を発見したとき、「小さな女の子が、自分の父親の精神病院から逃げ出した患者をかくまう」という物語に心を奪われたという。映画のセットは、幼いヒロインの目から見て、漠然とした恐れを象徴するように考案された。さらに、「子供の恐怖を扱うときには忘れられない作品」として、監督はA・ヒッチコックの『レベッカ』、F・ラングの『ムーンフリート』、C・ロートンの『狩人の夜』をあげている。
ストーリー
10歳のベティは、姉が寄宿学校に行ってから、家族の中で孤立する日々。ある時、心を病んだ青年イヴォンに出会い、彼を庭の自転車小屋にかくまう。無口な彼との間にはいつしか友情が芽生え、ふたりは一緒に家を離れることに……。
スタッフ  ★=(1月25日現在)来日予定
★監督:ジャン=ピエール・アメリス
 製作:ファビエンヌ・ヴォニエ
 脚本:ギヨーム・ローラン
 撮影:ステファン・フォンテーヌ
 原作者:アンヌ・ヴィアゼムスキー
キャスト
★ステファン・フレイス
★アルバ・ガイア(子役/調整中)
 ヨランド・モロー

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