社会

2026/9/28
消防士2万人分の空白と、給与指標凍結のあいだで
「もしこの法律が森林火災の発生前に存在していたとしても、この夏に直面した問題には何一つ対応できなかっただろう」。9月27日、パリで開かれた集会で、職業消防士および専門行政・技術職員の自治連盟の副書記長グレゴリー・ヴェルクトル氏はそう言い切った。政府が示した民間安全保障の近代化法案について、彼は「われわれの困難にまったく何一つ応えていない」と切り捨てている。

2026/9/28
泣く子の像の前で祈った教皇、それでも埋まらない溝
9月27日の朝、ルルドの聖域には夜明け前から人が集まり始めていた。オート=ピレネー県の草原に設けられた広場は、昼までに約15万人で埋まる。前日のミサには80万人が集まったというから、この巡礼地の規模の大きさが伝わってくる。教皇レオン14世は群衆の前に姿を見せる前、ひとつの写真の前に立ち寄っている。「泣く子(L'Enfant qui pleure)」——2021年に設置された、涙を流す天使像を写した…

2026/9/28
合法であることと、守られていることは、同じではない
オー=ド=セーヌ県クラマールの診療所で、ある女性が医師に訴えていた。「朝、熱が38.5度あり、頭の中で脈打つような感じがします」。診察に来た患者の5人に1人が同じような症状を抱えているという。新型コロナかインフルエンザか、医師でさえ見分けがつかない。フランス公衆衛生局によれば、これは9月に毎年見られる季節性の増加でもあるが、油断はできないという。10月13日から始まるワクチン接種は、誰にでも同じよ…

2026/9/26
被害者の声はどこで止まるのか——オルレアンの署名400人とグアドループの3年間
オンライン署名の数字が、朝のうちに400人を超えた。「オルレアンの学生の安全のために」と題されたその署名は、匿名の誰かが立ち上げたものだ。要求はシンプルだった。夜遅くまで続く授業の時間割を、今すぐ変えてほしい。9月18日から20日にかけて、オルレアン大学ラ・スルス校のキャンパスでは、暴力行為や恐喝未遂、そして若い女性への性的暴行をめぐる被害届が、わずか数日で約12件も提出されていた。学生たちはソー…

2026/9/25
「これが私たちの文化だ」と法廷で言った母親と、7日前に止められた闘牛
地中海に面した保養地、パラヴァ=レ=フロ。10月10日に予定されていた闘牛のポスターは、開催のわずか2週間前、裁判所の一枚の決定文によって意味を失った。9月24日、モンペリエ行政裁判所は市長に対し、7日以内にこの催しを阻止するよう命じた。理由はシンプルだ。この町では10年以上、闘牛が行われていなかった。フランスの刑法では、闘牛は本来「動物に対する故意の虐待」にあたる。それでも例外的に許されるのは、…

2026/9/25
教皇が通る2.5キロと、店の前を素通りする20万人
ルルドのポー川沿いでバーを営むローランは、9月27日を指折り数えて待ってはいない。教皇レオ14世を一目見ようと押し寄せる巡礼者たちは、検問を抜けるために3時間も4時間も前から並び、洞窟にたどり着けばそこに一日中とどまるだろう。「商店では誰の姿も見られなくなるでしょう」と彼は言う。人口1万3000人の町に20万人が押し寄せるのに、その恩恵は店の売上には及ばない――住民の一人は封鎖に備えて1週間分の食…

2026/9/24
眼鏡のLEDライトと、燃えた邸宅——フランスが性暴力の告発をどう裁こうとしているか
7月27日、南仏ヴォクリューズ県リル=シュル=ラ=ソルグにある歌手パトリック・ブリュエルの邸宅で、複数の出火が確認された。犯罪鑑識技術者が現場を調べ、アヴィニョン捜査班が捜査を進めている。ブリュエルは強姦、強姦未遂、性的暴行、セクシュアルハラスメントをめぐって4件の正式捜査の対象となり、さらに4件で補助証人の立場にある。合わせて約30件の告訴を受けているが、本人はすべての容疑を否認している。フェミ…

2026/9/23
5歳の女児が父の家で死んだ日、フランスは制度の何を見過ごしていたのか
9月22日火曜日、ロワール=エ=シェール県ブロワの一軒家で、5歳の女の子が死んでいるのが見つかった。父親は自分の首と体を刃物で複数回切りつけ、重篤な状態で発見された。検察官のステファン・ジャヴェ氏は、女児を「殺害した可能性が高い」のは父親だと述べた。

2026/9/23
精管切除術が15年で28倍になった国で、俳優はベルギーへ渡った
2010年、フランスで精管切除術を受けた男性は約2000人だった。2022年には3万2000人を超え、2025年には5万7000人を上回った。15年で28倍という数字を、単なる医療トレンドの話として読み飛ばしていいのだろうか。私はこの数字の裏に、フランス社会がここ数年繰り返し直面している、もっと大きな問いが透けて見える気がしている。それは「自分の体について、いつ、どこまで、誰が決めるのか」という問…

2026/9/22
道がふさがれた日に、誰が取り残されるのか
ディジョン近郊の農村で働く看護師マリオン・カリエール・アタールさんには、気がかりな患者が一人いる。95歳、診療所から8キロ以上離れた村に住み、毎日の治療が欠かせない。「明日も、この患者のもとへ通い続けられるのだろうか」。彼女がそう問いかけたのは、軽油の値段が理由だ。9月21日の前日である日曜日、フランス全国の軽油平均価格は1リットル2.41ユーロと過去最高を更新したと報じられている。開業看護師が訪…

2026/9/21
年金、軽油、干し草――誰が「今」の痛みを引き受けるのか
イル=エ=ヴィレーヌ県、レンヌ近郊の市場。買い物かごを提げた元塗装工の男性が、棚に並ぶ商品の値札を一つひとつ確認している。月々の年金は2,100ユーロ。フランスの平均から見れば決して少なくない額だ。だが2027年、この年金額が据え置かれる可能性がある。据え置きということは、物価が上がっても受け取る額は変わらないということで、実質的には月約20ユーロの目減りに等しい。「私たちは働いてきましたし、大変…

2026/9/21
ポケモンカードの行列と、殺害予告の脅迫状──「家族」という言葉がきしむ場所
ディジョンのカードゲーム専門店「ジョカード」の前には、通常なら開店の10時を待つはずのところ、8時30分から人が集まっていたと報じられている。目当てはポケモンカード発売30周年の記念ボックスだ。開店時にはすでに20人あまりが列をなしていたという。店主のステファン・レニエ=デュボワは「これほどの反響は長らくなかった」と振り返る。19歳の女性グウェン・マルテンスは、35ユーロのボックスを開けながら「子…

2026/9/16
郵便局の窓口が止まった朝に、宇宙では兵器が黙って浮かんでいた
9月15日火曜日の午前、フランス各地の郵便局で、小包を出そうとした人、自動端末で切手を買おうとした人が、同じ壁にぶつかった。画面は動かず、窓口の職員も困惑していた。原因は単純だった。月曜の夜から火曜未明にかけて予定されていた「情報システムの更新作業」が、朝になっても終わっていなかったのだ。ラ・ポストはおよそ2時間後に障害を解消したと発表し、ATMとオンラインサービスは無事だったと付け加えた。障害監…

2026/9/14
「あなたのためだから」の裏側で、誰が「分からない」と言えなくなっているのか
胸に残った四つの黒い点。ナディア・マヒトゥクという40代の女性は、シャワーを浴びるたびにそれを見る。2022年末、がんの放射線治療を受けるために医師が描いた消えない目印だ。治療そのものを後悔してはいない。彼女が引っかかっているのは、治療計画が「必ず受ける段階」として最初から決まっていて、自分の意見が求められなかったこと、そしてこの印が一生消えない可能性を、事前に知らされなかったことだ。「知っていれ…

2026/9/14
エナン=ボーモンの演説室で線引きされた「フランス人」という言葉
9月13日、日曜日の午後2時半。パ=ド=カレー県エナン=ボーモンの会場に集まった聴衆を前に、マリーヌ・ルペンは1時間弱の演説を始めた。「住宅は皆さんにとって重要な問題です。だから私にとっても重要な問題です」。前日までル・トゥケで党所属議員と非公開協議を重ねていた彼女は、2027年大統領選に向けて、住宅政策を自身の「5年間の任期における大きな課題の一つ」に据えると宣言した。

2026/9/12
発言を許すことと、舞台を与えることは同じか――消えた「自由発言」が問うもの
水曜日の夜、フランス5の文学番組「ラ・グランド・リブレリー」の最後に、いつもの「自由発言」のコーナーがあった。この日、その数分間を任されたのは女優で作家のアデル・エネルだった。カメラを正面から見つめ、彼女は性差別的・性的な暴力について語り始め、やがて「国を絡め取っているテレビの沈黙」を批判し、最後にこう言い切った。「イスラエル国はパレスチナでジェノサイドを行っており、フランスは共犯だ」。

2026/9/11
「捜査中です」と言われた被害者は、そのあとどこへ向かえばいいのか
Tシャツの裾を引っ張った瞬間、指先が濡れていることに気づく。オードレさんは9月6日、スタッド・ヴェロドロームの観客席でOM対パリFC戦を観戦していた。後ろに座った男性が何度も体をかすめてくる感覚があり、ハーフタイムに服を確認すると液体が付着していた。あとになって、それが精液だったと理解したという。彼女はスタジアムの警備員に伝えたが、その場では対応してもらえなかった。警察とサポーター団体には自分から…

2026/9/11
「野菜をもらいに来ました」――フランスがケアを“権利”として設計し直す理由
「大きく転落してしまいましたが、Secours populaireがあって本当に助かっています」。ニオールの支援団体を訪れた80代の女性は、そう静かに語ったという。ソーシャルワーカーに紹介されるまで、まさか自分がこの扉をくぐることになるとは思っていなかった。野菜をもらいに来て、節約を重ねながらも「誰にでも困難な時期は訪れるものです」と付け加えた彼女の言葉には、支援を受けることへの躊躇と、それでも尊…

2026/9/8
11歳の少女の死が動かした69条の法案――暴力を「家族の秘密」から「国家の責任」に変えられるか
フランスで11歳の少女リアナが性的暴行を受けて殺害された。加害者とされる人物は、すでに司法当局に容疑者として通報されていた人物だったという。つまり、システムはこの子どもを救えなかった。9月7日、パリのヴァンドーム広場――法務省の前――に、女性団体や子どもの保護団体が集まり、法案の採決まで抗議を続けると宣言した。彼女たちが求めているのは、慰霊や糾弾ではない。100ページを超える、69条からなる…

2026/9/7
オラドゥールの名を借りて山火事を語るとき、記憶は何を失うのか
ジロンド県の村ル・ポルジュを前日に訪れた社会党第一書記オリヴィエ・フォールは、9月4日、地元ラジオのインタビューでこう語った。「この比較をあえてしてよいのか分かりませんが、住宅が完全に焼け落ちている様子には、オラドゥール=シュル=グラヌに通じるものがあります」。今夏の山火事で183軒の住宅を失ったこの村を前に、彼の頭に浮かんだのは、1944年6月10日にナチスが640人を超える住民を虐殺した、あの…