サルコジ

仏独の目指す欧州経済政府

20年前なら、フランス人のみならずフランス語圏の人間にドイツやドイツ語について聞けば、アレルギーかと思うほど嫌悪感を示され、ヨーロッパという一括りにされることも何かと反論された。もちろん今でもフランスとドイツは違うし、ヨーロッパと一括りに出来ない事には変わりがない。しかし、仏独両政府はヨーロッパの問題にさらなる密接な協調と行なおうとしている。

20年前のヨーロッパの共通の問題と言えばユーゴスラビア紛争で、ヨーロッパの様々な国の人間が集まれば必ずその話で持ちきりだった。現在はギリシャ危機を発端とする経済問題だ。ギリシャ危機も対岸の火事には違いないが、ユーロという共通の通貨を持つために運命共同体になってしまった。

ギリシャ危機は一段落着いたようだが、まだまだ予断を許さないし、イタリアなど財政問題を抱えた国がまだあり、ヨーロッパの多くの国が何らかの財政問題を抱えている。ユーロ加盟の条件は、厳しく財政赤字はGDP比3%、累積債務は60%以内と決められているが、フランスでさえ守られていないなど、ユーロ失墜の可能性は未だに低くない。

フランス国債の格下げ懸念の中、ドイツのメルケル首相とサルコジ大統領はユーロ圏の統合強化をねらいユーロ経済政府を創設し、各国の財政均衡を法制化する事を提案した。しかし、名前は立派だが中身はあまり無い提言であるという声も早くも聞こえてきた。

現在の各国独自の国債発行ではなく、ユーロ圏で共同で債券を発行するというユーロ共同債をフランス側が求めていたが、ドイツは自国の発行より金利負担が増えることを懸念し反対し、ユーロ共同債は見送られたが、年2回ほど開催され、各国は財政均衡を義務化し、これを憲法などに盛り込む。金融取引に関して課税し、税収を上げるという。

放漫財政を続けている国に対して、今までも罰則を設けようとしてきたが、実質的な導入は見送られている。今回は、このような国にEUの様々な基金の支払わないようにするなど制裁発動しなければならないとしている。しかし、フランスは自動的な制裁発動には反対している。
現状では欧州委員会の権限は弱く問題点は多く、ユーロ圏大統領などのポストを作り、権限強化や統治改善策を調整していく必要があるなど、大きな課題が残されている。少なくとも今回の発表だけでは、市場はネガティブに受け取ったようだ。

フランスのワールドカップ報道

ワールドカップでは日本が快進撃のためか、テレビでは連日ワールドカップの話題ばかりだ。しかし、開催される前は、そんなに盛り上がっていなかったように感じた。国際的なスポーツ大会の時は常に現地に向かう司会者の小倉智昭も今回は行かなかったぐらいだ。

さて、日本が初出場を遂げた1998年のフランス大会では、岡田監督では出場は無理だろうと言われていたが、出場することが出来て、マスコミも手のしら返したように喜んだのを思えているだろうか?

実はフランスもエメ・ジャケ(Aime Jacquet)も、当時のスター選手を外しジダンなどの移民や移民の子などを戦力として使ったために、彼では結果を出せないと批判されたり右翼に脅迫されたりしていた。

しかし結果はワールドカップ優勝し、この優勝でフランス人は自信が付いたとも言われ、長年衰退してきたフランスが景気が良くなったとも言われた。このときフランスのスポーツ紙レキップ(L’equipe)は謝罪を行い、報道したことの責任を持ったという。

フランスでは第二次世界大戦の後遺症でマスコミには不信感があり、国民もマスコミの言う話に踊らされないと言われているが、メディア側のけじめの付け方は立派と言える。日本では今回の岡田監督も随分非難されていたようだが、すっかりその事は忘れられているようだ。

フランスのマスコミも結果の出ないチームには手厳しい。選手の練習放棄した上、予選敗退したフランス代表が、空港に迎えに来たサポーターには一言もなく、無言で車に乗り込んだり、自家用飛行機でバカンスに向かう選手が批判されている。

身ぶりで何かを伝えようとする姿も見せない選手に対して「ピッチでも存在感が無いだけではなく、空港でも存在感が無く、がっかりした」と言うサポーターのコメントが流され負けっぷりの悪さも批判の的だ。

アンリ選手はサルコジ大統領と会談を行い注目が集まっている。

ハイチ大地震、フランスから救援隊到着

ハイチの現地時間12日に大地震が起きて数日が経つが、現地の状況は混乱を極めている。地震の起きた夜には家屋が倒壊し、数十万人が屋外で一夜を過ごした。その夜津波が襲ってくるという情報が入り、誰もがわれ先に高台へと駆け込もうとする大変な騒ぎとなったそうだ。

大統領宮殿も崩壊したが、恐ろしいのは囚人達が一部脱走したということだ。また、支援物資が不足していることから、一般人の間でも食料の略奪行為がみられている。

各国の中でもいち早く救援隊を出動させ目立ったのは中国だったが、フランスはサルコジ大統領がハイチ訪問を宣言しており、救助のための国際会議を開くべきだと近くオバマ大統領に提案すると発表している。

ハイチのフランス大使は就任後まだ間もなかったそうで、今回の事態にたじたじしながらも、フランスからの救援隊を自ら迎え入れた。第一陣として60人の部隊が派遣、さらに倒壊された家屋の下敷きになった人を探すための救援犬も派遣されている。

ベルナール・クシュネール外務・ヨーロッパ問題大臣が、
アメリカのワシントン・ポスト紙(2010年1月16日付)に寄稿しました。

ハイチ、新しい未来を築く

 恐ろしい悲劇が再びハイチを襲った。不運と不幸に砕かれたハイチにとって再度の悲劇だが、同国はそのたびに不屈の信念で闘ってきた。ハイチは孤立していな い。国際社会は大規模な支援に乗り出し、アメリカとフランス ― わが国は歴史や言語を越えた友愛のきずなでハイチと強く結ばれている ― はこの連帯の動きに大きく貢献している。ハイチ史上最悪の大災害を前に、フランスやパートナー国は、この国が力と活力を取り戻すために全力を尽くし、同国 を再建する義務を負う。

 というのも、貧困や困難に苦しみ、政治的に不安定な状態にあるとはいえ、ハイチは変化を遂げて、将来性のある国になる ためのすべてがあるからだ。私は昨年9月にハイチを訪問した。私の友人で火曜日にポルトー=プランスで死亡した国連ハイチ安定化派遣団のヘディ・アナビ代 表や、ハイチのルネ・プレヴァル大統領と、この国の将来について会談したことを覚えている。今週、私はヒラリー・ローダム・クリントン国務長官と緊密に協 力して活動した。国連や国際機関とともに、ヨーロッパ連合(EU)やアメリカをはじめとするすべての連帯パートナー国とともに、なかんずく今日は茫然自失 となっているが、生きる決心をしている住民とともに、我々はハイチ再建を支援するために結集している。すべてが無に帰したとき、すべてが再び可能になる。 現況は恐ろしいが、この機会をとらえる必要がある。粘り強く、恐れることなく、希望に向かって差し伸べられた手のように。

 今日、生存者の救出と住民の救助に全精力が注がれている。しかしながら、復興の検討は時期尚早ではない。それは過去の 凶事や災難をはらいのける物資・政治両面の持続的な復興である。国際社会はフランスと同様に、ハイチ国民の母国再建を必要な期間にわたり支援すると同時 に、ハイチ国民に未来があり、その未来が彼らの手にあることを言葉ではなく、行動によって彼らを説得する決意である。

 フランスはアメリカ、カナダ、ブラジル、EU、我々に同意するすべての国・地域とともに、ハイチの復興と開発のために、課題に対応できる規模の会議を開催するよう提案する。この会合は復興のスタート地点となるだろう。

 ハイチの主権を全面的に尊重するため、この会議はハイチ当局ならびに国連が提出する被害評価に基づいて行われるだろ う。今後数週間、意欲的な復興プログラムを提案すべく、ハイチの長期的なニーズの分析に基づいて準備を進める。住居やインフラのみならず、政治制度、国際 社会との関係、地域協力なども網羅する。会議にはNPO(非政府組織)、本国以外に居住するハイチ人、企業などの参加も必要だと考える。というのも、我々 はこの復興事業に全員一丸となって取り組むべきだからである。

 ハイチ国民の苦しみに対して、各国の国民や政府からの支援の動きが高まっているが、それが緊急人道支援活動にとどまるべきではない。我々の共通の責任は、それ以上のものである。我々のハイチ国民に対する責任は、未来を築く道を歩み始めることである。

cop15、フランスの思惑

cop15の開催がコペンハーゲンでスタートした。温室効果ガス削減数値で優等生の結果を出しているフランスとしては、今回の気候サミットでも意欲的な提案を行う予定だ。

フランスの提案は、大気汚染を削減するだけではない。今回掲げるのは、金融取引に課税を行い、その税収を途上国のクリーンエネルギー使用の資金として支援するというものだ。

対象となるのは金融市場で取引される株、債権、為替などで、取引1件ごとに0.01%の税率をかける。税率としては少ないが年間200億ユーロの税収が見込まれるというもの。このような課税策は今注目されている手法で、他にも石油一トン消費するごとに1ユーロを課税するというスイスの案もある。

この金融取引への課税案については、ブラジルが賛同している。サルコジ大統領としては支持率の低迷する中、cop15でフランスのリーダシップを発揮し、成果をあげて支持率回復に持ち込みたいなどの思惑があるようだ。

COP15に向けてフランスは優等生

12月7日よりCOP15がデンマークコペンハーゲンで開催される。地球温暖化対策について話し合われるため高い注目を集めている。

COP15では、1997年の京都議定書で定められた2012年までの温室効果ガス削減目標を引き継ぎ、2013年以降の各国の削減目標が定められる予定だ。京都議定書の際はフランスの目標値は横ばい、つまり2012年までは温室効果ガスの排出を増やさないことを目標として掲げていた。これに対する結果としては−6%の数字を出しており、フランスは優秀な結果をおさめている。

一方、数値目標を達成できなかった国としてはお隣スペインが代表にあげられる。スペインは目標値の15%も上回る温室効果ガスを排出しており、政治的に何らかの制裁を受けることも考えられる。

ただし、このように先進国のプラスマイナスに一喜一憂していられないのが現状だ。1997年の京都議定書の際に発展途上国144カ国の削減目標は掲げられなかったが、現在では先進国より途上国の排出ガスが上回っており、コペンハーゲンでは数値目標を定めることが求められる。また、この途上国には中国が含まれていなかったことも、コペンハーゲンへ引き継がれる大きな課題となろう。

フランスはCOP15で、途上国の温暖化対策に20年間で数千億ユーロを援助するプランも提案するつもり。サルコジ大統領の政治的な思惑も見え隠れするが、温室効果ガス削減に関しては優等生なフランスだけに強い発言権も注目される。

サルコジ大統領、郊外視察

サルコジ大統領は貧困や犯罪など問題の多いとされる郊外を視察し、治安対策のための監視カメラ普及について積極的であるとコメントした。

監視カメラを設置することはプライバシーの侵害、とあちこちで批判も飛び交うがサルコジ大統領に言わせると「本当に不快なのはカメラで撮られることではない。強盗や窃盗が行われ、犯人が野放しになっていることだ」とした。

麻薬密売の取り締まり強化も重要課題であり、郊外に監視カメラが増えていくのは必至のようだ。

息子のトップ就任騒動に、サルコジ大統領も反省

フランスではサルコジ大統領の息子ジャン・サルコジ氏がデファンス地区開発公社(EPAD)のトップ就任することについて「身内びき」、「サルコジ大統領の絶対王政」と批判が集中していた。

その後、これらの批判の声を受けてジャン・サルコジ氏がEPADのトップ選出選挙に立候補しない考えをフランス2のテレビ番組で表明した。

マスコミに「プリンス・ジャン」と揶揄されたり、反対派のオンラインの署名は短期間で数千人集まるなどフランス内外を騒がせたこの論争。サルコジ大統領はこれら一連の論争に対して「息子を会長候補にしようとしたことは誤りだった」と反省の意を表明している。

わりと素直に感じられ好印象を受けるこの反省の弁は、支持率が下がる中、回復を狙っての意図がみえかくれする。

若干23歳のジャン氏は現在ソルボンヌ大学の2年生。法律を学びながらオードセーヌ県の県議会議員を務める。若すぎるトップ就任に歯止めがかかりほっとしている内外の声も多いのではないだろうか。

クリアストリーム事件で前首相に禁固刑1年6ヶ月求刑

クリアストリーム事件で起訴されていたドビルパン前首相だが、これまで終始一貫して事件への関与を否定。初公判では家族と出廷し身の潔白をアピールするなどマスコミへのパフォーマンスも手堅く行ってきた。

サルコジ大統領を批判する発言なども注目された話題の裁判ではあるが、20日のパリ軽罪裁判所では検察側は執行猶予付きの禁固1年6ヶ月、罰金4万5000ユーロ(約600万円)を求刑。来年早々には判決が下される見通しで、それまでいったん沈着するもようだ。

クリアストリーム事件、ドビルパン元首相の被告尋問2009年10月3日

サルコジ大統領、マスコミに怒る

最近フランスを騒がせているのはミッテラン文化相の小児性愛の疑いであったり、サルコジ大統領の息子ジャン・サルコジ氏の公的機関への要職就任問題だ。

サルコジ大統領にとっては、顔のまわりを蚊がとんでいるようにうるさいようで、ついにこれらの話題に食いつくマスコミを批判するコメントを行っている。

「コメンテーターはコメントをするのが仕事だが、私たちの仕事は行動することだ。行動する側が批判されやすいのは仕方がない。コメンテーターと仕事が違うのだ」と述べている。

ジャン・サルコジ氏のEPADのトップ就任については、サルコジ大統領の「絶対王朝」制とまで揶揄されており、これまで強力なリーダーシップが印象的なサルコジ大統領だが、ここまでくると公私混同極まりなく、私的な感情に埋もれているようにしか思えないのだが、いかがなものだろうか。

サルコジ大統領の次男、七光りで公的機関トップに就任

日本でも世襲議員の問題が浮上しているが、フランスでも似たような問題が話題に上ることがある。

サルコジ大統領の息子ジャン=サルコジ氏がデファンス地区整備公社(Epad)のトップに就任することに決まったからだ。

デファンス地区(La Defense)は、パリ近郊にある都市再開発地区で、パリの過密対策のために造られた。シャンゼリゼ通りと凱旋門の延長線上に位置し、近未来的なビルが建ち並ぶ。大手企業約2500(従業員約15万人)が集まる大規模再開発地区だ。

Epadのトップともなれば、デファンス地区への企業誘致や超高層ビルなど世界中からみても先進的な建築物の計画に携わることになり強力なリーダーシップが求められる。

ジャン=サルコジ氏にそのリーダーシップがあるのかどうか。それはまだまだ未知数のようだが、やはり大統領の息子でなければトップに就けなかっただろうという反対意見が出ており、誰もが否定的な見解を持っているようだ。

小泉純一郎元首相の後継に次男の進次郎氏が紹介された当時、世襲批判が集まったことも記憶にまだ新しい。だが、進次郎氏と言うとお父さんに似たのかけっこうなイケメンフェイスで、マスコミで目にする度に世襲批判を忘れていった女性は多いかもしれない。

ジャン=サルコジ氏は、お父さんに似ず高身長でこれまたけっこうなイケメンっぷり。アマチュアで俳優もしていたそうだが、23歳という若さで重役に就任するのは完全なる親の七光り。どんなにイケメンでも見過ごせないケースとなりそうだ。

クリアストリーム事件、ドビルパン元首相の被告尋問

ドピルバン元首相がサルコジ大統領の失脚を画策したとされるクリアストリーム事件で、フランスでは9月30日にドビルパン元首相の被告尋問が行われた。

ドビルパン元首相は全ての容疑を全面否定し、ウソの顧客リストを受け取っていないこと、画策していないことを主張した。

移動の際にはマスコミに笑顔を見せるなど余裕の表情もみせた。有罪の場合、最高で5年の懲役刑になるが、自分には関係ないという意識の表れかもしれない。

クリアストリーム疑惑、時期大統領選にも影響か 2006/6/7

クリアストリーム事件、ドビルパン元首相の公判はじまる 2009/9/24

サルコジ大統領の国連総会での演説

日本では鳩山総理が国連で外交デビューしたことが話題となっているが、フランスでもサルコジ大統領が国連で演説した内容に注目が集まった。ここに一部を紹介しよう。

サルコジ大統領はまず昨年から始まった世界同時不況について言及した。世界は未曾有の金融・経済・社会危機に見舞われており、地球規模の環境災害に直面していること、そしてそこから抜け出す責任が私たちにあると述べた。

また、世界には10億人が飢餓に苦しんでいるなか、金融界で世界を大混乱に陥れながら、なおも財を築き続けようとする人の行動に憤慨しており、私たちが解決していく義務があり、「世界は変わります。変わらざるを得ない」と強調した。

そして、安保理保障理事会の常任理事国および非常任理事国の枠の拡大をするべきという認識を明らかにした。アフリカ大陸が安保理常任理事国に入っていないことは容認できない、大国ブラジル、人口10億人のインド、そして日本とドイツが常任理事国から除外されていることも容認できないとした。

演説内容はさらに多岐にわたり、国際通貨基金の改革、タックスヘイブンの終止符、温室効果ガス排出量の削減などについても語り、地球規模で一丸となって解決するべきテーマに一通りふれたものとなった。

サルコジ大統領の演説シーン、グローバル化した世界が抱える問題をいっきょに把握できるものとなったのではないだろうか。サルコジ大統領独特の力強さも交じり、なかなかのプレゼンテーションといった印象である。

クリアストリーム事件、ドビルパン元首相の公判はじまる

ニセの裏金疑惑をかぶせて、サルコジ大統領の失脚を画策したとして訴えられているクリアストリーム事件で、ドミニク・ドピルパン元首相の初公判が21日から開始された。

フランスでは今年もっとも注目を浴びている公判で、ドビルパン元首相は公の場に表れサルコジ大統領を「ある一人の執拗な人物」と呼び、敵意をあらわにした。また、「裁判によって身の潔白を証明したい」ともコメント。家族を伴って登場したあたり、無実であることをアピールしたかったのだろう。

クリアストリーム事件は、2004年当時、ドビルパン元首相がシラク前大統領の後継をサルコジ大統領と争っているときに起きた事件だ。サルコジ大統領らがルクセンブルクのクリアストリーム銀行に隠し口座を持ち裏金を受け取っていたとするニセの密告文書に関与したと疑われている。

有罪の場合、最高で5年の懲役刑になる。

サルコジ大統領、炭素税の導入を発表

フランスの炭素税の導入過程については、これまでにも記事を掲載しているが、ついに、ニコラ・サルコジ大統領が9月10日、炭素税の税額をCO2排出量1トン当たり17ユーロにすると発表した。炭素税は2010年に導入され、家庭も企業も同じように、化石エネルギー消費者すべてに課税される。17ユーロの税額は、CO2排出権市場の相場に基づいたもの。

税額17ユーロでも、「炭素税はすでに大きな努力となる。重油および軽油1リットル当たり0.045ユーロ近く、ガソリン1リットル当たり0.04ユーロ、ガス1kWh当たり約0.004ユーロ」に相当すると大統領は明らかにした。

さらに、数年後に省エネ行動が定着したおりに、税額が増額されるのはやむを得ない、と増税の可能性が強調された。

■還付は都市か農村で差があり

炭素税の導入とともに国民にとって気がかりだった還付だが、全額見積還付制度が全世帯を対象に導入される。還付額は家族構成や居住地(都市や農村)によって異なる。

炭素税17ユーロ当たり合計で、子供2人を扶養する都市部の世帯は来年2月から112ユーロ、同じ家族構成で公共交通機関がない農村地区の世帯は142ユーロが還付される。省エネ家庭にはメリットとなる仕組みなわけだ。

また、還付に関して透明性を徹底するために、監視を目的とした独立委員会も設置される予定だ。

■フランス企業の競争力も維持

気化燃料に著しく依存している漁業、農業、運輸業などの企業が、炭素税で不利益を被る事態を避けるために、手段や方策を見出すことも断言された。

「炭素税が農産物や海産物の輸入増加を助長したり、環境規準がより厳しくない(外国の)競争相手に比べて、フランスの運輸業者を不利な状態に追い込んだりすれば、気候変動対策の効果が上がることはない」と大統領は延べている。

さらに大半の企業を対象に、炭素税の導入とともに、投資にかかる事業税が2010年より撤廃されることを改めて明言した。

サルコジ大統領から鳩山代表へのメッセージ

衆議院選の民主党勝利をうけて、8月31日にフランスのサルコジ大統領から鳩山由紀夫代表にメッセージが送られました。

メッセージでは、民主党勝利への祝辞とともに、この勝利が日本の歴史の新たな一ページであり重要な出来事と位置づけています。

そして、フランスと日本が昨年外交関係樹立150周年を祝ったことに言及、両国ともに先端技術や経済プロジェクト、スポーツ、ポップカルチャーにいたるまで相互に興味を持ち影響を与え、今後も手を携えていくことを願うと述べています。

ピッツバーグでのG20サミットで会えることを楽しみにしていると締めくくりました。

※参照 フランス大使館ホームページ
http://www.ambafrance-jp.org/article.php3?id_article=3639

トレーダーの賞与に新たな規定

フランスの大手銀行BNPパリバの第2・四半期決算は16億0400万ユーロ(22億9000万ドル)となり、純利益が前年同期に比べて6.6%増加した。このうち10億ユーロをトレーダーのボーナスにあてると発表されたことで、「世界同時不況をもう忘れたのか、国の支援を受けてきたのにあり得ない」と批判が相次いでいた。

これに対してサルコジ大統領の待ったの声がかかり、今回エリゼ宮には大手銀行の役員が招集され、トレーダーのボーナス受け取りに関する新たな規定が設けられることになった。

新しい規定ではボーナス額の査定期間を数年単位に拡大したり、ボーナスを全額受け取るまでに数年がかりとなる。また、成績が予想以下であれば減額されることを盛り込んだ。

2009年のボーナスが最高額の場合、3分の一が2010年に支払われ、残りは3年かけて支払われる。さらにその一部は銀行の株での支払いとする。

サルコジ大統領は「危機はまだ去っていない。発端は金融だったことを忘れてはならない。過去を過ぎ去ったかのように扱う巨額のボーナスには憤りを感じる」と述べた。

また、この新しい規定はフランスの競争力を維持するためにも、国際的に受け入れられるべきとして、金融サミット前の欧州連合(EU)首脳会議で、正式に欧州の提案とするよう提起すると発表している。

イスラム女性の水着にNG

パリの公共プールでイスラムの女性がブルキニと呼ばれる全身を覆ったタイプの水着を着用し入場しようとしたところ、「非衛生的」として入場を拒否されたことが、フランスで論議をよんでいる。

女性はイスラム教徒に改宗したフランス人女性35才。入場拒否は宗教差別として提訴する構えだ。

プール側は、「宗教は関係なく、衛生上衣服を着用したままの入場は禁止されている。ひざ上の半ズボン水着なども認められない」としている。

「公衆衛生の問題」、「宗教差別」と賛否両論で論争は炎上しそうだ。

イスラムの女性が顔を覆うスカーフ、ブルカについてはサルコジ大統領が着用すべきでないとする内容を、先日上下両院の前での演説で行い物議を醸しているし、調査委員会も設置されたばかり。

ブルカについても、宗教差別という認識ではなく、「フランスでは女性の自由が奪われることは認められない」とする意見もけっこうあるようだ。

今回のブルキニ拒否は、ブルカ是非を問う中、フランス人の気持ちが如実に表れたようだが、これが氷山の一角なのか、今後の動きに注目したい。

フランスの地方分権

今度の衆議院議員選挙は東国原知事の問題で地方分権選挙のような感じになるところだった。今でも橋下知事がテレビで訴えているが、今では随分トーンダウンしているようだ。

中央集権国家日本とフランスの比較

先進国でも中央集権体制をとっている国はすでにマイノリティーのようで、ヨーロッパで中央集権の国といえば、フランスだ。しかし1980年代からミッテラン大統領が地方分権改革を進め、シラク大統領の時代の2003年には憲法改正までして推し進めている。

日本もフランスも中央集権的な国家であることは間違いなさそうだが、この2つの国は結構違う部分もある。日本は歴史的に地方分権的で江戸時代まではむしろ連邦国家的であったといえる。しかしフランスでは君主政の時代から中央集権的だ。

日本では天皇陛下は別として、国のトップは議会で間接的に選ばれているが、逆に地方自治体のトップである知事や市長は直接選んでいる。フランスでは大統領を国民が直接投票で選んでいるが、地方自治体のトップは議会によって選ばれている。

そしてフランスでは県議会議員が国会議員になったりと兼職が可能で実際そういう人が結構いる。日本でも地方分権を進めるというのなら地方自治体から国政レベルで動かせる人がいないと、いくら新しい枠組みを作っても新しい利権が生まれるだけで意味がないのではと思う。

フランスの地方分権政策

勿論フランスの地方分権はうまく行っているわけではないが、権限の委譲の方法が面白い。フランスの行政の場合、国の下に州、その下に県、その下に広域自治体や日本の市町村に当たるコミューンと呼ばれる古代ローマ時代からのバックグラウンドを持つ基礎自治体が有る。コミューンは日本語に訳されると「リヨン市」「シャンパーニュ村」のように市、町、村と勝手にその自治体の規模にあわせて付けられるが大小の区別はなく、行政上の区別もない。

もっとも身近な自治体には身近な行政サービスに関する権限が直接委譲されていて、道路などの都市計画や市民サービスが上位の自治体と関係なく運営できる。例えば、州の管轄の施設であっても、州に行くことなく直接その市で対応出来る。

地域性と問題点

日本の道州制がうまく機能していくのか分からないが、日本地図を見てうまいこと割り振った様だが人間の行動範囲というのはそんなに広い物ではない。東京都港区は上から下まで歩いていくことが出来るほどの大きさだが、だからといって商業施設の多い青山から区の関連施設の多い田町まで公共交通機関のアクセスが良いわけではない。

これと同じように関東、東海、関西はまだ良いとしても、東北や中国・四国は各地域が州庁所在地に簡単に行けるのか?また現在の県でも問題が起きているように、結局資産が中心都市や州庁所在地に集中してしまって割に合わない都市も出てくる可能性もある。

フランスの地方行政

フランスでは州はその地域の経済発展や州レベルの地域整備に関しての権限が与えられており、フランス政府が進めるフランス国内への投資(企業誘致も含む)が行われているほか、州レベルでも積極的に行われている。日本にも事務所を持つ州もある。

県に対しては社会福祉などの分野を受け持つなど各層が自立した役割を受け持っていることが特徴だ。しかし財源は国からの交付金がメインで、財政面の改革はまだ出来ていない。また最小自治体であるコミューンはフランス国内で3万6千も有り、広域行政などを含めると5万6千もあり意志決定機関が増えすぎてしまったが、階層が明確にされなかったために統一が取れず問題になっている。

フランスが地方分権に求めたもの

日本では地方分権が進めば、日本も変わると国政の変革も期待されていたが、フランスでも全く同様に2003年の時点では、否応無しに国の仕組みも変わると思われていた。しかし、それとこれとは別物で、国政においてもリーダーシップも別に必要であった。

それ以外にも地方分権による弊害も指摘されてきており、再中央集権化の兆候も現れている。例えば、地域間格差の増大、国の監督不足、権限委譲に伴う財政負担問題、そしてフランス固有の問題かもしれないが兼職による執行機関の権力増加と汚職の増加などが挙げられている。

地方分権、再起動

サルコジ大統領の諮問委員会「バラデュール委員会」は現状のシステムの変革案を提出している。それによると、

  • 現状の本土の州の数を22から15に減らして、100程度有る県も統廃合する。
  • パリを近郊・隣接県を合併し600万人の大都市圏を構築、リヨン、リール、マルセイユ、ボルドー、トゥールーズ、ナント、ニース、ストラスブール、ルーアン、トゥーロン、レンヌといった都市を中核拠点都市とし、この都市を中心に合併を促進させる。
  • 税制改革は地方財政の収入源である職業税を撤廃し、その補填として企業の不動産や付加価値への課税や交付金を行う。
  • 国と地方自治体の権限を明確に分けて、地方自治体の業務には国が関与しない。
  • 州と県議会選挙を同時に比例代表制で行い、名簿順位上位の者が州議会議員と県議会議員を兼務し、当選しても下位であった場合は県議会議員のみというパリの市議会と区議会の選挙と同様のシステムで地方議会議員を削減する。

このような改革案で一層地方分権を進める方針だ。現時点では2003年からさらに進められた地方分権は、特に抜本的な改革には至っていないようで、本当に有用だったのか判定しがたい状況だ。また、経済や内政の問題が大きくなり、これと地方分権は別問題ということ。地方分権することで国が財政負担出来なくなったものを地方に負担だけ移譲しているという疑念などが生じている。

地方自治体の独自財源を増やせば良いように見えるが、あまり割合が増えれば地方格差が広がる結果になるので交付金の制度は財政格差を埋めるためにもバランス良く必要だろう。

日本でも地方分権が叫ばれているが、本当に何が必要なのか?良く道路行政の例が挙げられるが、そのために道州制が必要なのか?それで解決できるのか?いまいち不明である。

警察官への道閉ざされる

フランスでは、2005年当時、内相だったサルコジ氏に導入された若者の警察学校への特別入学に関する計画が、国の予算の関係で潰れかけている。

サルコジ氏が計画していたのは、多くの若者に警察官として働く機会を与え、さらに警察内の人材を多様化しようとするもの。この計画では、学校の卒業資格が求められず警察学校に特別枠で入ることができる。9月から警察学校に1000人近くの若者が入学予定だった。

しかし、国の予算の都合上、この1000人の入学は取り消されることになり、入学予定だった若者も憤慨している。新しい職を探すもの、元の職場に戻るもの、様々だ。

サルコジ氏のメイン政策の一つとして導入されたものだったが、若者の人生を路頭に迷わせた最悪の政策となりそうだ。

日曜営業ついに合憲へ

先月の末に、フランスでは日曜営業の法案が小差で可決されていた。この法案は「もっと働き、もっと豊かに」というスローガンを掲げるサルコジ大統領が特に強くすすめてきたものだ。

しかし、野党は法案が日曜就労の強制につながるとして反対、違憲審査の会議に訴えに出ており、日曜営業に待ったがかかった状態が続いていた。

そして今月6日ついに、憲法評議会で商店日曜営業の規制緩和法がおおむね合憲との結果がくだされた。

法案ではパリ市の特別消費区域の指定について例外規定を設けており、この部分だけは不平等に当たるとして削除するように命じられたが、日曜営業のゴーサインには大きくかわりはないだろう。