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フランス出版業界と和解したGoogle

Googleは本をスキャンしてデジタル化、これをインターネットで検索できるプロジェクト、Google Booksを行っている。これは、書籍の全文検索が行え、その一部(著作権切れの場合は全ページ)が表示されるシステムだ。

著作権切れの書籍に関しては、日本でも青空文庫のようにボランティアベースで入力され誰でも無料でパソコンやスマートフォンなどで閲覧が出来るものもある。著作権切れの書籍に関しては、法的に問題無いばかりか、大学など貴重な資料などを保有しているところでも、デジタル化が課題となっている。

Googleは、独自のスキャナーを開発し、本を自動的にめくってスキャンするシステムを開発。ハーバードやスタンフォードなどと提携し、著作権が切れた書籍を貸し出してデジタル化して公開する。ハーバードは1500万冊以上の蔵書の内、少なくとも100万冊、スタンフォードでも数十万から百万冊程度をデジタル化するとしている。

しかし、著作権に関して出版社は反対をしており、アメリカやフランスなどで訴訟が起きていた。

Googleによれば、公開書籍に関しては、絶版もしくは市販されていない書籍に限定しているとしていて、あまり実害が無いと思われるが、「無料で公開すると言っても、広告で収入を得ているにもかかわらず、作者や出版社に報酬を支払っていない」として、パリ民事裁判所は著作権侵害としていた。

今回の和解案では、フランス出版社協会とフランス文学者協会は訴訟を取り下げる代わり、出版業界支援を行うことになった。

一つは青少年に読書を奨励するプログラムのスポンサーになる事、もう一つは伝統的な出版社や出版社の電子書籍化を促進をサポートすることだ。

フランス語放送TV5に日本語字幕

TV5フランス関係者にはおなじみのフランス語圏の国際放送局TV5(テーベーサンク)に日本語字幕が付くことになった。日本語字幕は1日約10時間ほどの番組が対象で、繰り返し放送されるものも有るので月に約200時間ほどの番組が日本語字幕付きとのこと。

TV5に関しては、1990年代初頭より日本向けマーケットにアプローチしており、アンテンヌフランスの歴史とも深いつながりがある。始まりは慶応大学でフランス語教師世界大会があったときにデモンストレーションがあったが、この後、虎ノ門に日本事務所が出来たり、ヨーロッパのアジア向け衛星放送局が集まってヨーロッパ・ブーケとして展示会に出展したり、スカイパーフェクトTVで放送したり、様々な事をしていたがうまく行かなかった。

最近ではTV5側の人間も大きく変わり、インターネット経由での放送やオンデマンド配信などによって、高額な費用のかかる衛星放送を使っての放送をあきらめて、現在はインターネット経由で視聴料収入の分配による方式に特化している。

アンテンヌフランスでは10年ほど前にもネット経由での配信しかあり得ないのではないかとお伝えしていたが、NTTのBフレッツを介して利用できるひかりTV(テレビ)やソフトバンクの提供するBBブロードキャスト(パソコン上)経由でようやく試聴できることとなった。しかも今年の9月からはTV5AsiaからTV5Pacificという日本向けの放送時間帯に合わせたタイムテーブルに編成し直されている。

TV5によると特定の国向けのみに編成することは今までなかった事だと言うが、このTV5Pacificはその名の通り日本、韓国、ニュージーランドなど太平洋全域を意識されている。この放送はパリからアトランタへ光ファイバーで送られ、インテルサット8(intelsat8)にアップリンクされている。Intelsat8はNHKワールド、BBC World、韓国、中国、オーストラリアの放送局など様々な国際放送を流している通信衛星で、スクランブルが掛かっていなければ誰でも試聴可能だ。但し180センチのパラボラアンテナや受信用のチューナなどそれなりの機器が必要。TV5Pacificはサイエンティフィックアトランタ社製のPowerVuというエンコードシステムを使っているため対応機器とスクランブルに関してもチャックした方が良いだろう。

ちなみにTV5Asieというアジア向けの放送はAsiasat3sによって現在でも放送されている。日本国内でも海外の通信衛星の受信システムを販売する会社がいくつかあるので、直接聞いてみると良いだろう。マウビック http://www.moubic.com/

さて、今回TV5 Pacificには日本語字幕が付くことになったが、東アジアでは初のこと。今なら経済的躍進著しい中国での展開を考えられるが、日本語が先というのはうれしいことだ。字幕が付く番組は、主に映画、ドラマ、ライフスタイル(料理番組など)、ドキュメンタリー、教養番組などで、ニュースなどのリアルタイム性の高いのもは字幕が付く予定は無いそうだ。フランス語の字幕が付く事に関しては、可能性はあるとのことだが、現状では無い。

2001年から英語字幕を付け放送しているアメリカに関しては、月額10ドル程度で契約出来、多分セット料金の中に含まれているのだろうが、解約件数も少なく現在では黒字になっているという。

ウェブサイトではリアルタイムの視聴に加え、オンデマンドでの視聴が出来るが、こちらは著作権の制約により1000タイトルの番組程度だ。毎月放送された物が全て追加されていく事は無いようだ。

TV5 Pacificは日本の視聴時間のスタイルに合わせる事によって開始された新しいチャンネルだ。日本人が良くテレビを見る時間帯により魅力的な番組を放送するように合わせたわけだ。しかし世界的にもライフスタイルが多様になり、日本でも地上波のテレビ視聴率が劇落ちしている。フランスのテレビ放送がマイノリティーからだけではなく、いつでもどこでも、好きなときに、途中で止めても再開でき、携帯端末にダウンロードできたりして見れる事が一歩先行く提案ではないかと思う。会見中では「新しい」技術や取り組みを行っていると話しているが、それは画像圧縮方式にmpeg4を利用したり、16:9のワイド画面であることで、とくに新しいことではなく、この変わりゆく時代にフランスの放送が一般の日本人に馴染んでいくライフスタイル提案とはならなかったことが残念だ。

いずれにしろフランスのテレビ番組が日本語で見れるようになったのは画期的なことだ。

TV5MONDE パシフィックについて

TV5MONDEパシフィックは、従来のアジア向けチャンネルに代わって、2009年9月5日 より開始されました。内容をさらに充実させ、日本の生活時間帯に対応した新しいチャ ンネルです。 フランス語の堪能な視聴者ばかりでなく、日本のフランス愛好家の期待に添うべく、日 本語による字幕放送を行います。
日本には、フランス語を理解する人だけでなく、フランスの愛好家、フランス語を学ん でいる人、そしてTV5MONDEの番組に高い関心を持つ視聴者が数多くおり、その数100 万人以上と言われています。このような状況から、新チャンネル開設の運びとなりまし た。
TV5MONDEパシフィックは、光ファイバーにより、パリからアトランタに送られ、衛 星インテルサット8 号機にアップリンクされています。16/9の横長フルワイド画面で MPEG4を使用して伝送されており、モバイルやHDテレビなどの新しい配信媒体にも適 しています。 この新しいシグナルは、日本、韓国、ニュージーランドなどで既に利用可能ですが、そ の他の全太平洋地域でのサービス拡大をめざし、現在、各地域のケーブル・オペレータ ーと交渉しています。

TV5MONDEに つ い て

  • TV5MONDEは、MTV、CNNと並ぶ世界三大ネットワークの一つです。
  • 約200の国・地域で、2億700万世帯が視聴しています。 •週毎の視聴者数は、ユニーク人数で5500 万人(視聴回数累計)に及びます。
  • フランス語圏の10局(France 2、France 3、France 4、France 5, France O’、ARTE France、 RTBF、TSR、Radio-Canada、Télé-Québec)、及びCIRTEF(フランス語表現国際放送 カウンシル)の番組を放送しており、主要株主は、France24 とRFI を統括するHolding de l’Audiovisuel Extérieur (フランス対外視聴覚ホールディング)です。
  • 世界10カ国語の字幕が付けられています。(英語、アラビア語、スペイン語、日本語、 ポルトガル語、オランダ語、ドイツ語、ルーマニア語、ロシア語、フランス語)

インターネット後のジャーナリスム

ジャーナリスムは、デジタルによって変化してきている。ル・モンド、リベラシオン、TF1、Canal + ラジオ・フランス、インターネット版を 公開していなければマスメディアとは言えない。リールのジャーナリスム高等学校によれば、1999年の末にはフランスのメディア の60%が、ホームページを持っている。出版社の経営者は、業界の将来はインターネット上の活動にかかっていることを認め ざるを得ない。

当然、予算が増大し、インターネットに詳しい新しいジャーナリストが、編集に受け 入れられている。 TF1のニュースサイトでは、20人ほどの編集者がいる。このル・モンド・アンテラ クティフに匹敵する数字だ。しかし、インターネット版の編集に100人ものジャーナリストが関わっている、 ニューヨーク・タイムズのようなところとはほど遠い。インターネットに力を入れる傾向は、さらに広がりつつある。

「インターネットは、若いジャーナリストに活動の場を与える」と、ジャーナリスト 養成センター・マルチメディア部担当者は言う。「われわれは、新しい冒険、情報処理に関する膨大な分野を開く新しいメディアに直 面している。」 ジャーナリスト専門学校は、間違ってはいなかった。 いまでは、ハイパーテキストの書き方から、ウエブの概念、デジタルカメラの扱い方まで教えて、サイバー・ジャーナリストの養成にあたっている。 しかしCFJのパリ校では、インターネットによる授業を開設したが、受講者はあまりいない。 54人の学生のうちわずか7人がこの方法を選んでいる。 ESJの60人の新米ジャーナリストの内で、はじめての職場としてオンライン出版社を選んだのは、2人にすぎない。

「養成のレベルから言って、うちの生徒はまだインターネットのメディアに惹かれて いない。むしろ編集者の秘書、文書管理のほうに関心がある。」と、ESJの校長は言う。1999年、出版社のサイトの情報で、ウエブ用にだけつくられた情報は、25%に すぎなかった。「マスメディアは、単に内容をインターネットに載せているだけ」と、ル・プチ・ ブーケの女性編集者はちょっと苛立ち気味。ル・プチ・ブーケは、1997年2月からの電子日刊紙だ。

編集者は、「情報的」というより「伝達的」なインターネット上のサイトに一時的状 態でコンテンツを補給する。プロのサイバー・ジャーナリストの資格を得るのはすごく困難なことだ。1999年、300人のウエブ・ジャーナリストが職を求めたが、採用されたのは半 数にすぎない。インターネットで仕事をするジャーナリストは、まず自分の力量を証明するものがな くてはならない。今のところサイバー・ジャーナリストは、全体の0.5%にとどまっている。

従来の出版からすると、電子出版はいまだに副産物とみなされている。オン・ライン に書くにしても、ジャーナリストは「ペン」をひきずっているのだ。しかし、仕事として毎日インターネットを利用するのは当然になっている。 ESJによれば、昨年インターネットを毎日利用するジャーナリストは、42%だった が、いまでは仕事の中心といっても過言ではないだろう。「インターネットを介したメディアがジャーナリスムや「著作」を再発見したのでは ないが、インターネットは、ジャーナリスムという仕事を書き換える、多大な原動力となって いる。」

Le Monde 6月21日